ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜

ドラゴンズサーチ ～最終決戦～

last stage9 不意のサーチ。

　最初の手下を倒してから、ポツポツと同じような襲撃を受けるようになった。

「ま、一度経験してるから、もう不意打ちにもならないけどね」

　ザクッ！

「ぐぎゃああああっ！」

　リングブレードで首筋を斬られ、片膝を着く手下その六。

「正直同じ戦法で襲撃してくれるから、対処法が楽でいいわ。ま、今度からはもう少し頭を使うことね…………今度があれば、だけど」

　ザン！

　ドンッ……ゴロゴロ

　地面に転がった手下の首は、私を恨めしそうに睨んでから消滅した。

　火口までの距離はまだまだある。この様子だと何回か襲撃はありそうだ。

「みんな、気を引き締めていくわよ」

「え？　同じような襲撃なら、どうとでもなるんじゃ？」

　ソース子が首を傾げる。

「炎の王もバカじゃない。そろそろ違う方法を模索してくるはず」

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャジャーン！」

「うわっ！？」

「きゃあ！」

　ウワサをすれば何とやら、地面から突然何かが飛び出してくる。

「あ、びっくりした？　びっくりしちゃった？　ごめんなさいねーケラケラケラケラ」

　ビ、ビックリした。マジでビックリした。

「……リビングアーマーか」

「あったりー！　炎の王様の命令を受けまして、炎のリビングアーマー参上でありまーす！」

　そう言って鎧の隙間から炎を吹き出すリビングアーマー。

「なるほど、さっきまでの能なし手下ちゃんとは違って、今回の不意打ちは趣向を凝らしてきたわけだ」

「不意打ちー？　この私が不意打ちー？　ノンノンノン、不意打ちだったらあんた達の半数は死んでたよ」

　あ？

「勘の良さげなストリップちゃんなら、避けられたかもね♪」

　ストリップちゃんてのは、私のことかしら？

「ほーらほら、せっかく少しだけ延びた寿命なんだから、この私に感謝しなさーい。感謝感謝！」

　……何かムカつくリビングアーマーね。

「ふぇぇぇ！　どこまで私達を小馬鹿にするんですかぁぁ！」

　あ、珍しい、怒りのふぇぇ。

「行きますよ、リーフさぁん！」

「え、あ、はい、召喚主様」

　スゲえ、召喚獣のリーフまで戸惑ってるよ。

「一気に決めます！　フェイバリット行っちゃって！」

「あ、はい。『深緑の葉刃』(リーフカッター)」

　バササッ……シュシュシュシュッ！

　はっ○カッターがリビングアーマーに殺到する。

　が。

　ギギギギギギン！

「効かない効かない効っかなーい！　全っ然効果無いね♪」

「……やっぱり……」

　リーフはある程度は想像してたみたいで、あまり驚いていない。

「ふぇぇぇぇぇ！？」

　ただふぇ子はアゴを外しそうなくらい、大口を開けて驚いていた。

「ていうか、相手は鉄鎧なんだから、葉っぱが通用しないくらいわかるでしょうに」

「サーチお姉様、私の召喚主様ですから」

「ふぇぇぇ！？　リーフさんから残念な子扱いされたああ！？」

　いや、かなり前から残念な子扱いでしたから。

「ならば、私達の出番でしょうか」

「うむ、そのようじゃの」

「むむむむむ……サーシャ・マーシャが相手ですかあ、これは私が分が悪いかな？」

　そう言いながらも、盾を構えて戦闘態勢になるリビングアーマー。隙もないわね。

「む…………サーチや。あの盾、ミスリルではないか？」

「そうでしょうね。しかも対魔術性能をアップしてそうよ」

「そのようじゃな。ふむ、そうなると妾には不利じゃのう」

　確かに。リビングアーマーには魔術が有効だけど、その鎧が魔術に強い性能があったりすると、魔術士にはかなり厄介な相手だ。

「はあ、仕方ない。私が出るわ」

　そう言ってソース子を見る。

「……わかったわ」

　ソース子も立ち上がる。我が召喚主は召喚獣の私を信頼してくれてるようだ。

「へええ？　剣では傷付けられない私に、剣を使う事しか脳が無いストリップちゃんが挑むんだあ。ケラケラケラケラ、面白いねぇ」

　無論、普通に剣で戦うつもりはサラサラない。

　ジャキンッ

「っ…………へえ。そう来るんだ」

　私が作り出した武器は、短剣サイズの鉤だった。

「あんたみたいな全身鎧の相手には、隙間を狙える鉤が一番有効だからね」

「ふーん……ストリップちゃん、やっぱ頭使ってるねえ。だけど、やっぱ私には勝てないよ♪」

　やってみなくちゃ、わかんないでしょ！

「マーシャン、止めはお願いね(・・・・・・・)！」

　そう言ってから駆け出す。

「はあああっ！」

　まずは首筋を鉤で。

「うふふ、そんなの効くかしらねぇ♪」

　攻撃……。

　すー……

　せずに。

「え？」

　訝しげなリビングアーマーの頭に。

「おしおキック！」

　ごげんっ！

　カンフーキックが炸裂。頭の鎧が外れて吹っ飛ぶ。

「よし、上手くいった！」

「あららら、首を飛ばされちゃったあ！　だけど効かないよーん」

　頭がなくなったリビングアーマーだけど、平気そうに剣を構える。

「私達リビングアーマーは、首を斬られたってもがれたって死なないんだよん♪」

「そんなの知ってるわよ。だからマーシャンが止めなの……今よ！」

「うむ！　≪水流弾≫(アクアバレット)！」

　ぼしゅっ　ばしゃああああん！

　ジュワアアアッ！

「ぎゃああああああ！！」

　リビングアーマーの首から侵入した水球が、中で弾ける。

「あ……あ……そ……そんな馬鹿な……」

「自分で言ってたじゃない、炎のリビングアーマーだって。なら鎧の中に水をぶち込むのが、一番有効でしょ」

「が……も……申し訳あり……炎の……お…………」

　ガラガラガラッ　ズズン

　鎧はバラバラになり、崩れ落ちた。私達の勝ちだ。

「マーシャン、ナイス」

「いやいや、サーチのナイスアシストじゃよ」

　鎧から溢れ出た水は、内部の炎の熱でお湯になって…………お湯？

「サーチや、熱湯じゃからな。温泉のレベルでは無いぞ？」

　わ、わかってるわよっ。