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last stage10 竿釣のサーチ。

 だんだんと近づいてくる火口。それと同時に、激しくなる敵の襲撃。


「たくっ、キリがないわね!」

 ザスッ!

「ぐぼおっ!」


 リングブレードで首筋を斬られたザコが、頸動脈から大量に出血しながらマグマに落ちていく。


「一匹ずつ片付けていては、時間がいくらあっても足りませんよ!」

「同感じゃ! ここは一ヶ所に敵を集め、一網打尽にした方が早いの!」

「賛成です! リーフもチマチマするのは飽きました!」

「ふぇぇぇ!」


 ヴィーの提案に、全員が賛同する。ていうか、ふぇ子が賛成したのかはわかんないけど。


「オッケー! 私が注意を引いて敵を集めるから、みんなは一斉攻撃をお願い!」


「サーチお姉様? どうやって注意を引くんですか?」


「ていうか、敵が何を狙ってるかはわかってるわよね?」


「あ、はい。召喚主様を集中的に…………ま、まさか?」


 そう、そのまさか。


「……ん?」


 私に必死に守ってもらってるのを知って知らずか、欠伸をしているソース子が私と目があった。



「ま、待って。か、サーチさん、考え直そうよ!」

「あらあら、我が召喚主はずいぶんとヒマそうだったし、少しは働かないと、ねえ?」


 頷くヴィーとふぇ子。あのふぇ子ですら、リーフに指示を出しつつ、敵の攻撃から必死に逃げ回っていたのだ。


「逃げもせずに、私に守られてばっかだったあんたには、命を懸けて敵を引きつける義務がある」

「そんな義務は放棄するぅぅぅ!」

「義務を怠って権利ばかり主張したって、誰も同意してくれないわよ」


 オリハルタイト製のワイヤーでグルグル巻きにしたから、マグマに落ちる心配もない。


「あとは私の腕次第ってね! いっけえええええええ!」

 どんっ! ひゅうううぅぅぅ……

「うっぎゃああああああああっ!!」


 マグマの川に向かってバンジージャンプするソース子。ある程度経ってから、これまたオリハルタイト製の釣り竿を引っ張る。


 ビィィン!

「くあっ! お、重い!」


 持って行かれそうになるのを耐え、ソース子をマグマの表面より少し上辺りでブラブラさせる。


「サーチ、マグマからいろんなのが出てきましたよ!」


 ヴィーの言葉をきっかけに、今度は大急ぎで釣り竿を引っ張り上げる。


「だらああああっ!」

 ぐいいいっ

「ぁぁぁぁぁあああああっ!!」


 引っ張り上げられすぎて、私の頭上まで飛び上がるソース子。


「「「グオオオオッ!」」」


 それを追って私の目の前に現れるザコ達。ソース子にしか注意が向いていないため、私達から見れば隙だらけだ。


「今じゃ! ≪水流弾≫(アクアバレット)!!」

『深緑の葉刃』(リーフカッター)!」


 ドドドオオオオオオオオン!

「「「グギャアアアアアアッ!!」」」


 マーシャンの魔術とリーフのフェイバリットが同時に炸裂。ザコ達が一気に数を減らす。


「よし、私も! 『鉄クズの流星雨』(シューティングスター)!」


 バボボボボボボボ!

 バキュドシュザシュ!

「「「ギャオオオオオオオオオッ!」」」


 鉄クズの弾丸が炎の身体に穴を空け、次々に手負いのザコ達に止めを刺していく。


「ぎゃああああああああっ!」

 ひゅうううぅぅぅ……びだぁぁん!


 あ。ソース子のこと忘れてた。



「もう嫌! もう嫌だからね!」


「わかった、わかったって」


 ソース子、いいことを教えてあげるわ。


「嫌だ嫌だって言ってるのはね、もっともっとっていう気持ちの裏返しなのよ」


 徐々にマグマの谷に引き摺られていくソース子は、涙を流しながら首をブンブン振る。


「そんな事無いいいっ! 嫌々々! 絶対に落としちゃ駄目!」


 うわあ、熱湯風呂の上で嫌がりながら待機してる、某三人組にしか見えない。


「それじゃ行くよ、も一回バンジィィィィィィ!」

 どんっ!

 ひゅうううぅぅぅ……

「いぃぃぃやぁぁぁ!」


 またマグマに落ちないくらいで、釣り竿をおもいっきり引く。


 ビィィン!

「わっ! やっぱ重いいぃぃぃ!」


 自分自身をオリハルタイトのワイヤーで壁に固定して、必死に引っ張り上げる。


「あっちぃ! あっちぃぃぃ!」


 ありゃ。ちょっとマグマに着いちゃったか?


「ガマンしなさい! 今引っ張り上げるから!」


 ぐいぐいぐいぐい


 急遽リールを作り出し、急いで引き上げる。


「あちあちあちあち! 敵が敵が敵が敵があああああっ!」


 どうやら順調に敵を引きつけてるようだ。


「マーシャン、ソース子がちょっぴり火傷したみたいだから、回復しつつ迎撃お願い」

「難しい事を強要するのう……まあ、何とかするかの」


 そう言ってマーシャンは、マグマの川に向かって両手をかざす。


「……癒しの雨よ、一帯に注げ……≪治療降雨≫(キュアレイン)

 ザアアア……


 広範囲に雨が降り始める。


「熱い熱い熱い熱い冷たい熱い冷たい熱い冷たい熱い冷たい冷たい冷たい冷たい!」

「「「ギャアアアアアアアアア!!」」」


 癒しの雨とはいえ、水は水。炎の身体には致命的にしかならず、ダメージを負ってマグマへと落ちていくザコ達。


「冷たい冷たい冷たい冷たいいい!」


 そして引き上げられたときには、ソース子の火傷はすっかり癒えていた。


「ソース子ちゃん、おかえりー」


 手を振る私に、おもいっっきり殺意を込めた視線を送るソース子。


「か……サーチさん、この恨み、忘れないからね……!」


「きゃああ、ソース子ったら怖いいい……ていうか、そんなにナイスバディだったっけ、あんた?」


 身体はキレイに治ってるけど、服は……。


「え……い、いやあああああああああああ!!」



 こうして、ザコを無事に一掃した。さあ、あとはラスボスだけだ。

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