小話 転生しちゃった残念な神様のその後
お……おおおお!
越えたぞい! 次元の壁を越えたぞい!
さあ! 行くぞ!
我がパラダイスへえええええっっ!!
おぎゃあ! おぎゃあ!
十年後。
お、おかしいぞい……。
何なんじゃ、この恐ろしいストレス社会は!
くう……! 我の力が使えれば、このような事は…………我は……早計であったかもしれぬ。
五年後。
何じゃ、この世界は!
面白い! 面白すぎる!
何という偉大な発明なのじゃ、このゲームというものは!
うぬう……夢中になりすぎて時間が経つのも忘れてしまうわ。まるで魔術じゃな!
ゲームの攻略法をネットで説明してやったら、弟子みたいなモノが異様に増えたわい。前世のように飼い犬に手を噛まれぬよう気をつけねばな。
十年後。
ゲームの世界大会で優勝したぞい! いやあ愉快愉快……我を崇めよ! 崇めるのじゃ!
日本では「ゲームの女王様」と呼ばれておる!
……ん? 我が女に転生したのがそんなにおかしいか?
そうそう、転生の際につい持ってきてしまったハレンチ女の下着! ついに我のサイズに合わなくなったのじゃ!
ふふふ、更に愉快愉快! 我のバストはハレンチ女と〝真鉄〟を越えたのじゃ!
我は叫ぶぞ! 届け我が魂の叫び!
「ざまあみろ! ペチャパイ女ー!!!」
……ぶちぃ
「? ……サーチどうしたんですか……あきゃっ!」
「あ、ごめんなさいエイミア!」
「なんで叩くんですか!? ……びえええっ」
何でだろ? ついイラッとして……。
何かあの下着ドロボーを思い出しちゃったからかな? 私のお気に入り持っていきやがって……!
ぶちぃ
「次はこの書類にぽげぎゃあ!!」
「……あ、ごめんデュラハーン……ついイラッとして真っ二つにしちゃったわ」
「やめてください! 首みたいに元に戻らなくなったらどうするんですか!」
「ごめん……ふあ〜」
「……〝繁茂〟様とデートしすぎでは?」
「っ〜〜〜!!」
「おや、魔王様? 顔が真っ赤になってぐぼらあっ!」
「あ…………つい木っ端微塵にしちゃった
……あのクソジジイがすっかりミレニアム懸賞問題を忘れて、ゲームに傾倒してる……なんて知ることは…………ない。
やっぱり残念な神様だった。




