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play2 注目のサーチ。

「それでは第一試合、始めて下さい!」

 わああああああ!


 表では試合開始の合図と共に、歓声が響き渡る。

 で、私がいる控室では。


「良いではないか、良いではないか」

「いやああああああ! 誰か助けてぇぇぇ!」

「良いではないか、良いではないか」

「いやああああああ! あああああれえええええ!」


 ……マーシャンと対戦相手の、あられもない声が響いていた。


「良いではないか、良いではないか」

「誰かあああああ! 助けてえええええ!」


 ちなみに対戦相手ってのは、私。つまり。


「良いではないか、良いではないか」

 きゅっ

「はああああああん!」


 私は現在進行形で襲われ中と言うわけで……!


「ほぉう、やはりサーチは妾好みの身体じゃのう!」


 ど、どこを……!


「どこを触ってんのよ! おしおキック零式!」

 どごおおおん!

「ぐぼぇあ!?」

 びたああああん!


 のしかかっていたマーシャンが吹っ飛び、天井にめり込む。


「よ、よよ、良いでは……ないか……」

 ベリベリ……バリィ


 そのまま落下してきたところを。


「おしおキックフルパワー!」

 ばごべしっ!

「あひゃあああああぁぁぁぁぁ…………」


 そのまま遠くへと飛んでいくマーシャン。もう戻ってこなくていいわよ。


「何が起きましたのおおおおおぉぉぉぉぉ…………」


 あれ? 今、アンも飛んでいったような?


「…………あ、そうだ。召喚主と召喚獣は、一定の距離からは離れられない仕様だったっけ」


 つまり、吹っ飛んでいったマーシャンに引っ張られる形で、アンも吹っ飛んでいったのか。


「完全に巻き込まれちゃったのねぇ……」


 許せ、アンよ。あなたの尊い犠牲は忘れない。



「ていうか、これはヤバいっっ」


 脱ぎ散らかしてあったビキニアーマーを装着していると、肝心なモノがないことに気づいたのだ。


「トップがないぃ」


 どこを探しても見当たらない。どうやら、マーシャンと一緒に飛んでってしまったらしい。


「く、マーシャンってとことん疫病神だわ……!」


 ていうか、マーシャンを恨んだところでどうにかなるわけじゃない。とりあえず、代わりになりそうなモノを……。


「あ、そうだった。魔法の袋(アイテムバッグ)に予備が入ってたんだったわ」


 やれやれ、これであっという間に解決…………あああああ、しまったぁ!


「こっちの世界に召喚されたときに、置いてきちゃったんだったあああああ!」


 ど、どうしよお……。



「……サーチさん?」


「あ、いたいた!」


「何で胸にタオル巻いてるの……って、ちょっと?」


 ムリヤリ控室に連れ込まれ、困惑した声をあげる。


「何なのよ、一体」


「じ、実はかくかくしかじか」


「え? 陛下に襲われた際に、蹴り飛ばしたらトップも一緒に飛んでって?」


「そうなの。だから何か隠せるモノを持ってきてほしいのよ」


「隠せるモノって……普通にシャツでもいいの?」


「オッケーオッケー。シャツならカンペキに隠せるわ」


「なら私の普段着を貸してあげる」


「ありがとぉぉぉぉ……あ、それと」


「何?」


「できれば、下着も」


「わかってるよ。ちょっと待ってて」



 五分後。


「ほい、お待たせ」


 ありがとう! マジで助かったっす!


「まずはブラから…………あ」


「ん?」


「これ、ソース子のブラよね?」


「そうよ。ちゃんと洗ってあるから」


「あー……そういうことじゃなくて」


「……?」


「その……サイズが……」


 パツンパツンで、着れたもんじゃない。


「っ! ど、どうせ私は小さいですよーだ!」


 スタスタスタ バァン!


 ありゃりゃ、怒って出て行っちゃった。


「まあ、仕方ないか。とりあえずシャツだけでも着て、マーシャンから取り返すまで仮に」

 ぐいいっ

「おぅわぁ!」


 シャツを持ったまま、おもいっきり引きずられる。


「な、何よこれ何よこれ何よこれぇぇ!?」


 ズリズリズリッ


 見えない力に引かれて、会場の外へと出て行ってしまう。


「あ、そうか。さっきのマーシャンとアンと同じか」


 怒って出て行ったソース子が、限界距離に達した私を引っ張ってるんだわ。


「えーっと、ソース子! ソース子! 聞こえてるんでしょ!?」


 …………返事がない。完全に怒っちゃって、私の呼びかけを完全に無視してんな。


「ていうかマズいマズい! 街に出ちゃったあ!」


 左手は引っ張られてるので、右手で胸を隠す。だけど手ブラで引きずられてるんだから、目立つことこの上ない。


「い、いくら見られ慣れてるからって、手ブラで往来を進むのはちょっと……!」


 と、とにかくシャツだけでも着ないと……右手だけでどうにか……。


 ポロンッ


「あああ! シャツを着ようとすると丸見えだああ!」


 注目の的な理由は、当然ながら男性の視線。こ、こんなところで見せてたまるかぁ!


「ど、どうにかしないと……! く、くっ、ぐぅ……!」


 胸を隠したままの右手を使わず、どうにかシャツを…………って、できるわけないだろ!


「く……し、仕方ない、背に腹は……!」


 覚悟して、隠していた胸をオープンする。


 ポロンッ

 おおおおおおおおおおおおっ!


 見るなああ! タダじゃないんだよ!


「く、く、くっ」


 どうにか着ようと悪戦苦闘。


「くっくっく……よし、首が通った!」


 後払い左手を通して……よっし、装着完了!


「ふぅ、一時はどうなるかと……ん?」


 シャツを着たのに視線が離れていかない。視線の先を追うと…………あああ!?


「す、透けてる!?」


 白いシャツだったんだ! しかも先っぽの形までクッキリ……!


「うっきゃあああああああ! 見るなあああ!」



 結局ソース子と合流するまで、恥ずかしい思いをし続けるハメになった。


「サーチさん、見られても平気なんじゃないの?」


 場合によるわよ、場合に! 

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