表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
293/1883

第二十話 ていうか、何故かまたダンジョン巡りな予感。

「……つまり……〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトどれか(・・・)に現れると?」


『そういう事じゃな』


「……このひっろい世界のあちこちに点在する〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトまた(・・)巡れと?」


『そういう事じゃな』


 ウソでしょおおおおおおおおっ!?


『良いではないか。汚泥内海(マッドインランドシー)は、その限りではないぬおうっ!?』

「あんたの言い方は何かムカつくのよ!!」

『無体な真似をするでないわ! それを八つ当たりというのじゃ!』


「んなことは百も承知よ! けど大魔導(リッチ)であるあんたは、どうせ不死身なんでしょ!?」


『む? ……まあ余程は(・・・)消滅することは無いな』


「だったら私に八つ当たられなさいよっ!!」


『何故そうなる……ぎゃあ! 待て、待つのじゃあ! いくら我とてミスリルで攻撃されれば致命的じゃ! 止めぬかあああ!』


「腕の一本や二本すぐ再生するでしょ! 大人しく八つ当たらせろおお!」


『う、腕の一本や二本!? じょ、女性に千切られるならば本望……』


 う゛っ!


「い、いやああああっ! ヘンタイのスイッチが入ったあああ!」


『待て! 待たぬか! 腕の一本とは言わず、足もあばらも背骨もある! 人体には二百以上の骨があるのじゃぞおお!』


「きゃあああっ! 誰か助けてえええっ!」



「……サーチが馬鹿やってる間に対策を考えるか」


「そうですね……リジー、あなたの呪いセンサーには七冠の魔狼(ディアボロス)は反映されますか?」


「……半径10kmはカバーできる。七冠の魔狼(ディアボロス)かどうか特定できるかは不透明」


「半径10kmでしたら十分です。エイミア、あなたの意思伝達能力はドラゴンのみが対象ですか?」


「あ、はい。今のところは。堕つる滝(フォーレンフォール)には親しくしているワイバーンもいますよ」


「親しいワイバーンは有難いですね。リルの鼻は広範囲の探知は可能ですか?」


「……風向きによるな…………ははぁ、ヴィーの考えてることがわかってきたぞ。ドラゴンとソレイユの力を借りるんだな?」


「あ、リルにはわかりましたか? そうです。魔王様には私からお願いして軍勢を動かしていただきます。あとはエイミアの伝を頼ってドラゴンの力を借ります」


「え? 七冠の魔狼(ディアボロス)と戦うんですか?」


「………………あなたは話を聞いていなかったのですか? 七冠の魔狼(ディアボロス)と戦うなんて無謀な事を防ぐ為の布石なんですよ?」


「え? あ、そうなんですか?」


「エイミア姉、要は魔王軍とドラゴンによって〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトを監視してもらうの。後は私とリル姉で細かな位置を割り出す手筈」


「え? そんな事ができるんですか?」


「「「それを可能かどうか話し合ってる」んです!!」んだろが!」


「す、すいません……」


「じゃあ私は魔王様にお願いしてみます」


「……じゃあ私もアブドラさんに……」


「アブドラさん?」


「はい、堕つる滝(フォーレンフォール)にいるワイバーンの隊長さんです…………あぁ! 思い出しました!」


「?」


「アブドラさんから貰ったモノがあったんでした! 確か『困った時に吹きなさい』って……」


「え? ま、まさか…………それは……ドラゴンの角笛……!」


「あ、そうです。アブドラさんが自分の角を加工して作ったって」


「エ、エイミアは≪竜の絆≫を!? でしたら大変な戦力になります!」


「?? あの……? ≪竜の絆≫って何ですか?」


「≪竜の絆≫とは…………」



「っはあはあ……げほげほ、ぜえぜえ…………どうにか……逃げ切った……」


 つ、疲れた……。

 あまりにもしつこいから、大魔導(リッチ)の頭を蹴って崖に落とした……。


『我が頭は此処ぞ! 我が身体よ、早く拾うてくれいい! じゃが放置されるもまた良し!』


 ……あいつとは関わりたくない……。


「お、サーチ。やっと間抜けな追いかけっこは終わったか?」


 い、言い返せない……!


「……もう御免よ……ていうか何してんの?」


「お前がいない間に対策会議」


 ……すいませんでした……。


「で、対策に関してはメドが立ったんだが……」


「……だが?」


「エイミアのスゲエ特技が発覚した」


 エイミアの特技?


「≪竜の絆≫っていうスキルがあってだな……………………」


「あってだな…………で?」


「………………ヴィー、出番」


 お前もわからないんかよ! さっきまでの偉そうな態度は何だよ!


「っ……何故私が引っ張り出される事に?」


「リルの無知」


「あ、成る程……≪竜の絆≫の事ですね?」


「そうなの。教えてもらえる?」


 そう言われたヴィーは、突然手を合わせて乙女モードに移行した。


「ある島で、両想いのドラゴンと人間の少女がいました」


 ……はい?


「しかし二人は別々に生きる事になり……その時ドラゴンは、自分の角を追って渡しました。そして『もし僕の助けが必要な時は角笛を』」

「ちょっと待って待て待てチョイ待ち!! そこから先はいろいろとマズいから!」

「え? あ……すいません、違う話に逸れてましたね……あー恥ずかしい」


 赤くなった顔を両手でパタパタしながら、ヴィーは話を切り替えた。ていうか、こういう仕草が絵になるのっていいなあ……。


「ドラゴンは自分達以外の異種族に信頼を寄せる事は、まずありません」


「……でしょうね。元々排他的な種族だし」


「その代わりに一度信頼できると認めた相手には、種族をあげて(・・・・・・)とことん好意的になってきます。その証として身体の一部を渡す習慣があるんですが……角を渡されたということは、最上位の信頼ですね」


「ちょっと待って。とことん好意的になるって下りの前に、『種族をあげて』って聞こえたんだけど……」


「言った通りです。ドラゴンは種族間の絆が非常に強固です。ですから一匹のドラゴンが寄せた信頼と好意は、種族全体からの信頼と好意と同じなんです」


 それって……スゴいことよね?


「ですから信頼された相手には≪竜の絆≫というスキルが発生します。効果はドラゴンからの無制限の支援です」


「……つまり……エイミアからの頼みを断わるドラゴンは……」


「あり得ません」


 ……下手にエイミアに危害を加えようものなら、ドラゴンの団体さんの集中ブレスが降ってくるわけか。


「その≪竜の絆≫のスイッチとなる道具が、エイミアが貰った竜の角笛なのです」


「……だったらここでは吹かないほうがいいわね」


「え? 何故ですか?」


「だって……大魔導(リッチ)も元ドラゴンじゃない」


「あ……竜人(ドラゴノイド)でしたね」


 ぶおおおおお〜♪


「「あ……」」


 ……今の音って……。


『何と! お主は≪竜の絆≫の持ち主であったか! 我が力、存分に使うと良いぞ!』


「きいあああああああああああ!! 骸骨が! 骸骨が迫ってきますうううっ!」


 ……今度はエイミアと変態骸骨との追いかけっこになった。


「……猫とネズミのケンカよね……」


 あの有名なアニメの、だけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ