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final battle13 同調のサーチ。

「ふぇぇ、勝っちゃったんですね」


 避難していたふぇ子が戻って、私達の勝利に驚く。


「ていうか、ホントに勝ったって言えるのかな?」


「ふぇ、何でですか?」


「だってさ、私は直接何かをしたわけじゃなく……」


「ふぇ」


「後半はほとんど気絶してただけだし」


「あはははははは! た、確かに! ぶふふっ! あっははははははははばはふぅい!?」

「笑いすぎだよ!」

「うぐぐ…………き、効くねぇ……嘆きのデコピン並みだよぉ……」


 へ? 嘆きのデコピン?


「デコピンってミスズさんの代名詞だけど……え、嘆き?」

「ふぇ、しまっ」

 がしぃ

「ふぇぇ!?」


 突然ふぇ子の首根っこを捕まえたミスズさんは、空中に穴を作り。


 ずぼっ

「ふぇっ」

「ダダダダダダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウウウウツッ!!」


 両手を突っ込んでダウダウ言い出す。


 ビクビクッ……ガクッ


 痙攣していたふぇ子が動かなくなると、両手を何故か隠したままミスズさんが振り返り。


「サーチ、そろそろ元の世界に帰る準備をしましょう」


 ニッコリ微笑んだ。


 ポタポタッ


 その後ろに、かなりの量の血が滴り落ちてることには気づいてたけど、そこは触れてはいけない気がしたので聞かずにおいた。



「それじゃサーチ、この壁の前に立って」


 そう言って連れてこられたのは、路地裏の行き止まりだった。


「はい?」


「ここが一番()の薄いとこだから」


 壁が薄い?


「ここをブチ破れば、サーチは元の世界へ帰れます」


 は?


「か、壁をぶっ壊せばいいの?」


「はい」


 か、壁を壊すって……こうすればいいのかな?


「おしおキック!」

 ごげんっ!

「いったあああああああい!」


 まっったくビクともしない壁。ていうか、硬すぎるよ……いたた。


「サーチ、蹴って壊れる程、世界の壁は甘く無いですよ?」


 わかってます。実際に体験しました。


「ていうか、これだけ厚い壁、刃物も通りそうにないんだけど」


「サーチ、この世界はゲームなんですよ?」


「そうですね」


「ゲーム内で一番威力があるのは、剣でも蹴りでもないでしょう?」


「……あ、フェイバリットか」


「そうです。フェイバリットムーブこそが、この世界を超える鍵なんですよ」


 ……ん?


「フェイバリット……ムーブ?」


「はい、フェイバリットムーブですよ」


「フェイバリット……じゃなく?」


「はい?」


 ああ、なるほど。フェイバリットムーブが正式名称なのか。


「フェイバリットだけじゃおかしいと思ってたのよね……」


「はい?」


「あー、何でもありません……とにかくフェイバリットいきます。『鉄クズの流星雨』(シューティングスター)!」


 バガガガガガガガッ!


 至近距離でのフェイバリット……ムーブだから、効果は抜群のはず。

 が。


「……ウ、ウソでしょ、傷一つない」


 ちょっと、マジで硬いなんてレベルじゃないわよ。


「サーチ、フェイバリットムーブは一つじゃないでしょう?」


 え?


「もう一つは回避専用だから、攻撃すらできないわよ」


「違います。更にもう一つあるでしょう?」


 …………あ。


「そうだったわ。私、もう一つフェイバリットがある」

「フェイバリットムーブ」

「あーはいはい。フェイバリットムーブがあるんだったわ」


「「「……え?」」」


「ただ、私一人じゃ使えないのよねえ、これ」


「サーチお姉様一人じゃ使えないって、どういうフェイバリットなんですか?」

「フェイバリットムーブ」

「あ、はい、フェイバリットムーブなんですか?」


 ミスズさん、こんなときにそこに拘らなくていいですから。


「えっとね、『同調』(シンクロ)っていうの」


「シンクロ?」


「簡単に説明すると、他の人のフェイバリット……ムーブを、自分のそれに融合するの」


「は、はい?」


「まあ……一回やってみようか。リーフ、私が発動するのと同じタイミングでフェイバリットムーブしてみて」

「わ、わかりました」


 一旦間を置き、まずはリーフから。


『深緑の葉刃』(リーフカッター)!」


 よし、今だ。


『同調』(シンクロ)! 『葉刃の流星雨』(シューティングリーフ)!」


 バササ……シュシュシュ!

 ザクザクザクザクザクッ!


 あ、壁に次々に突き刺さってる。


「す、凄い。今までで最高の威力です」


 葉っぱは刺さったけど……そこまでが限度だったらしく、壁は傷ついただけで未だ健在。


「これは……もう一つ『同調』(シンクロ)しないとダメね」


「え、でも他にシンクロできる召喚獣は居ませんよ?」


 まあね。召喚獣はいないわ。


「だけど、私が一番シンクロしやすいのがいるから」


 そう言うと、私は紅美を見て笑った。



「わ、私はフェイバリットムーブなんてできないけど?」


「あんたが一番得意なのをやればいいのよ」


「得意なの……ああ、だったら」


 紅美はナイフを八本構える。おお、八○流。


「これでいいのよね?」


「オッケー。いい、同時だからね、同時」

「わかってる」

「わかりました」


 三人同時に息を吸って。


「……いくわよ」

『深緑の葉刃』(リーフカッター)!」

「『ナイフ投げ』!」

『同調』(シンクロ)! 『葉刃の流星ナイフ』シューティングリーフナイフ!」


 シュシュシュ!

 ドスドスドスドスドスドスッ!


「どうよっ!」


 ビシシ……ガラガラガラ

 ズズゥン!


「「「やったあああっ!」」」


「サーチ、見事です」


 壁は見事に崩れ、その先には……………………あれ?


「ま、また壁?」


「さあ、世界の壁はあと二枚あります」

「「「えっ」」」

「硬度はさっきの倍あります」

「「「ええっ」」」

「さあ、もう一踏ん張りです」

「「「えええっ」」」


「……とは言っても、流石に厳しいでしょうね。ここは私が……ダウト~」

 ずびしっ!

 ばがあああああん!


「サービスしておきましょう」

「「「…………あざーす」」」


 何か、いろいろ台無し。

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