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play19 白熱のサーチ。

 ヴィーとの取引が成立し、マーシャンもラスボス戦参加が決まった。


「ていうか、ヴィー。あんたは戦えないの?」


 メドゥーサから進化し、蛇の女王となったヴィーが戦列に加わってくれれば、戦いはかなりこちらに有利に働くはずだ。


「それが……ですねぇ」


「え、ダメなの?」


「はい……戦いでは、召還主側は指示したりアイテムを使ったりする以外は……」


 つまり、戦うことはできない。


「ていうか、戦いのときは足手まとい?」

「ぐぶぅ!?」


 そう言われたヴィーは胸を押さえてうずくまった。


「サーチや、そうストレートな物言いをするでない。ヘヴィーナも何も出来ぬ不甲斐なさを気にしておるのじゃから」

「ぶごふぅ!?」


 今度は四つん這いになってしまうヴィー。珍しい反応だから面白いわね。


「誰もヴィーが役立たずだなんて言ってないわ! 例え聖術が一切使えなくても、ヘビを使って幼気な女性を手込めにしたりはできるんだから!」

「うぐごふぅ!?」


 ついにうつ伏せになってしまった。少し痙攣してる。


「何を言うか! ちゃんと妾に的確な指示を出してくれるし、ちゃんと運営の為に課金してくれておるのじゃ!」

「つまり、自分の手は汚さずに、金だけ出してたってことね」

「ごぶぁぁ!!」


 胸を押さえてのた打ち回るヴィー。面白い、面白いわよ。


「マーシャン、自分の召還主だからって甘やかしたらダメよ。他人の召還獣を自分の部屋に連れ込んで、【いやん】やら【ばかん】なことをしてるのよ、アン先輩は」

「サ、サーチ、も、もう、それぐらいで……」


 もはや虫の息なヴィーに、思い切って止めを刺す。


「他人の召還獣を二十四時間も【あはん】するようなエロヘビ、聖術使えないなら役立たず決定じゃね?」

「ぐふっ!」


 あ、ヴィーが動かなくなった。チーン。



「え、一緒に行けなくなった?」


 出発する前日、マーシャンに呼び出された私は、衝撃的な言葉に固まった。


「うむ。ヘヴィーナがのぅ、最早抜け殻のような状態での……」


 そりゃあヴィーだったら、脱皮の一回や二回しそうだけど。


「いや、違う違う。抜け殻なのは本人じゃ」


 はい?


「この間、随分と弄ったじゃろうが、二人で」


 あーはいはい。


「あれが会心のクリティカルヒットになったようでの」


 あ、つまり。


「ショックから立ち直ってない?」

「そうじゃよ」


 そういえば、あれからヴィーと顔を合わせてなかったわね。


「週三なんてムチャ言われたから、ちょっと仕返ししてやろうと思っただけだったんだけど……」

「妾も悪乗りし過ぎたようじゃ」


 ふーむ、スポンサーが参加しないのは痛いし。


「仕方ない、謝るか」



「申し訳ありませんでした」


「…………」


 シーツにくるまったまま、出てこないヴィー。当然ながら、何の反応もない。


「悪かったわよ、ヴィー。誰も足手まといだなんて思ってないから」


「…………」


「誰も役立たずなんて思ってないから」


「…………」


「誰も金払うだけの財布だなんて思ってないから」

「思ってるからそう言うんですよね!?」


 あ、反応あった。


「やーねえ、反応あるかないか試してただけじゃないのー」


 おもいっっきり涙目なヴィーは、そのままシーツに顔を突っ伏した。


「私、私、サーチのお荷物なんですよね!?」


 へ?


「聖術の使えない私なんて、何の役にも立たないんですよね!?」


「あーっと、ヴィー。アン先輩の姿でその反応は止めてくんない? 違和感ありすぎるわ」


 そう言われたヴィーは、身体にモザイクをかけ、一瞬でホントの姿に戻る。


「どうでもいいんだけど、何でモザイクが?」


「仕様から仕方無いじゃないですか!」


 仕様て。


「でさ、私はヴィーのことを足手まといだとか役立たずだとか無能だとか思ってないから」

「そう思ってないなら新たな罵倒ワードを毎回増やさないで下さい!」


 罵倒ワードて。


「と、とにかく、ヴィーが来てくれないと困るのよ。だからさ」

「陛下が居ないと困るからですか? スポンサーが居ないと困るからですか?」


 それは否定しない。お金と戦力には変えられないし。


「それ以上に、ヴィーがいないと困るのよ」


「……何故ですか?」


 何故て。


「一応、伴侶だし」

「一応ですか?」


 一応、に反応しないでほしいなぁ。


「えーっと…………戦力とかスポンサーとか金づるとかエロガッパをとか関係なく」

「エロガッパ言わないで下さい!」

「なら、エロヘビ」

「それも嫌です!」

「ていうか、週三言ってる時点で十分エロガッパ兼エロヘビかと」

「がふぅ!?」


 再びシーツに突っ伏すヴィー。うん、マジでおもろい。


 ……ユラユラユラ……


 あれ? 髪の毛がヘビの形になって……。


 しゅるるるっ!

 ぐるぐるん!


「きゃ! な、何!?」

「……ふっふっふっ……そうです、私はエロヘビです、エロガッパです……」


 あ、あかん。ヴィーが吹っ切れた。


「もういいです。エロガッパ兼エロヘビでいいです。外聞なんか気にしません。自分の欲望に忠実になります」


 ふ、吹っ切れすぎだよぉ!


「なので……」

「な、何で迫ってくるの!?」

「週三、ガッツリ戴きます」


 え、ちょ、待っ、あああああれえええええ!!



「陛下、申し訳ありませんでした。私、やっぱり行きます」


「そうか、やる気になってくれたのじゃな」


「はい、ヤル気になりました♪」


「それより……後ろで横たわっておるのは……」


「気にしないで下さい♪ エロガッパ同士ですから」


「は?」


 あ、あんたと一緒にしないで。し、死ぬ……。

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