play10 出張のサーチ。
「星のティアラ、か。何とも乙女チックな名前のパーティだこと」
部屋に戻ると、早速ソース子が入口で待ち構えていた。
「どこ行ってたの、サーチさんんっ」
あ、やべ。めっちゃ怒ってる。
「うん、まあ、ちょっと情報収集にね」
「ふうん…………で、誰から?」
ち、情報収集ってだけじゃ誤魔化せないか。
「はあ、わかったわよ。あんたが思ってる通り、ジャミからよ」
「やっぱり……!」
視線が首筋や胸元に移動する。キスマークなんかないわよ。
「じゃ、じゃあ、どうやって情報収集をしたのよ? 色仕掛け?」
「色仕掛けなんてしてないわ。毒仕掛けって感じかな」
「はい?」
詳しく聞いたソース子は、頭を抱えて呟いた。
「な、何て事をしてくれたのよ……!」
「何てことをって、別に私達には実害なんてないわよ」
「ジャミさんは世界でも有数の人気召還術士よ! 当然だけどファンも多いし、顔も広いわ」
「うん、だから?」
「そんな人が急にハ……か、髪の毛がお亡くなりになったら、何かがあったってバレバレじゃないの」
「そうね。だから?」
「ジャミさんがその気になれば、私達を追い詰める事なんて訳無いんだって言ってるのよ!」
「だーかーらー、大丈夫だって。もう一種類の毒の効果で、そんな気は起こせないから」
「もう一種類の、毒?」
「うん。【ぴー】の【ぴー】が【ぴぴー】しなくなる毒」
私の言葉を聞いたとたん、顔を茹でダコ以上に真っ赤に染めるソース子。
「ただ、私があることをしない限り、毒が発現しないって言ってあるから」
「あ、ある事?」
「だから大丈夫。【ぴー】問題は、あいつにとっては超重要事項だから、ヘタなマネはしないわよ」
まだ若干顔が赤いソース子は、それでも言い返してくる。
「そ、そんな毒なんてある訳無いじゃない!」
「その通り、ブラフよ。だけどあいつがそう信じ込んでしまえば、それが猛毒となってあいつを蝕み続けるわ」
「…………」
「だから心配無用♪ 堂々としてりゃいいのよ、堂々と」
「…………サーチさん、もしジャミさんがその毒の事を専門家に相談したりすれば、どうなるのかしらね」
…………あ。
「……そんな毒、あるはずがないって一蹴されるわね……」
「つまり、バレる可能性大って事?」
し、しまった。
「こ、この辺りで一番毒に詳しいのって誰!?」
「……はぁ、詰めが甘いんだから………………近くの町から大会の運営委員として参加してる、星のティアラっていうパーティのリーダーが詳しいはずよ」
へ? 星のティアラ?
「こ、これはまた、渡りに船と言うべきか」
「は?」
「私達に対する嫌がらせをしていたのが、このパーティだったのよ」
「つ、つまり、黒幕がジャミさんで、実行犯が……」
「そう。星のティアラってことね」
「な、何だと!? そんな毒は存在しないだと!?」
「あのねえ、冷静に考えてみなさいよ。そんな便利な毒があるんだったら、私がとっくに使ってますよ」
「うぐっ……た、確かに」
「それで、焦って私のところに駆け込んできたと。どう考えてもジャミ様を泳がせて、私を炙り出す為の出任せに決まってるじゃない」
「…………」
「……はぁ。ほら、もういらっしゃったわよ」
バァン!
ドアを蹴破って中に入る。お邪魔しまーす。
「……ジャミ様、どうしてくれるのよ。私、顔バレはしたくないって言ったわよね」
「一応言っとくけど、私は別に元ロマンスグレイを泳がせたつもりはないわ」
「へえ?」
「そいつがあんた達のことをゲロっただけだから」
「…………ジャミ様、いえ、ジャミ、あんた私達を売ったの?」
「お、お前達が失敗ばかりするからっ」
「つまり、売った事は認める訳ね…………最低」
「ぐっ」
うん、そこは私も同意します。
「ギルドの規則に、依頼者の裏切りが発覚した場合は即契約破棄しても構わない、という条項があるわ。今回はそれに従って、あなたとの契約を破棄します」
「ぐ、ぐぅぅ……!」
「さ、私達はもう手を引くから、後は好きにしなさいな」
無論、タダでは済ませません。
「言ったでしょ、大人しくしてれば例の毒は発現しないって」
「う、嘘だ! そんな毒は存在しない!」
「あら、存在してるわよ。私があることをすれば、発現するのは事実なんだから」
「な、何だと?」
私は一瞬でジャミの目の前に移動すると、首相撲でガッチリと捕まえる。
「っ!?」
「私がするあることってのはね……こうやって首相撲で動けなくして」
右足をおもいっきり振り上げ。
ゴスゥ!
「ふぎゃはあああああ!?」
「膝を【象徴】に突き刺すってこと。これならホントに機能停止するでしょ?」
顔色が紫色になってるジャミ。返事はない。
「ていうか、これで終わりじゃないわよ…………完全に、潰すから」
ゴスゥ! ゴスッゴスッゴスッゴスッゴスッゴスッゴスッ
「ひぎゃあ! あぎゃあ! ぐがぁ! ひぎゃひ! ごばああ!」
ドサアッ
「ぶくぶくぶく……」
五分くらいで泡吹いて白目剥いたので、捨てておく。
「……毒より酷いじゃないの」
「かもね……ていうか、何を他人ごとみたいに言ってんのよ」
「は?」
「裁判ではね、主犯が一番罪が重くなるのは当然だけど」
ゴスゥ!
「ぎゃひん!?」
「実行犯にもそれなりの罪に問われるのよ」
股間を押さえてのたうち回るパーティリーダー。ま、男ほどじゃないけど、女もそこは急所だからね。
残りのパーティメンバーも同じ目に遭い、星のティアラはしばらく活動不能となった。




