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last stage16 準備のサーチ。

「ええっと、確かサラ・マンダを呼び寄せる方法が知りたいのでしたね?」


 ミスズさんの問いに、首を縦に振る。


「……成程、状況は把握しました。つまり炎の王を名乗る輩と戦って勝たないと、サーチは元の世界に帰れないから、戦いが成立する状態に持って行きたいのですね!」


「そう!」


 つい先走りして、器の肉体を破壊しちゃったもんだから。


「……でしたら私が倒しちゃいましょうか?」


 はいい?


「私だったら、相手が火の固まりだろうが霊体だろうが、デコピンで一撃ですよ?」


 え、それっていいのかな?


「ほら、ダウト~」

 ずびしっ!

『ぐわああああっ!』


 あ、火口から吹き出してた炎が半分吹っ飛んだ……って、炎の王にダメージあったのかしら?


『そ、そんな! 最強であるはずの我が、デコピン一発でここまでダメージを!?』


「最強? 貴方が? ちゃんちゃら可笑しいですね」


 そう言って身体を浮き上がらせるミスズさん。あれ、気のせいかな。ミスズさんの周りに、竜の形をしたオーラみたいなのが見える気が?


『お、お前は一体……?』


「あら、すぐ近くに〝怨嗟〟を抱えている灼熱大陸の住人なら、すぐにわかって頂けると思っていたのですが」


 ミスズさんの口から〝怨嗟〟の言葉が出たとたんに、明らかに炎の勢いが小さくなる。


『ま、ままままさか、まさか、貴様は…………あ、いえ、貴女様は!?』


「私の正体がわかったところで、サッサと消えてもらおうかな。山ごと吹っ飛ばせば、一撃で逝けるでしょう♪」


『な、や、止め、止めて下さいいい! 我を吹っ飛ばしたりすれば、あの娘は永久に戻れなくなりますぞ!』


 え?


「ミスズさん、ストップ。それ、どういうこと?」


 ミスズさんが手を下す前に、確認のために聞いてみる。


『我を倒した者のみ、この世界で願いが叶えられるようにプログラムされている。つまり』


「ミスズさんが倒しちゃったら、私の願いが叶わなくなると?」


『そういう事だ』


 うーん、それはマズいなあ。


「ミスズさん、倒すのちょい待ちで」

「しっぺダウト~」

 びちぃ!

『ひぎゃああああっ!』

「もう一発ダウト~」

 ばちぃ!

『ぐぎゃああああっ!』


 ていうか、もうすでに攻撃してるし!?


「あ、サーチ、大丈夫だから。デコピンなら死ぬけど、しっぺだったら死なないから」


 理屈がわからないんですが!?


「まあ、これくらい弱めておけば、サーチだけでも楽勝でしょう」


「あの、ですから、お互いに有効な攻撃手段がなくて、ですね」


「ああ、肉体でしたね…………えいっ」


 再び腕を空中に突っ込むミスズさん。見えなくなった右腕は、たぶん異世界に飛んでいるのだろう。


「…………うん、これでいいですね」


 ぐいーっ ずぽん!


 何かを掴んだらしいミスズさんが、そのまま引っ張り出す。


『ガガガ、ゲンジョウ、リカイフノウ。リカイフノウ』


 出てきたのは……ロボット?


『リカイフノウ、リカイフノウ、ガガガ』

「五月蝿いのでダウト~」

 ずびしっ! バガァァン!

 キュウウ……ゥゥン


 デコピンでロボットの頭が粉々になり、そのまま機能停止する。


「ふー。はい、これなら新しい肉体に十分じゃない?」


 ロ、ロボットが新しい肉体すか。


『ど、どうやって、未知の身体に馴染めと言うのか……?』


「なぁによ、このくらい単純な身体なら支配は簡単でしょう?」


『い、いや、頭吹っ飛ばされて死んだ肉体には、流石に宿る事は難しく……』


 そりゃあ、死んだ肉体に宿ったらゾンビだもんね。


「そこまで面倒見なくちゃならないの…………まあ他ならぬサーチの為だから、まあいいかな」


 そう言うとミスズさん、いきなり炎を手で掴む。


「はい、捕まえた」

『がっ!?』


 ミスズさんの手にはマグマが玉になったようなモノが掴まれている。


「封呪、固形化、魔炎卵」

『が、が、あがああっ』


 そのまま固まっていき、マグマの玉は赤い球状の物質に変化する。


「よし、まあまあの出来ね……あ、出来が良いとサーチが苦戦するか。えい、ダウト~」

 ずびしっ!

『ひぎぃぃ!?』


 デコピンされて、少しだけ小さくなる。


「これくらいでしょう。では、固着、接続、永年」


 ストン

 ガガガガ、ガタガタガタガタ


 頭があった場所に赤い玉がセットされると、ロボットの身体が振動し始める。


『が、ガ、あが、ぐああ、ガガガガ、ゴガがガがガがガがガ!』


 ロボットの関節から炎が吹き出し、それが身体にまとわりついていく。


『ガがガがガがガがガがガあががががぐああああああ!』


 ガタガタガタガタ、ブシューーッ!


 背中から蒸気みたいなのを上げて、ロボットの身体が動き始める。


『あ、が、が……か、身体が軽い…………前の身体より馴染んでいるようだ……』


「それは良かったわ。サーチ、これで炎の王を倒せますね?」


 た、倒せるって……ロボットアニメのラスボスみたいなのを?


「では、また会いましょう。アデュー」

「え、ミスズさん? ちょっと!?」


 シュンッ


 ミ、ミスズさん、消えちゃった……。


『ふ、ふはははは、ふはははははははは! 我は、我は、無敵の身体を手に入れたのだああああっ!』


 ガシャン! ブオオオッ!


 身体のあちこちから炎を吹き上げる、厳ついロボット。できれば戦いたくないんですけど。


「ま、まあ、火山相手にするよりはマシか……」


 両手にリングブレードを持ち、身構える。


「ソース子、これが最後の戦いよ。準備はいい?」


「あ、うん、勿論」


「そう。なら指示を」


「わかったわ……あのポンコツを粉々にしなさい、私の召喚獣よ!」


 オッケー、承りぃ!

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