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extra1 帰還のサーチ。

 こうして、私とリーフは無事に灼熱大陸に帰還することとなった。


 ブゥン


「っとと」

「こ、ここは?」


 ……帰ってきた……はず、よね? 戻った先は火口ではなく、一面緑色に染まる草原だった。


「ていうか、ここはどこ?」


 灼熱大陸生まれのリーフに聞いてみるものの。


「さ、さあ……」


 わからんのかい!


「しゃ、灼熱大陸にここまで緑豊かな場所があったなんて……」


 確かに。荒れ果ててるってイメージしかなかった。


「「「サーチお姉様~~!!」」」


 ん?


「「「リーフ~!」」」


「あ」


 声が聞こえた方を見てみると、精霊シスターズがこちらに走ってきていた。


「フレア! ウォータ! スカイ!」

「「「サーチお姉様~!!」」」


 三人揃って私に全力ダッシュしてくる。両手を広げてる以上、私に抱きついてくるつもりだろうけど……そうはいかない!


「サーチお姉様!」

「はぁい!」

 パァン!

「ひゃぐ!?」


 最初に現れたフレアに、カウンター気味の平手打ちをぶちかます。


「サーチお姉様!」

「ほらよっと!」

 パシンッ!

「うわわわっ」


 次に現れたウォータは、華麗な足払いで宙に浮かし。


「サーチお姉様!」

「とぉう!」

 ズドムッ!

「ぐふぅ!?」


 最後にスカイは、全力で膝を決める。


「わ」「きゃ」「くぁ」

 ドサドサドサー


 折り重なって倒れた三人の上に立ち。


「びくとりぃぃ!」


「……サーチお姉様、三人ノックアウトしてどうするんですか」


 あ、いや、こういうときってさ、抱きついてきた相手を避けてズザザザザ~……ってのが定番だから、それを超えてやろうと思っただけ。



「ひ、酷い目に遭った……」

「せっかくの再会なのに……」

「腹パン効きました~」


「だから悪かったって……ていうか、あんた達、何か雰囲気変わったわね? ちょっとふっくらしたというか」


 そう言われた三人、私に詰め寄り。


「「「ふっくらしてなわわわっ」」」


 反射的に繰り出しそうになった私のカウンターを警戒し、距離をとって止まる。


「何なのよ、一体」


「「「ノックアウトされたくないですから」」」


 そりゃそうか。


「それより私達も、何故こうなったのかわからないの」

「死んだ皆が生き返ってるんです」

「何が起きたのか知りたいんです~」


 それは私達が知りたいことなんだけど。


『それはですね、ミスズさんと怨嗟さんによる改変の影響です』


 ……え?


『母さん、さっきぶりですね』


 ど、どこからか紅美の声が……え、え?


『私もミスズさんからのご褒美という事で、母さんと話をする機会を頂きました』


「そ、そうなんだ……」


 元の世界に帰れることで頭がいっぱいで、紅美をすっかり忘れてた。


『……母さん、私の事を忘れてなかった?』


 う。流石に紅美は誤魔化せない。


「……ごめん」


『クスッ、想像通りだったわ』


 マ、マジでごめんなさいい。


『それより母さん、さっきの話の続きだけど』


「あ、うん」


『改変によって精霊族は砂漠大陸に移動してるそうよ』


 リーフの願い、早速叶ったみたいね。


『当然ながら人間とは完全に分断されたって』


 まあ、そうなるわね。


『で、問題は人間と精霊族とのハーフなんだけど』


 ああ、精霊シスターズやホープね。


『どちらでも暮らすのは難しいだろうって事で、ミスズさんの打診を受け入れてくれた魔王様のところへ行くって』


 ソレイユのとこか。


『えっと、秘密の村ってとこを、かなり拡張したから大丈夫だって』


 秘密の村なら間違いなく安全ね。


『但し、本人達の希望で、イロハさんとホープさん、あとそこに居る三人はリファリスさんのとこに行くって』

「……はい?」


「「「私達、他の大量を見てみたいんです」」」


「……えっと?」


『五人でパーティを組んで旅をしたいそうで。ならば、とミスズさんの執り成しで、リファリスさん面倒見てくれるんだって』


 あ、ああ、なるほど、そういうことか。


「リファリスの庇護下なら大丈夫ね」


 たぶんリファリスのことだから、一緒に旅に出るって言うだろうし。


「そっか。そういう風になっちゃうのね」


『はい……人間と精霊族が交わる事は、もう二度と無いようにするって』


 それはその方がいい。殺し合うほど相容れないのから、離れた方がいい。


「ただ、精霊族はミスズさんや〝怨嗟の竜〟に保護されてるけど……」

『人間達は以前のまま、放置するみたいだから……』


 人間側の被害も甚大だったから、そこから立て直すのは大変な道のりだろう。ま、時間をかけてゆっくり再興してくしかないんだけどね。


『あ、そろそろ時間だ……母さん、お別れね』


 え?


『また話せる時は作ってもらえるみたいだから、それまでバイバイだね』


「え、待ってよ、そんな急に」


『ごめん、ナタリーンが心配してるみたいだから』


 ナ、ナタリーンが?


『ごめん、また今度ね、じゃ』

 プツンッ


「紅美! 紅美!? ウソでしょ、ちょっと!」


「……返事……ありませんね……」


 …………。


「サーチお姉様、また話せるそうですから。そう気を落とさずに、ね?」


「……ナ……」

「ナ?」

「ナタリィィィン……殺す」

「ひえっ」



「……ーミ! コーミ!」


 ……はっ!?


「コーミ、どうしちゃったのさ!?」


「ナ、ナタリーン?」


「ああ、やっと気が付いた! コーミったら、ゲームしながら気を失っちゃったんだよ!?」


 そっか、戻ってきたんだ。


「……私、どれくらい気絶してたの?」


「え? ご、五分くらいかな」


 五分か……ずいぶんと長い、濃密な五分だったな。


「っ!! ひいいっ」


「ん? どうかした?」


「あ、いや、何か凄い寒気を感じたから」


 ああ、それは。


「間違い無く母さんだわ」


「……は?」


「ナタリーン、今度話す機会があったら、ちゃんと謝りなさいよ」


「は? え??」



 母さん、またドラゴンズサーチで逢おうね。

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