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第十五話 ていうか、リルがやってきた。

すいません、やっぱり午前様でした。

 とりあえずタオルを借りて胸に巻きつけておく。

 ……は〜あ……見られた。思いっきり見られた。正直、ここまでショックを受けるとは思わなかった。マジ堪えた……。

 ……今から考えてみると……私以上に周囲に裸体を見られて、それでもショックを受けた素振りも見せずに他の誰かを思いやれるエイミアは……強い。

 私、ホントに良い子と知り合えたのね。そして、友達になれたのね……。


「サーチ! 大丈夫でしたか?」


 なんて考えてると、ほら。早速エイミアが私を心配して駆けてきた。


「あ、うん。大丈夫。ケガがあるわけじゃないから」


「でも……」


 チラッとタオルを見るエイミア。


「まあ、ショックにはショックだけど……」


 うー、何て言えばいいんだろう?

 すると。


 ギュ……


 エイミアが私の頭を優しく抱きしめて。

 こう言った。


「大丈夫です、サーチ……」


「エイミア……」


「大丈夫、大丈夫……」


「…………」


「大きさよりも形です」


 そこじゃねえよ!

 思わずツッコミのつもりで放ったグーパンがエイミアの鳩尾にはいる。


「うぐっふぅっ!」


 変な叫び声をあげてエイミアは昏倒した。


「げっ! し、しまった! エイミア、大丈夫!? エイミアー?」



「な、何故殴ったんですか……?」


 数分で目を覚ましたエイミアに説教されてる真っ最中です。


「……ごめん」


「すごく痛かったんですよ……心配してたのに酷いです」


「エイミアがさりげなく言った一言も酷いです」


「…………?」


 エイミア天然だ!

首を傾げられたらもう何にも言えないよ!


「何でもないよ。ホントにごめんね。弾み、てやつだから」


「? ……はあ……わかりました?」


 毎度だけどなんで疑問系?


「あの〜……」


 呼ばれて振り返ると、受付のお姉さんが立っていた。


「ちょっと……手伝ってもらえますか?」


 と言って指差す。

 その先には。


「あ……忘れてた」


 犬○家になっていたリルが突き刺さったまま痙攣を始めていた。



 模擬戦も終了したところで、今日の訓練も終了となった。夕ご飯の時間も近くなり、食堂へ行く者や外へ繰り出す者等各自バラバラの行動だ。

 私はエイミアと屋台の串焼きを食べていた。


「ふわあ〜」


「何? こういう雰囲気は苦手だった?」


「あ、いえ。あまり経験のない喧騒だったので少し驚いただけです。賑やかで華やかで……貴族のままだったなら絶対に経験することのなかった光景です」


 目を細めて感慨深げに語るエイミア。


「……そう言ってもらえると私も嬉しい。連れ出した甲斐があったわ」


 オーク肉を頬張りながら笑う。


「昔の私なら……何て野蛮な人達……とでも言ってたでしょうね。でも今は違う。こんな近くにこんなに知らない世界が広がっていたんですね」


 エイミアもリザードの肉をかじる。そんな会話をしながら笑いあっていると。


「ここ、いいか?」


 ピクピクと猫耳を動かしながら立つ影がいた。


「リル! いつの間に?」


 エイミアが話しかける。あれ、リルを知っている?


「……知り合い?」


「同じクラスですよ」


 あ、そういえばスキルクラスだって言ってたっけ。

 ま、断る理由もないし。


「どうぞ♪」


 身体を左側に寄せて席を空ける。


「おっちゃん、オークとリザード5本づつ頂戴」


「あいよ」


 ちょうど焼けていた串焼きをもらい。


「リル、食べる?」


「あ、ありがとう」


 一本手にとるリル。そのまま食べるでもなく、何も会話が無い時間が続いた。

 なんだろう……? 何か言いたそうにはしてるみたいだけど……このままじゃ埒が明かない。私から話してみるか。


「何か用?」


「……うん」


 頷いて……しばらく間をおいて……。

 ようやく決心したのか、ストレートに話を切り出してきた。


「もし良ければ……私とパーティを組んでもらえませんか?」


 ……パーティ申請?


「「…………」」


 思わず顔を見合わせる私とエイミア。一応、私達は育成学校を卒業してからパーティを組む予定ではいた。けど、あくまで私とエイミアとのツーマンセルのつもりだった。まさかパーティ申請があるとは思わなかった。

 さて、どうしたものか……。


「わかりました」


 エイミアが返事をする……てエイミア?


「私と勝負して、勝ったらパーティを組みましょう」


「はいぃぃっ!?」

 エイミア!?

 何を勝手に返事してるのよ!!

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