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play13 祝福のサーチ。

 呆気ないくらいに簡単に優勝してしまった。ホントにこの大会、最高峰なのだろうか?


「で、では優勝者のソース子さん、その召還獣の鉄クズのサーチにインタビューしたいと思います……おめでとうございます!」


「あ、ありがとうございます」


「初出場で初優勝。現在の心境をお願いします」


「し、心境ですか……………………これで優勝でいいんでしょうか?」


「ま、まあ、勝ったのは事実ですから」


 箱の中から殺虫剤……殺虫成分メインの毒の息……を吐きまくっただけで優勝しちゃったからね。


「えーと、頭脳によって大会を制した、と言って宜しいのではありませんか?」


 インタビューする人が必死にフォローする。何か涙ぐましい。


「うーんと……ズル賢さの勝利じゃないかな」


「そ、そうですか…………で、では、実際に戦った召還獣にも話を聞いてみたいと思います。おい、喋れるか?」


 何よ、この態度の違いは。


「オー、スコシダケシャーベレマスネー」


「さっきペラペラと喋ってただろが!」


「ワタシ、ムズカシイコトバ、ワッカリマセ~ン


「嘘つけぇ!」


「サーチさん、ちゃんと答えてあげて。それと、私とサーチさんとであからさまに態度を変えるのは止めて下さい」


「く……し、失礼しました」


 どうやら召還獣を下に見ているらしく、ソース子からの頼みにメッチャ嫌そうに従う。


「で、では召還獣のサーチ……さん、優勝おめでとうございます」


「はーい、ありがとうございます~!」


 私が観客席に手を振ると、盛大な歓声があがる。


「……チッ」


 おい。あんた今、舌打ちしただろ。


「ではズバリお聞きします。あのような姑息な手段で戦う事を決めたのは、召還獣であるサーチ……さんの独断なのでしょうか?」


 ……何なのよ、そのトゲだらけの質問内容は。


「……あのね、この戦法は召還主であるソース子とも相談した上で、決めたことなのよ。私のしたことを姑息だって言うのは、ソース子を姑息だって言ってるのと同じなんだけど、それでいいのかしら?」


「く……そ、そういう意味ではありません」


 私とインタビューする人との空気が険悪になってきたのを察したのか。


「では放送席にカメラ戻します。ありがとうございました」


 実況のアナウンサーがインタビューを強制的に打ち切った。


「…………くそ、最悪なインタビューになっちまった!」


 そうね。ほぼほぼあんの責任だけど。


「ソース子さん、ちゃんと召還獣は躾てもらわないと困りますね」


「「……は?」」


「こちらの質問にちゃんと答えてもらわないて困る、と言ってるんです。こんなことになるんだったらに召還獣には黙っててもらった方がよかったな」


 ソース子のこめかみに血管が浮かんでる。うん、思いは同じだ。


「召還主様、殺っちゃっていい?」

「ええ。おもいっきりお願いします」


 許可も下りたことだし。


 ゴスッ!

「ひぎゃあああああああああああ!!」


 膝が股間に入り、そのままうずくまる。


「ついでに……ケツおしおキック!」

 ズドムッ!

「んぎゃはああああああああああ!」


 反動で四つん這いになり、痙攣する。


「トドメの昇天股間蹴り!」

 ドゴオッ!

「んぐぁ…………!」


 足先に何かが潰れた感触が。


「ブクブクブク……」


 そのままノックアウト。口から泡を吹いた状態で動かなくなった。


「サーチさん、やりすぎ」

「そう? 観客席は大盛り上がりだけど」


 私の指摘通り、観客席からは拍手と歓声しか聞こえない。ていうか、魔術スマホのカメラはほぼインタビューの人に向けられている。


「あー、スッキリした。周りに誰もいなかったら、あいつの頸動脈切断してるとこだったわ」

「さ、流石にそれは止めてね、サーチさん」


 へいへい。



 そのまま優勝セレモニーへと移る。何故か救急車が来てたけど、みんなスルー。


「では優勝記念品を、召還獣の女王でいらっしゃるサーシャ・マーシャ陛下にお願い致します」


 何でマーシャンが召還獣の女王扱いなのかはつっこみたいけど、サッサと終わらせたいのでこの場はスルーする。


「おめでとうなのじゃ」

「ありがとうございます」

「ありがと」


 私とソース子、それぞれにトロフィーと盾が贈呈される。かかる音楽が定番のアレなのは、どこの世界も同じみたいだ。


「そして、副賞としまして、サーシャ・マーシャ陛下により、召還獣・鉄クズのサーチを星七へと推薦される権利が与えられます!」


 おおおおおおっ!


 どよめきが起きる。そりゃあ、星一が一気に星七まで特進だなんで、死んだってあり得ないことなんだから。


「陛下、何か一言ございますか?」


 マイクを渡され、マーシャンが一度咳払いしてから話し出す。


「えー、まずは圧倒的な強さを見せつけて優勝したソース子と鉄クズのサーチ。真に天晴れであったぞ」


 何を偉そうに……とは思ったけど、無表情で頭を下げる。


「サーチさん、顔に出てる。めっちゃ不満顔だよ」


 え、やだ、気をつけないと。


「星七へと昇進する事により、鉄クズのサーチには権利が与えられるのじゃ」


 ふうう、これでやっと元の世界に…………ん?


「権利?」


「そうじゃ。星七として炎の王と戦う権利じゃ」


 …………は?


「この世界で唯一の星八であり、災厄の源とも言われる炎の王。それを倒す事により、異世界への扉が開かれる」


 ま、待って。


「な、何でここで炎の王が出てくるのよ!?」


「何故……と言われてものぅ。そういうシナリオじゃから仕方無かろうが」


 シナリオって何なんだよ、シナリオって!


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