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第二十一話 ていうか、モンスターの皆さんと友達になった。

「皆のモノォォォォォォ! 今こそ! 今こそにっくき帝国を滅ぼすトキィィィィィィィィ!!」

「「「うおおおおおおおおおおっっ!!」」」

「行くぞォォォォォォ! とぉつげきぃぃぃぃぃ!! あぎゃ!」


「何がとぉつげきぃぃ……よ! 阿呆な事やってないで、とっとと準備しなさい!」


「イタタ……ってトゲハンマー!? なんちゅうモノでつっこみ入れるのよ!」


「……あんたにはトゲハンマー(これぐらい)じゃないと、つっこみにもならないでしょ……」


 聖剣でぶっ刺す……くらいでちょうどいいのかな?


「死ぬわ! いっくら魔王でも、聖剣でぶっ刺されれば死ぬわ!」


 そりゃそうか。


「……ていうか、村人全員ノリノリで集まってんのよ! あんた達もやることあるでしょうが!」


「「「……は〜い」」」


 渋々解散する村人オールスターズ。たく……これから帝都へ向かうってのに……。



 帝都へ向かうと決めたソレイユは、村人オールスターズと共に様々な準備を始めた。まずは旋風の荒野トルネード・ウェルデネスの補強。これはソレイユ自身がダンジョンコアをイジることでできるらしい。


「……ていうか、これだけ強力なダンジョンなのに……更に補強するの?」


「例えばだけどさ。帝国が魔術部隊を全員連れてきて、対抗魔術をガンガンかけてきたら……」


「……え? それでダンジョンって陥落しちゃうの?」


「……まあ帝国クラスの大国が全力でダンジョン潰しにくる……なんて想定してないからね……」


 ……まあ普通の国ならしないわな。悲しいかな、今の帝国ならあり得るんだけど。


「トップがバカだと国民は苦労するわね〜……あ、アタシちょっと集中したいから……」


「あ、ごめん。私も私達の準備をしてくるわ」


「ゴメンね〜……」


「ん。じゃ、また後で」



 ……とはいえ食料も資材も全て。


「あ、これも持っていきなさい。これもあれも」


「それだけじゃ足りないだろう。ファングベアもう一頭分(・・・・・)持っていきなさい」


 イヤイヤ! 一頭分で十分ですから! ていうか、貰った分だけで半年は暮らせますから!


「こんなに貰ったら村の備蓄分が……」


「大丈夫大丈夫。まだ数十倍(・・・)備蓄分があるから」


 どんだけ備蓄してんだよっ!


「結構暇なんでね……しょっちゅう狩りとか、採集とかしてるから……」


 ……暇だからって生態系を破壊しないでね。でも戴いたモノは大切に使わせてもらいます。

 無限の小箱(アイテムボックス)万々歳だ。



 エイミア達も準備が終わってから、どこかへ行ってしまった。手持ち無沙汰でベンチに座り込んでいると。


「あー痒い痒い痒い……あら」


「あ、リルに絡んでたメドゥーサさん」


 髪型についてリルに愚痴ってたメドゥーサだった。


「あの時は醜態を見せてしまって……何とお詫びしたら……」


 やたらと頭を掻きむしりながら、メドゥーサは深々と頭を下げた。


「気にしないでください。酒を飲む時には付き物ですよ」


「……そう言っていただけると……痒い痒い痒い」


 メドゥーサが掻くたびに白い皮みたいなモノが落ちる。フケかよ!? デカいし汚いな!


「……あぁ、度々失礼しました。実は頭の蛇が、ちょうど脱皮中でして……」


 ………………なるほど。

 それだけ頭から蛇が生えていれば……脱皮だけでも大騒動だよね。


「……蛇が脱皮する時は餌をあげないほうがいいですから……少し食事制限するとスムーズにいくのでは?」


「え、そうなんですか!? 逆にもりもり食べさせてたのが駄目だったのでしょうか?」


 かもしれません。


「……大変ですね……ってそういえば、頭の蛇ってそれぞれ食べ物を?」


「いえ。基本的に私が食べてれば問題ないんですが……たまに何か食べてるんですよね……」


「………………………………虫とか?」


「いやあああ! 止めてくださいいい! 私、虫が大っ嫌いなんです!」


 ……虫嫌いなのに、頭の蛇が虫を食べちゃうか……悪夢だわな。


「……蛇同士で喧嘩とか?」


「……それは無いです……ただ、私と喧嘩は度々」


 ……はい?


「今日は三つ編みに挑戦したんです。そしたら『痛い痛い!』とか言って抗議してきたんです。でも今日は三つ編みの気分だったので、強行したら噛みつかれて……」


 ほら、見てくださいよ……と言って噛みつかれた痕を見せる。


「……いくら蛇でも三つ編みはキビしいでしょ……」


「でも私だって女の子です! オシャレしたいんですよ!」


 わかった。わかったから睨むな。


「……言っときますけど、目があっても石にはなりませんからね?」


 あ、そうなの?


「一応種族スキルで≪石化魔眼≫(ゴルゴン)がありますけど、常時発動はしてませんから! じゃないとご飯まで石化しちゃって食べられませんから!」


 確かに。

 その後、しばらく談笑してから私はメドゥーサさんと別れて……って。


「……今さらですけど……お名前は?」


「あ、名乗ってませんでしたね……私はへヴィーナといいます」


 ……マジでへヴィなお名前で。

 親、もう少し捻れ。



 しばらく歩いていると。


「こっちじゃないの?」


「いや、こっちで……アダダダダ!」


「ぬ、抜けない〜……」


 ……何か騒ぎになっていた。興味津々で覗いてみると……。


「あんたが! 無意味に首を伸ばすから!」


「す、すいましぇ〜ん……」


 ………………半蛇人(ナーガ)とろくろ首が絡まっていた。まわれ右して逃げれば良かったのに……。


「………………」

「………………」

「………………」


 ……ばっちり目があってしまい。


「「助けて!」ください!」


 ……しっかり巻き込まれた。



「ふんぬぬぬ……っ!!」


「イダイイダイ!」 「首がもげる! もげる!」

「いみゃあああ……!」


 ググググ……ぽんっ!


「うわっ!? ……あいたたた……」


 何かが抜けたような音がした……と思ったら、お尻を地面に強打するハメになった。痛い……。


「……取れた!」

「……抜けた!」


 ようやくほどけた半蛇人(ナーガ)とろくろ首は、お互いを抱き合って喜んでいた。

 おーい、離れろよー。また絡まるぞー。


「本当にありがとうございました!」


 ろくろ首が首をブンブン振って頭を下げる。危ないから止めなさい!


「別にいいわよ」


「そんな事言わずに。お礼させてくださいよ…………あら、露出してる割には昨日の巨乳ちゃんには負け」

「……蝶々結びって知ってます?」

「止めてくださいすいませんごめんなさい」


 ……ち。首で実演してやろうと思ってたのに。


「本当にありがとう。助かったわ」


「あなたも半蛇人(ナーガ)なのね。捕まってた子とは……」


「私の妹です。助けていただいた有翼人(ハーピー)の皆さんには、感謝してもし足りません」


 妹思いなのね……。


「……あ、そうだ。単なる知的好奇心なんだけど……」


「あ、はい。何でしょう?」


「怒らないで下さいね? ……半蛇人(ナーガ)って……卵から生まれるんですか?」


「違います。人間と同じで胎生です」


 あ、そうなんだ……。


「だからちゃんと【ぴー】もデキます」


 あっけらかんと言い放ちやがったよ! R15だからって一応気をつけてよね!?


「……もう一つ。冬眠は?」


「………………しません」


 ……さいですか。



 またまた話は弾んだのだが、二人とも用事があるそうなので。


「あ、最後に。お名前を……」


 二人はパチクリと瞬きし。


「そういえば」

「名乗ってなかったね」


「ろくろ首の私がル・マキ」

半蛇人(ナーガ)の私がクルク」


「二人でクルクルマキ!」


 ……ポーズまで決めてるんすか。ていうか、何なのその偶然かよくわからん名前。


「ホントに偶然だったの」

「名乗りあった時はお互いに二回くらい確認したもんね」


 そりゃ確認するわな。


「でも名前がきっかけで意気投合して」

「こうしてコンビ組んじゃいました!」


 ……お笑いなのね。


「あ、これからステージがあるのよ!」

「時間があったら観に来てね。じゃね!」


 ……ちなみに……得意のネタはジュゲムだそうだ。

 長いのが得意なのね……。



「あ、いたいたサーチ。転移の準備できたからいっくよ〜」


「あ、はいはい」


 ……何だかんだ言って、私も秘密の村で友達が増えました。

 ……よし、がんばるか!

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