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final battle4 再戦のサーチ。

 バチ……バチバチ……


 リーフのハンマーをどかしてみると、ペチャンコになった炎の王の身体は、火花を散らしながら沈黙していた。


「……終わった……のかしらね」

「はあ、はあ、はあ……」


 激しい息遣いに伴って、激しく縦揺れする胸。ていうか、先っぽは濃い緑なんだねぇ。


 きゅっ

「はあああああああん! な、何をするんですか、急に!」


 あ、ごめんなさい。あまりにもキレイな緑色なもんだから、本物か確かめてみたくなっただけ。


「ていうか、ほら」

 バサッ


 とりあえず布を一枚かけてやる。


「あ、ありがとうございます。この布は何ですか?」


「火口へ続く道の途中で、宝箱があってさ。その中からでてきたのよ」


「い、いつの間に……」


 んっふっふ、そういうとこは抜かりはないわ。


「で、サーチ、その布は何なの?」


「えーっとね…………大魔神のふ……あ…………服の原料だって」


「サーチお姉様? 今の間は何ですか?」

「明らかに読んだらマズい箇所をすっ飛ばした感じよね」


 うう。リーフもソース子もスルドい。


「はあ……わかったわ、白状するわよ。それは〝大魔神のふんどし〟っていうレアアイテム」


「大魔神のふんど……っぎゃあああああああっ!」


 悲鳴をあげながらレアアイテムを放り出すリーフ。


「ちょっと、もったいないじゃない」


「だって、ふんどしですよふんどしですよふんどしですよ!?」


 わかったから、ふんどしを連呼するのは止めなさい。


「確かにふんどしだけど、まだ未使用の新品よ」

「新品でも気分的に嫌です!」


 そりゃそうなんだけど。


「このふんどし、付属効果が凄まじいのよ」


「付属効果?」


「ええ。いわゆるユニーク装備ってヤツでね、何と装備者の苦手属性を無効化するんだって」


「苦手属性を無効化ですか!?」

「それって、リーフが無敵になっちゃうんじゃ!?」


 それを聞いたリーフ、イソイソと大魔神のふんどしを身体に巻きつける。


「……意外と現金ね、あんた……」


 装備し終わると、ふんどしの表面に変なマークが浮き出てくる。交通標識の通行止めの中に、炎が書き込まれている。


「あ、火属性無効化の魔方陣が出ましたね」


 魔方陣!? 交通標識のパクりみたいなのが!?


「うーん、流石は大魔神の護符です」


「え、護符?」


「はい、今からこれは大魔神の護符です」


「いや、大魔神のふんどしだって」


「いえ、大魔神の護符です」


 これこれ、現実逃避しちゃいかん。


「大魔神のふんどし」

「大魔神の護符」

「ふんどし」

「護符」


「……言い争う程の価値ある話題じゃありませんよ、それ」

「「ハッ!?」」


 ヴィーの冷静なつっこみで、二人とも我に返る。


「ま、まあ、ふんどしだろうが護符だろうが、装備するのはリーフなんだから」

「本人が護符だと思うなら、護符でいいんです」


 装備品で苦手属性を克服したリーフは。


 ゴオオオッ!


「え……きゃああああああっ!」


 背後からの火炎弾によって、ムリヤリその効果を試すこととなった。



「あっつ、あつ…………あれ、熱くない?」


 リーフの全身を包んでいた炎は、やがて交通標識……じゃなくて対火属性魔方陣に吸い込まれていった。


『許さぬ……許さぬぞ』


 ペチャンコの身体をムリヤリ動かした炎の王は、やがて。


 ガラガラ……ズズン


 どうにか繋がっていた身体が崩れ、バラバラになって地面に伏した。


「……イタチの最後っ屁ってヤツかしら」


 チョンチョン ガタガタ


 ピクリとも動かなくなったガラクタの山を、鉄の細い棒でつつきまくる。


「っ! サーチ、まだ魔力反応があります!」


 え、マジで。


「ちょっと離れてよ」


 いきなり爆発されてもイヤだしね。


 ガタ……ガタガタガタ……

 ブスン ブスン


「……そういえばミスズさん、固着だとか永久だとか詠唱してたわよね?」

「一字一句同じかは覚えてないけど、そんなような事は言ってたね」


 つまり、炎の王が滅んでない限り、あのガラクタには意思があると思わなくちゃならない?


 ガタガタ……ゴオオオッ!


 そして、ついに火柱が立つ。


「やっぱり……これってラスボスの第二形態ってことよね」


『ヌガアアア……ワレハマケヌ……ワレハホロビヌ!』


 火柱から機械の腕が現れる。ていうか、コードでかろうじて繋がってるだけの状態だけど。


「……ガラクタをコードや部品でムリヤリ繋ぎ合わせて、身体を形成したのか……」


 コードや部品を炎が伝い、ガラクタの周りを強烈な熱気が包む。どんどん巨大化する炎の王は、やがてドラゴンを思わせる形になる。


『ワレハホノウのおウ……ワレハまけぬ……負けヌ……スベテハ我が前に平伏すのだああアああ!』


 壊れたスピーカーみたいな声で言葉を発する炎の王は、コードを伸ばして炎を展開する。


「ちぃ! バラバラになった分、ああいう芸当ができるようになったわけか!」


 ヒュンヒュンヒュン!


 次々に襲ってくるコード……炎の触手は、触れるだけで大火傷を負うくらいの熱気を纏っている。


「こ、これは厄介だわ……!」


 ただ炎を放つだけなら、攻撃は一直線だから、避ければ済む。だけど炎の触手は、避けても追ってくるわけで……!


「っ……避けきれない!」

「サーチお姉様、リーフの後ろへ!」


 リーフの後ろって……そ、そうか!


 ヒュヒュン! バシィ!


「火属性は完全に無効です!」


 大魔神のふんどし……護符のおかげで弱点がなくなったリーフにとって、炎の触手は単なるコードでしかない。つまり、素手で掴むくらい朝飯前なのだ。


「葉刃!」

 ザンッ!


 コードを根元から切断する。


「サーチお姉様、炎さえ無ければ単なるガラクタです。リーフが防ぎますので、その隙に攻撃を!」


 オッケィィィィ!

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