表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/1883

第四話 ていうか、エイミアの想い届いた。

 フラグってあるよね。

 戦地に向かう男の人が恋人に「戦いが終わったら結婚云々」なんて言うと、大体お亡くなりになる……ていうアレ。

 ……たぶん、これも同じなんでしょうか……。



「おい!昨日ドラゴンが何とかって言ってたのサーチだろ!」


「バカ言わないでよ! 言い出したのはリルじゃない! 大体さぁ、今更そんなこと言ったってどうしようもないでしょ!」


「二人とも! 言い争ってる暇があったらあれ(・・)何とかして下さい!」


「「何とかできるんなら逃げてない!!」」


 ゴオオッ!!


「あちっ! 熱い熱いあちいいっ!」

「髪が! 髪の毛があああ!」

「あっつーい!」


 ビキニアーマーだと尚更熱い!

 とにかくブレスはヤバい! とにかく逃げの一手!


「全力全霊で戦略的撤退!」


 まあ、何が起きているかというと。

 ……ドラゴンに追いかけられてます。



 少ーし時間を遡ります。

 夜の作戦会議。エイミアが着替えをしてる間に少しリルと話す。


「リルの……≪身体弓術≫だったっけ……射程ってどれくらい?」


「……ホワイトヤタを撃ち落とせってか?」


 まあ実際に空飛ぶ相手への攻撃手段はリルの弓しかないし。


「あのなあ……地上にいる相手ならともかく、空飛んでるヤツを射るのがどれだけ難しいかわかるか?」


 難しいよねー。前世でも散々狙撃で苦労したから……。


「だったら弓みたいに一点に攻撃を集中するタイプじゃなく、魔術の広範囲攻撃みたいなのがベストってことよね……」


 まあそれしか選択肢はないよね、実際。


「となると……エイミアに頑張ってもらうしかないな」


 話がそういう結論になった時に、タイミングよくエイミアが戻ってきた。



 エイミアの≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)による攻撃で撃ち落とす、あるいは動きを鈍らせてリルの≪身体弓術≫で止めを刺す。この二段構えでいくことで決まった。


「うまくいくでしょうか……」


「まあこれ以外に方法がない、ていうのが事実だし……」


「やるしかないってことだ。悪いがエイミア頑張ってくれ」


「はい、わかりました」


 次の日に備えて早めに就寝した。



 朝。

 日が昇ってすぐに行動を開始した。


「う〜ん……匂いがわかんねえ」


「となると……目視で確認するしかないわね」


 ……かなり絶望的な探索方法だわ……よく例えにある「砂漠で金一粒を探す」並みね……。


「ねえねえ」


「……なに? エイミア」


 ものすごく不思議そうな顔をしたエイミア。


「空飛んでるホワイトヤタを探すよりも……地上に居る時を狙ったほうがいいんじゃないですか?」


 まあ理屈上はそうなるけど。


「それができれば苦労はないわよ……」


「あの……ホワイトヤタも一応寝たりするときは飛びませんよね? 住み処とかは無いんですか?」


 住み処!

 そうか、その可能性があった!


「ホワイトヤタって確か小さくても3mはあるんですよね?」


 そうだ。ホワイトヤタって結構大きいんだ。このあたりの樹では支えられないくらいの体重はあるはず。だから森は有り得ない。


「だったら住み処の場所は限られるな。この辺りの地形を考えても……」


「山頂近くの崖……辺りが怪しいわね」


「ちょっとした横穴でもあれば絶好の住み処です」


 うーん。

 早めに気づくべきだったわ。



「……リル! あそこ!」


 目的地の崖の下に着いてすぐ、10mほど上にぽっかりと穴が開いているのが確認できた。


「おおっ! なんかそれっぽいな!」


 リルも嬉しそうだ。

 運が良ければ簡単にホワイトヤタを仕留められる……かも。


「あとは……どうやって誘い出すか、だな」


 それは私に考えがある。


「任せて。これを使うわ」


 そう言って私は丸い玉を出した。


「……何それ?」


「モンスターが嫌う匂いを出す草を乾燥させて丸くしたの。これに火をつけて巣穴に放り込めば……」


「なるほどな。でもどうやって放り込むんだ?」


 リルの肩を叩く。あなたの出番よ。


「おい……まさか矢に括って撃ち込め、とか言わないよな?」


「そのまさか、よ」


「バカ言うな!そんな重いものムリに……」



 その時。

『何か』がきた。



「……なんだ!?」


 何これ……ものすごい重圧感……何か……とんでもないヤツが……近くにいる……!


「……撤退するよ!」


 私の言葉にリルも頷く。


「ああ……これは……危険すぎるな」


 そう言いつつ、荷物をまとめ始める。



 ……エイミア以外は。



「サーチ! 何かが飛んでいます!」


 そう言って静電気を帯び始めるエイミア。


「ちょっ! 待ってエイミア、撤退……」


「我が想いよ、形となれ! 静かなる雷よ! 空を駆ける魔物に届け!」


 少し遅かったあ!


「……ていうか、届いちゃだめええええええ!」


「わぶっ!?」


 エイミアを抑え込む。

 けど。


 どおおおん……


「おい……当たったぞ……」


 ……。

 ……やばい……。

 なんか下りてきた……。


「あれ……ドラゴンに見えない……?」


「……見えるな……」


「……誰か……耐性半端ない……て言ってなかった……?」


「耐性あっても……ダメージ0じゃないし……」


「…………」

「…………」


 そして。

 人間には聞こえない音域のドラゴンの叫びが轟く。

 その凄まじい振動は人間以外の生物を戦慄させ、大地を震わせる。

 その震動を合図に。


「「「に、逃げろ!」」」

 

 ……まわれ右した。



 そして、現在(いま)


 こうして私達はドラゴンに追われることになった。


「ほ、ホワイトヤタってドラゴンだっんですね」


「んなわけないだろ!」


「ちょっと勘違いしました! てへっ」


 リアルにてへペロしてる場合かっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ