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第十二話 ていうか、いよいよ革命計画も大詰め!

「え〜と……何? つまりリフター伯爵夫人は……私の誕生日なら喜んで国民が集まるわよ〜……って言いたいわけ?」


 どんだけ自意識過剰なのよ……ていうか、どんだけ頭がお花畑なのよ。


「ああ、そういうことか……確かにそれなら民も集まることだろう」


「はいぃ!?」


 スケルトン伯爵が同意した!?


「え……ええ〜っと…………リフター伯爵夫人って皇帝並みのVIP……じゃなくて超重要人物?」


「いや、普通の伯爵夫人だな……多少変わっているが」


「……なら、超人気者?」


「人気者……ではあるだろうが……超がつくほどでは……」


「??? ……な、なら何で一介の伯爵夫人の誕生日に国民が集まるの?」


「……へ?」

「知らないんですか?」

「サーチ……またかよ……」

「……サーチ姉はたまに常識欠落」


 う、うるさいわね!


「すみません……私もわかりません」


 あ、友がいた。


「ヴィーもかよ!? たく、しゃあねえな…………伯爵夫人の誕生日は六月一日だ。何の日かわかるだろ?」


「あ、成る程……私とはあまり縁のない日ですね」


 ああ! ヴィーの裏切り者!


「……サーチ? まさか……」


「おいおい……まさか六月一日が何の日か、わからないわけじゃねえだろ?」


「…………提督の命日?」


「どこの提督だよ……」


 知りたい方は自己努力でお願いします。


「サーチ、祝福の日(ホーリーデイ)じゃないですか」


 …………あー……そんなのがあったわね……平たく言えば初夏のクリスマス。今はデスったけど〝知識の創成〟(アカデミア)の聖誕祭よ。


「……確かにヴィーには縁がないわね……」


 どっちかっていうと、敵対する神様だしねぇ。


(逆にさ、魔王様(ソレイユ)の誕生日は祝うの?)


(ええ、盛大に……魔王様自身は恥ずかしがりながらも参加されます)


 ……ちょっと可愛い(テレテレ)状態のソレイユが浮かんだ。


「じゃあその日は……真っ赤な服来たお爺さんがプレゼントしてまわるの?」


「「「「「何故?」」」」」


 ……流石にファンタジーの世界でもサンタクロースはいないか。



「その日は帝都大聖堂で〝祈りの儀式〟が開催されます。その時に多くの信者が大聖堂前の広場に集まるのです」


「……確かに宗教儀式なら人が集まりやすいわね……」


「だろ? リフター伯爵夫人も、それならやり易いだろうって」


「……話は変わるけど……結局リフター伯爵夫人の誕生日がたまたま祝福の日(ホーリーデイ)と同じなだけで、伯爵夫人自身は何の関係もないのね……」


「そうだ……だから言っただろう? 伯爵夫人は変わっていると」


 はい、その通りです。


「じゃあ六月一日に決行ということで」


「ちょっと待ってください」


「……ヴィー?」


「その祝福の日(ホーリーデイ)が大規模な行事だ、と言うことはわかりました。だとすると……その日に決行するのは危険じゃないでしょうか? 帝国側も当然、警戒していると思いますが」


「……だろうな。そうなると一般市民にも犠牲が出るかもしれねえな」


「あー、大丈夫大丈夫。全く問題ないわ」


「……何故ですか?」


「言ってなかったわね……私が訪ねたソサエト侯爵は元帥。軍のトップよ……つまり帝都の警備責任者(・・・・・・・・)なのよ」


「……なら……軍を抑えてもらえるんですね?」


「ええ……軍自体も軍備費を削られまくってる関係で、皇帝には相当不満を溜め込んでるみたいだから」


「ならソサエト侯爵の抑えは極めて有効ですね」


 これで……もう問題はないと思うけど……。


「……いいよね、ヴィー。穴はもうないよね?」


「……ええ……細かい事をちゃんと修正していけば、十分勝算はあると思います」


「……わかったわ。私はソサエト侯爵に念話するから、リルはリフター伯爵夫人にお願い」


「え? リフター伯爵夫人って念話水晶持ってるのか!?」


「ていうか、あんた確認してこなかったの!?」


「………………てへ☆」


「ヴィー。新しい石像を作って玄関に飾りましょ」


「わかったわかった悪かったよ! ひとっ走り言ってくるよ!」


 リルは慌てて飛び出していった。私はヴィーと苦笑し、無限の小箱(アイテムボックス)から念話水晶を取り出した。



『……話はわかった。まあ祝福の日(ホーリーデイ)以外に選択肢は無かろうな』


「はい。ですので祝福の日(ホーリーデイ)当日の警備を……」


『わかっておる。すでに手は回してある(・・・・・・・・・・)から安心せい』


 ……予測してたか。食えないおっさんね……。


「感謝します。それでは……」


『少し待て』


 ……? ソサエト侯爵の視線が、厳しいモノに変わった。


『……お主の後ろにいる娘を映してくれぬか』


 え? ヴィーを?


「ヴィー、大丈夫?」


「は、はい。構いませんけど……」


 ヴィーの了解をとった私は、念話水晶をヴィーに向けた。


『うむむむむ……な、何と!』


 な、何?


『ヴィーとやら。お主の魔力には特殊なものを感じるのじゃが……』


 ぎくっ。


「な、何の事でしょうか?」


 ヴィー! 目が泳いでる!


『……深くは聞かぬ。ただ帝都で騒ぎを起こすでないぞ? 正体を現す(・・・・・)事のないようにな』


 き、気付かれてる……!


『ではな…………87cmのEじゃな』


 プツン


 ………………。


「……きゃあああああ!」


 ヴィーは胸を抱えて踞ってしまった。正解だったのね……。



 それから十分もしないうちに、リルが戻ってきた。


「……念話水晶で連絡できるようにはなった」


「……? で?」


「何だよ」


「いや、直接行ったんだから直接話してきたんでしょ?」


 あ、リルのこめかみに血管が……。


「『好みでもない女性と話すのは嫌だから、大きい(・・・)人に連絡させなさいな』だとよ!!」


 ……パシりご苦労様。

 さて、大きい人となると……エイミア、ヴィー、リジーの順番だけど……。

 エイミアは除外。問題外。

 ヴィーは…………まだ踞ってるから除外。

 リジーは…………どうだろ。


「リジー、あんたリフター伯「絶対に拒否る」……さいですか」


 となると……私か。

 まあリルよりはマシだから「ギロリ」ごめんなさいごめんなさい。

 リルから念話してもらい、途中で代わる。


「代わりました。私で良かったですか?」


『ん〜……少し水晶を下げてくださる?』


 …………嫌だけど…………谷間付近に水晶を下ろす。


『……大きさは次第点。形は文句無し。合格』


 ……嬉しいような、嬉しくないような……。


「……じゃあ連絡します。伯爵夫人の提案を受け入れ……ますけど…………あの、何か?」


 何で私の顔をじろじろ見るかな?


『……さーちゃん?』


 はあ!?

 な、何でその呼び名を知ってるのよ!?

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