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play4 雑誌のサーチ。

「何ですの、あの情けない戦いぶりは……」


 包帯でグルグル巻きになったマーシャンを見やり、ため息を吐くアン。それを聞いたマーシャンは私を指差して。


「其方もあの状態のサーチと戦ってみればわかるのじゃ! 戦意なぞ顔を合わせただけで吹っ飛ぶわい!」


「顔を合わせただけでって……」


 そう言って私と目を合わせるアン。その瞬間に。


「っ…………!! な、何なんですの、この殺気は!」


 アンは壁に寄りかかることによって、どうにか腰が砕けるのに耐えた。人前で情けないところを見せられない、という矜持がそうさせたのだろう。


「サーチさん、戦いも終わったんだし、そろそろ戦闘モードを解除したら?」


 戦闘モードの解除って……私はとっくに解除してるつもりなんだけど。


「ほーら、サーチさん。どこかでご飯を…………ひいいいいいいいい!!」


 矜持とか全く関係ないソース子は、私と目が合う前に腰を抜かしてしまう。


「わかるじゃろ? 妾が戦意喪失する理由、わかるじゃろ?」

「は、は、はい。私、マジで殺されると思いました……」

「わ、わたくしも同じですわ。首筋に常に刀をあてがわれているような感覚でした」


 えー? そんなことないでしょ。


「あ、サーチお姉様、警備隊から受け取ってきましたよ」


 そのタイミングで私のトップを貰ってきてくれたリーフ登場。


「え、マジで!?」

「っ!? サ、サーチお姉様、どうかしたんですか?」


 リーフは他の三人ほど慌てることなく、私に近づいてくる。


「何かおかしい?」


「はい。見た目は同じですけど、目を合わせた瞬間に寒気がしました」


 寒気って……。


「本気で『殺される!』って感じちゃって、回れ右して逃げそうでしたよ」


 そう言いながらも苦笑する程度で留まれるあんたはスゴいみたいよ。


「リ、リーフ、大したモノですわ」

「う、うむ。肝が据わっておるのう」

「や、やっぱりサーチさんと付き合いが長いからかな?」


 そう言ってるソース子達を尻目に、リーフは持ってきてくれたビキニアーマーのトップを取り出す。


「はい、どうぞ」

「ありがと~……うん、間違いなく私のビキニアーマーだわ♪」


 トップに頬ずりする私を見て、牙を折られたような表情を見せる三人。


「あ、あれが同一人物ですの? 何という落差……」

「妾が戦った相手は、どこの誰だったんじゃろか……」

「サーチさん、ビキニアーマーに対する執着って、バケモノレベルなのね……」


 誰がバケモノよ、誰が。


「ていうか、久々にビキニアーマーを装着~」


 パチンッ


 うん、しっくりきた。胸も納まるべきモノに納まったって感じ。


「はあ~あ、癒される~」


「ビ、ビキニアーマー着て癒されますの?」

「ちょ、ちょっとついて行けんのう」

「しょ、召喚主の私でも理解できない」


 あんた達もビキニアーマー着てみたらわかるって。


「それより、次の試合は始まってるの?」


 私に聞かれたリーフが、試合の対戦表を広げる。


「今は第三試合まで終了しました。一旦休憩を入れて、十六時半から第四試合ですね」


「注目選手は?」


「いません」


 ……は?


「今回出場した選手のほとんどが、無名の選手ばかりなんです」


「あ、あれ。普通は優勝候補とかいるんじゃないの?」


「居ますよ。と言うより、居ました」


「過去形ってことは……もう?」


「はい。全員予選敗退です。各新聞も『予想外』『大番狂わせ』って報じてるくらいです」


 そりゃそうよね。優勝候補が総崩れとなると、視聴率にも影響あるだろうし。


「そういうのって、専門誌で予想されてたりしないの?」


「されてましたけど、軒並み予想外れてます」


 ありゃりゃ。そうなると、専門誌からの情報収集はキビしいかな。


「ただし、これ」


 そんな風に考えてると、リーフは一冊の雑誌を取り出した。


「この『ガチンコジャーナル』だけは、現状に近い予想をしています」


 ガチンコジャーナル?


「ああ、昔からある召喚術士専門誌ね。私もたまに見てるわよ」


 ああ、そうだ。ソース子の部屋に何冊かあったから、名前に覚えがあったんだわ。


「……ちょっと見せて」

「はい」


 受け取ったガチンコジャーナルをパラパラと開いてみると…………あ。


『女王撃沈』


 というページが目に入った。


「あれ、もうマーシャンが負けたのが記事になってるんだ」


「ガチンコジャーナルは陛下推しでしたから」


 それってつまり、マーシャン優勝を予想してたってこと?


「なら私が勝ったのはさぞかし予想外だったんでしょうね」


「それがそうでも無いんですよ。続き読んでみて下さい」


 リーフに促されて読み進める。なになに……。


『第二試合から我が編集部が推す二選手が激突することになった。優勝候補No.1の女王サーシャ・マーシャに挑むのは、今回のダークホースと見られていた鉄クズのサーチである』


 へえ、ダークホース。私が。


『星一という時点で実力を侮られがちではあるが、予選で相手から一撃も貰ってないという事実が、彼女がただ者では無いと事を物語っている』


「へえ。見る目あるじゃない、この編集部」


『そして、あのビジュアル。注目されないのが不思議なくらいの召喚獣である。我が編集部の一番推しを圧倒した実力と相まって、今回の大会注目株であるのは間違い無いだろう』……か。


「……リーフ」

「はい」

「この雑誌、購読手続きお願い」

「はい?」

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