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last stage8 初戦のサーチ。

 ゴゴゴゴゴゴ……ドオオオン!


「ありゃ、噴火した」


 ヒュウウウン……


「サーチ、不味いですよ」


 うん、これは噴石が山のように降ってくるわね。


「マーシャン、土属性魔術で」

「わかっておる!」


 マーシャンに声をかけたときには、既に詠唱が完成していたみたいで、すぐに術を発動してくれた。


 ズズゥン!


「ほれ、早くこの中に入るのじゃ!」


 岩のドーム内に全員駆け込む。


「良いな、では沈むのじゃ!」


 え、沈むって。


 ズゴゥン!


「え?」


「この岩のドームだけでは耐えられんでの、地中に入ったのじゃ」


 なるほど、剥き出しの岩のドームだと噴石一発で粉々の可能性もあるからね。


 ズドン!


 やがて。


 ズドン! ズズゥン! ズンズンズン! ドスゥン!


 激しい振動が私達の頭上から響いてきた。


「かなり激しい噴石だわね」

「うむ。やはり地中に逃げ込んで正解だったの」


 ズンズンズンズンズン! ドスンドスンドスン!

 ……パラパラ……


「激しいわね」

「はい。相当激しい噴火のようです」


 ドンドンドンドンドンドスドスドスドスドスドスン!

 ……メキメキ……


「ていうか、いくら何でも激しすぎない?」

「と言うより、ここに集中している気が……」

「流石に限界じゃな。少し移動するぞい」


 マーシャンが岩のドームごと移動し始める。


 ズズズズズズッ

 ドンドンドンドン……ドン……ドン……ズン…………


 噴石の落下音が遠ざかっていく。


「……どうやらあの周辺にのみ、集中的に噴石が飛んできていたようじゃの」


 ま、まさか、あの噴石って。


「炎の王の攻撃?」


「うむ、その可能性が高い」


 マ、マジっすか。


「そ、そうなるとウカウカと歩いていく事もできないね」


 ソース子はそう言うけど、歩いてく以外は移動方法がない。


「念のために聞くけどマーシャン、このまま地中を移動していくのは可能?」


「不可能では無いがの、魔力と時間の無駄遣いじゃな」


 やっぱりそうなるか。


「仕方ない、歩くわよ」


 私の言葉に、マーシャンとヴィーが頷く。


「ふぇぇぇ!?」

「大丈夫ですか、と言ってますが、大丈夫ですか?」


 わざわざ翻訳ありがと。


「まあ……大丈夫じゃないんだけど」

「他に手が無いんです。ここで足止めされるくらいならば、少しでも先に進む方が賢明ですね」


 ヴィーの言う通り。このまま進むしかない。


「あるいは、退く?」

「それはあり得ない」


 私の言葉を、召喚主が真っ向から否定した。うん、そうこなくっちゃ。



 ドスゥン! ドスゥン! ドスゥン!


 が、五分も経たないうちに避難を余儀なくされた。


「これって、やっぱり炎の王の遠隔攻撃よね?」

「うむ。あれも遠くを見渡せる目を持っておるようじゃの」


 地中に逃げ込んでるのもお見通しみたいで、大きめの噴石で地中を抉るように攻撃してくる。


「マーシャン、また少し移動して」

「うむ」


 ズズズッ

 ドスゥン! ドスゥン! ドスゥン!


 うーん、移動するたびに噴石の落下点も移動してるわね。


「ロックオンされたか」

「そうなると厄介じゃのう」


 たぶん移動する際の振動を感知してるんだろうな。


「だったら……マーシャン、少しずつでいいから深く潜ってくんない?」

「うむ、深くじゃな」


 横に移動していたドームを、今度は下に移動する。


 ズズズッ

 ズドン! ズドン! ドンッ ズンッ ズン……


「……よし、この辺りでいいわ。これでしばらくは耐えられるでしょ」


「そうじゃが、袋の鼠じゃぞ?」


 無論、黙って待ってるつもりはありません。



 十五分ほど待っていると、岩の落下とは違う振動が響いてきた。


「……≪気配遮断≫」


 スキルで気配を消すと、マーシャンにドームの移動を促す。


 ススススッ


 岩のドームを丸ごと≪気配遮断≫の圏内に包んでいるため、地上に伝わることはない。


 ゴガンッ


 ある程度移動してから、作戦通りにダミーの岩のドームを作ってもらう。


 ギャリリリリリリッ


 その音に反応するかのように、地面を何かが削るような音がし始める。たぶんドリルみたいなモノで、ムリヤリ地中を進んでいるのだろう。うん、してやったり。


 ギャリリリリリリッ


 ドリル音の振動に紛れて、急いで地上に逃げる。


 ボコッ


「ぶはあっ。よ、よし、何もいない」


 地上に出ても≪気配遮断≫を展開させたままにしておく。


「んー、んー」


 リーフが身振り手振りで私を呼ぶ。そこには人一人通れるくらいの穴が空いていた。


「んー」


 マーシャンにも身振り手振りで伝達。頷くと小さく詠唱をし、魔術を発動させる。


 ざばああああん!


 大量の水が穴の中に流れ込む。


 ジュワアアアッ!

「ぎゃああああああああっ!!」


 穴の中から悲鳴。炎の王か、その手下か。


「かかったあ! マーシャン、ある程度水を流し込んだら、岩のドームを崩しちゃって!」

「オーライなのじゃ!」


 ドズゥゥン!

「ぶぎゅる!?」


 地中でドームが潰れると同時に、カエルが潰れるような声が響く。


「…………よし、反応ないわね」


 地中に動きはない。どうやら仕留めたようだ。


「火山に動きがない以上、あれは手下と見るべきね」

「そうですね。あれが炎の王だったら、火山自体に何かしらの変化があるでしょうし」


 どうやら炎の王だけが敵というわけじゃないらしい。気を引き締めてかからないと。


 ゴゴゴゴ……ブシャアアア!


「ん?」


「今の水が、熱くなって吹き出したのじゃ…………ま、待て待て! あれは温泉と言うレベルでは無い! 熱湯じゃ!」

「サーチ、近付いては駄目です!」


 お、温泉、温泉んん……。

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