表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
246/1883

閑話 ヘビ娘はへヴィーな仲間になりそうです。

「あの……私と付き合ってもらえませんか?」


「え……? オレと……?」


「は、はい……駄目でしょうか?」


「そんな!? オレなんかとでいいんスか!?」


「そ、それは私のセリフです!! ……私なんかでよろしければ……」


「いや! いやいや! 全然大丈夫っス! つーかマジで夢じゃないっスよね!?」


「え……じゃ、じゃあ!?」


「はい、ぜひっス! どうかよろしく……」


 にょろっ


「ひ、ひえええええ! お願いしないっスうううう!! あ、頭からへヴィーがああああああ!」


「シャ?」


「…………あ……あ……あ……」


「シャ〜……シャシャ!」


 がしぃ


「シャ!?」


「あ……あ……あなたはあああ!? 何てことをしてくれたんですかああああ!!」


 ぎゅうう! ぎゅうぎゅうぎゅうう!


「じゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


「もう少しで! もうちょっとでえ! ホンットに何十年振りの彼氏ができるはずだったのにぃぃぃ!」


「じゃあ゛あ゛あ゛……あ゛……あ゛……がくっ」


「はあ、はあ、はあ……何で肝心なときに帽子から出てくるのよぉぉぉぉっ!!」


 ……メドゥーサ族のへヴィーナ、【ぴー】歳。

「今年こそ彼氏をつくってラブラブになるっ!」という儚い願いは、寝ぼけた一匹の蛇のために……潰えた。

 ……もう……やだ!


「蛇なんてだあああああっいっ嫌い!!」


「「「シャシャ!?」」」


「あいた!? 痛痛痛い!! 噛まないで噛みつくな噛むなあ!! あんた達いい加減にしないと、ドレッドヘアーで編み上げるわよ!?」


「「「シャアアア!?」」」


「……そうです。最初から言う事を聞いてればいいんです! ……はあ……もう嫌だ……」


 こうして私は、トボトボと村へ帰ったのです……。



「び、びええええええっ!!」


 ……サーチさん達のパーティに(何故か)加入することになり、その歓迎会を兼ねて帝都近くの秘湯に寄りました。

 その際に「へヴィーナの恋ばなを聞きたい人ー!」「「「はーい!」」」……という訳のわからない展開になってしまい、少し前の失恋話を披露したのですが……。

 エイミアさんには辛い内容だったみたいで、突然泣き始めました。


「辛かったんですね……大変だったんですね…………わかりました! 私がへヴィーナさんの頭の蛇を全部刈り取って……」


「「シャシャ!?」」


「それは止めてください! 流石にハゲは嫌ですから!!」


「「シャーシャ! シャーシャ!」」


「ねえ、へヴィーナ。今蛇達は『そーだ! そーだ!』って言ったんじゃない?」


 私が今回加入することになったパーティのリーダー、サーチさんが見事に蛇語を翻訳されました。


「その通りです。お見事です。宜しければ数匹、蛇を移植」


「いえ止めて結構です」


 ……ですよね……。


「でも! でも! 可哀想過ぎます……びええええええっ!」


 ……さっきから私の為に泣いて下さってるエイミアさん。泣く度に揺れる巨乳が羨ましいです。


「おい、泣くな泣くな。お前が泣いたところで、どうにかなるわけじゃねえだろ……」


「は、はひ……ずびぃぃ」


「うわ、汚ねえな! 鼻水を流してこい……たく」


 一生懸命エイミアさんの面倒をみてる男前ガールがリルさん。猫獣人族の超美脚さんです。男前なのは性格だけではなく、胸も「……蒲焼きにするぞコラ!」……すみませんすみません。


「……ま、爬虫類好きのイケメンがいるかもしれねえから……希望は捨てるなよ?」


 ……そういう問題では無いんですけど……。


「リル姉、爬虫類好きだからってへヴィーナ……姉を好きになる訳じゃない。猫好きがリル姉を好きになるわけじゃないのと一緒」


「そりゃそうだけどよ……」


「つまり慰めにはカケラ(・・・)もなってない」


 結構きわどい言葉を放っていたのがリジーさん。このパーティの中では最年少らしく、全員の名前の後に「姉」をつける。

 私は文句無しに最年長になってしまう為、リジーさんは私にも「姉」をつけるようにしたようだ。


「でもリル姉には華奢な(・・・)体型が好きな人が寄ってくる」


 がしぃ!


「おい……華奢ってのは何か? 私の胸を皮肉ってるのか?」


「……流石にそれは過大解釈」


 ……私もそう思います。


「……なら何で、ずーーーーっと私の胸を注視してるんだ?」


「気のせい気のせい」


「気のせいじゃねえええっ!!」


 ずるずるずる……


「あーれー……」


「サ、サーチさん! 大丈夫なんですかあれ!?」


「ん〜? ほっときなさいよ〜……いつものジャレ合いよ〜あははは」


 ……サーチさんは大の温泉好きらしく……すっかりふやけきっている。頼りにならない……。


「エイミアさんはどう思います?」


「え? え? どどどどうしましょう!!」


 ……完全にテンパってます。こちらも頼りにならない……。


「……仕方ありません。私がちからずく(・・・・・)で止めます!」


 ……ここは最年長の威厳を見せてあげましょぅわっ!。


「ちょっと待った!! ちからずくは止めようね! ね!」


 するとサーチさんが私を羽交い締めにしてきました。あら、サーチさんも意外とボリュームあります……じゃなくて!


「離していただけます? 早く止めないと怪我人が……」


「あんたみたいな≪怪力≫持ちが止めに入るほうが、よっぽど危険よ! エイミア止めてきて!」


「え? 私がですか? ……痺れさせますけど……?」


「へヴィーナにぶっ飛ばされるよりはマシよ! けどホドホドにね?」


「わかりました! 二人とも止めなさい〜」


 ………………あの迫力の無さで大丈夫なのでしょうか?


「大丈夫なのよ。エイミアは≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)っていう血族スキルを持ってるから……」


「なるほど。弱い電流で二人の動きを止めるわけですね」


 確かにそれでしたら、私が止めるよりも平和的に……。


 バリバリずどおおおんっ!!


「本当に大丈夫なんですかっ!? 今の音、相当な衝撃でしたよ!!」


「……あの様子だと二人そろってエイミアを怒らせたみたいね……」


 やはり私が止めないといけません!


「待ちなさいって言ってるでしょっっ……ふぬぅっっ! ……な、何て馬鹿力……!」


「馬鹿力って言わないでください……というより、邪魔しないでくださあいぃぃ……!」


「うぅ〜っ……だ、ダメだ! 『力』が低い私には止められない……! し、仕方ない、最後の手段……!」


 な、何をする気ですか!?


 きゅっ


「あひゃあああああんっ!!」


「ぜえぜえ……よ、よし、止まった……」


「ななな何てことするんですか……!! セクハラですよセクハラ!!」


 いいいきなりア、アレをつまんでくるなんて……!


「へヴィーナ、ちょっと冷静になってね……あんたが≪怪力≫を発動させて暴れたりしたら、秘湯はどうなる(・・・・・・・)?」


 ……あ。そうです。

 私の有り余る力によって、秘湯が完全に破壊されてしまう可能性が……。


「……ここを使うのは私達だけじゃない。それを覚えておいて」


 ……そうですね。

 温泉は……秘湯は私達だけのものではないですからね。



「はあー、やっと着いたな」


「ここが秘湯かあ……流石に誰もいないみたいだな」



「「げっ!」」


 だ、誰か来てしまった……!


(うわあ、マズい……! エイミア達は気絶してるし)


 ……あ、本当だ。全員浮かんでます。


(よくわかりましたね)


(あんだけ遠慮なく放電すれば自分も痺れるでしょ……じゃなくて! 何とかしないと私達全員、裸見られ放題よ!)


 なっ!

 そ、それはセクハラというレベルじゃありませんね……!


「今度こそ私が」


「だから落ち着きなさい! あんたが出てったら、それこそ見られ放題(大サービス)じゃないの!」


 ああ、そうでした!


「……私がこっそり暗殺」


「暗殺なんて止めてくださいよ!?」


 あの人達に落ち度はないんですからね……まだ。


「ならどーすんのよ!」



「おい、女の子の声聞こえなかったか?」


「うお! 混浴か! ラッキー!」



「……しまったあああ! 声が丸聞こえだったあああ!」


 うぅ……! このままだと、サーチさんの暗殺という手段しか……!

 ん? 暗殺?

 ……殺すまでいかない手なら……ある!


「サーチさん! 私に良い手段があります!」


「あーもういい! へヴィーナに任せた!」


 任されました!

 よし、目標を確認します………………いました! 半裸の男が二名!


「種族スキル≪石化魔眼≫(ゴルゴン)発動(ファイエル)!!」



 かちん!



「……やりました。完全に石化しました!」


「OK! 今のうちに風呂上がりましょ!」


 そう言ってから私達は、エイミアさん達を介抱しました。



 ……二時間後。


「……う……うーん……あれ? 何で夕方になってるんだ!?」


「……確か着いた時は昼間だったはず……?」


 頭に「?」を一杯浮かべながら、男達は温泉に向かった。



「……もうそろそろ石化が解けたはずです」


「石化って時間調節できるのね……便利だわ……」


 意外と応用がきくんですよ、≪石化魔眼≫(ゴルゴン)は。


「確かに便利だな……調節せずにぶっ放して、自分まで痺れて気絶するヤツもいるのにな」


「それは言わないでください!!」


「ふふ……ねえ、へヴィーナ」


「何ですか?」


「私達仲間なんだから……敬語はやめない?」


「へっ!? ……こ、困りましたね……これが私の地なんですが……」


「あ、そうなの? ……だったら『さん』をつけるのは無しにしよ」


 ……それくらいなら……まあ……。


「わ、わかりました……サーチ」


「うん、それでいいわ、ヴィー」


 ヴィー?


「へヴィーナだとちょっと長いでしょ? 縮めてヴィー」


「ヴィーですか……いいですね!」


「短くて呼びやすいな」


「ん。好印象」


「……どうかな? 嫌……かな?」


 ……いいえ。


「嫌なわけがありません。私のことは、今日から『ヴィー』と呼んでください」


「「「「おーけー!」」」」



 こうして。

 私ことへヴィーナ……通称ヴィーはサーチ達の真の仲間となった。

明日から新章です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ