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play14 暴露のサーチ。

 意味がわからない。


「何で炎の王がここにいるのよ!?」


 大会の日程が全て終了したあとで、マーシャンアン先輩とソース子とご飯を食べながら、不満を打ち明ける。


「何じゃ? 炎の王がラスボスでは不満なのかえ?」


 不満も不満、超不満だよ!


「灼熱大陸で徹底的に、ケチョンケチョンに負かしてやった相手なのよ!? 何でそんなのがラスボスなのよ!」


「ああ、成程。それで合点がいったのじゃ」


 は?


「サーチ、其方はまず大きな勘違いをしておる」


 はい?


「今其方が居るこの世界は、現実世界では無いのじゃ」


 は、はい?


「そ、そんな!? 現実じゃない!?」


 ソース子も同じ反応。


「あら、二人とも気付いていませんでしたの?」


 アン先輩も…………って、あれ?


「アン先輩?」


「わたくし、しばらくしたらすぐに気付きましてよ?」


 え? ええ??


「突然違う世界に巻き込まれ、プレイヤーと同化した時は戸惑いましたけど、陛下から事情を聞いて納得しましたわ」


 え? アン先輩、マーシャンのことはサーシャ・マーシャ呼ばわりしてたよね?


「巻き込んだのは陛下ですわね?」

「何じゃ、其方気付いておったのか」


 え? ええ? えええ??


「ア、アン先輩、あなたは一体?」


「サーチには気付いてもらいたかったですわ。いえ、この喋り方ではわからないでしょうか」


 そう言うとアン先輩は私に身体を寄せて。


「久し振りに会ったとは言え、私の事を忘れてたって事は無いですよね、サーチ?」


 え……ま、まさか……。


「……ヴィ、ヴィー!?」


「はい、当たりです」


 そう言うとアン先輩……いや、ヴィーはニッコリと笑った。


「ちょ、な、ど、どうして!?」


「妾を召還獣として扱える器など、そうそう居らぬからの」

「無理矢理巻き込む前に、一言欲しかったです」

「済まぬの。じゃが緊急事態だったのでな」


 ま、待って待って!


「話が全く見えないんだけど! ていうか、ヴィーだって言ってる割には、見た目はアン先輩のままじゃないの!」


 アン先輩……じゃなくてヴィーとマーシャンが苦笑いしている。ていうか、マジで意味わかんない!


「うむ、では一から説明しようかの。まずサーチや、先程も言うた通り、この世界は現実世界では無い」


「現実じゃないって……」


「簡単に言ってしまえば、この世界はゲームの中なのじゃ」


 はいい!?


「サーチの前世の世界で流行っている『ドラゴンズサーチ』というゲームの中です」


 ド、ドラゴンズサーチ?


「……球団の追っかけ番組?」

「はい?」


 あ、違うのか。


「このゲーム自体は普通なのじゃ。プレイヤーである召還術師が、自らの召喚獣を育てて対戦する内容じゃな」


 そ、それって、私がソース子と戦ってきた内容と同じ……。


「この大会で優勝するまでがストーリーモード。所謂チュートリアルですね」


 チュートリアル!?


「ま、そこまでは普通なのじゃが、これに一枚噛んでおる存在が居っての。それが」


「炎の王……だっての?」


 マーシャンが頷く。ていうか、言われて初めて今までの違和感に納得がいった。


「どうりで変な名前のヤツばっかなんだわ」


 ソース子しかり、クラ子改名前の倉庫三号しかり、アンチテーゼ・フォン・アドレナリンしかり。


「クラ子の倉庫三号なんて、アイテム倉庫獲得のために作られたキャラの名前まんまじゃないの」


 たぶんだけど、キャラごとに倉庫容量が設定されてるゲームなんだろう。同じアカウントならキャラ同士でアイテムを共有できるだろうから、アイテムを持たせるだけの倉庫キャラが作られても不自然じゃない。


「その通りです。その倉庫キャラはソース子のルームメイト・ふぁんてぃのです」


 そ、倉庫キャラがふぇふぇなのか。


「ゲームではあっても、キャラ自体は意思があるからのう。それぞれに性格はあるのじゃ」


「でも、現実じゃないんでしょ?」


「うむ、仮想現実じゃ」


「だったら、キャラごとに性格が設定されてるのは変じゃない?」


「要はヴィーと同じじゃ。姿は違うても中身は同じなのじゃよ」


「つ、つまり、クラ子の中身は現実に存在してる?」


「うむ。おそらくサーチの前世の世界で、ゲームをプレイしている誰かの性格をコピーしたのじゃろうな」


 ゲームプレイしてたら、知らない間に自分のコピーがゲーム内に作られるって……こ、怖。


「ていうか、そんな世界と炎の王の繋がりは何なのよ?」


「リーフから聞かなかったかの? 精霊族は、この世界でしかパワーアップできない事を」


 あ、それさ聞きました。


「その理由が、このゲームなのじゃ。精霊族とは即ち、ゲームに登場する召喚獣そのモノなのじゃよ」


 え、待って。


「つまり、ゲーム内の召喚獣が私達の世界に住んでるってこと?」


「そう考えるといいかの」


 ゲ、ゲームの召喚獣が、灼熱大陸で暮らしていたって……。


「つまり、ゲームが完成したときに召喚獣=精霊族が生まれた?」


「いや、精霊族の方が存在したのは先じゃよ。召喚獣と結びついたのは後じゃ」


「どういうこと?」


「じゃから、そうなった原因が炎の王なのじゃ」


 その段階で炎の王が登場するのね。


「炎の王は元々は精霊族の長老の一人に過ぎなんだのじゃ」

「それがどういう経緯かはわかりませんが、ドラゴンズサーチの製作に紛れ込んで」

「自らの存在をゲーム内に定着させたのじゃ」


 つ、つまり。


「このゲーム……ていうか、この世界自体が……」


「うむ、炎の王によって構築されたと言って過言では無い」


「ていうか、炎の王がマジモンのラスボスじゃん!」

「だからそう言っておるじゃろ」

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