play9 酒場のサーチ。
「かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
私が本戦進出を決めた日の夜、私達は近くの飲み屋で一杯飲むことにした。
「グビグビ……ぷはああっ! お酒が美味しいわぁ!」
「ゴクゴク……くはああっ! はい、サーチお姉様と飲むお酒は、どこだろうと最高です!」
「うむうむ! やはり酒は最高じゃなう…………で、誰が支払うのじゃ?」
「無論、マーシャンが」
「勿論、陛下です」
「やはり妾かえ!?」
自分の召喚獣の飲みっぷりに、若干引き気味な召喚主ガールズ。
「サ、サーチさん、一体何杯飲むのよ……」
「ふぇぇぇ……」
「ちょっと、貴女達! 召喚獣の分際で、わたくしより先に酒を飲み干す等、無礼ではありませんか!」
「アン先輩、そこは割とどうでもいいのでは?」
私達と違って召喚主ガールズは全員未成年。なのでジュースでチビチビやってるのだ。
「どうでもいいとは何ですか! 我がアドレナリン家の誇りを馬鹿にするつもりですの!?」
「そんなつもりは欠片程もありませんよ」
「嘘おっしゃい! こうなったらわたくしを愚弄した償い、その身体に受けさせてはあげますわ! サーシャ・マーシャ!」
「ゴクゴクゴクゴク……何じゃ?」
「この生意気な下級生を手込めにしてしまいなさい!」
「ゴクゴク……嫌じゃ」
「え? ど、どういう事ですの!?」
「そのような幼児体型、妾の趣味の範囲外じゃ」
「よ、幼児……ふぇぇぇぇぇぇん!」
あーあ、ソース子が大泣きしちゃったじゃない。ていうか、クラ子化してるし。
「妾の好みは……」
「ひぅ!? な、何ですの!?」
「其方のような、大人な女性なのじゃよ」
「ま、待って下さいな! 周りに人が居ますのよ!」
「なら誰も居ない場所なら、喜んで妾に手込めにされるのじゃな?」
「よ、喜んではいませんわよ!」
「良いではないか、良いではないか」
「よ、良くありませんわ! そ、そこの貴女! わ、わたくしを助けなさい!」
え~、私?
「どうしましょうか、召喚主ぃ~?」
「却下」
「良いではないか、良いではないか」
「ひぃぃ! な、ならば貴女!」
「ふぇい!?」
「わたくしを助けなさい!」
突然飛び火し、いつものようにふぇふぇタイムにまっしぐらなクラ子。
「ふぇい!?」
「勿論却下ですよ、召喚主様。堂々と断られればいいんです」
「ふぇ!? ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
リーフ、それはクラ子にとって、ヒマラヤを装備なしで踏破する以上にキビしいことなんじゃ?
「ふぇ、ふぇ、ふぇ、ふぇ、ふぇ」
「ふぇふぇしてないで助けなさい! は、早く! あああ!」
モワアアアアン……
ズル……ズル……
アン先輩、壁にできた怪しげな穴に引き込まれてます。
「ていうか、何なのよ、あの穴」
「この空間はの、妾の欲望を満たす為に作り上げた魔術なのじゃ!」
己の欲望のために、ムダに空間に穴を開けるなっての。
「助けなさい! 助けて! 助け、いやあああああああ!」
「良いではないか、良いではないか」
「あああああれえええええ!」
……トプン
あーあ。アン先輩は足先だけを残して、ほぼ全身を空間内に……。
「ていうか、何故に足だけ残ってんの?」
「? サーチさん、何故アン先輩の足は激しく揺れているのかな?」
気にしないで。ていうか、ナニをしてるかやかるヤツには丸わかりだっての。
「ふぇ、ふぇ、ふぇ、ふぇ」
「ていうか、クラ子が揺れるリズムに合わせて縦乗りしてるわよ?」
「しょ、召喚主様、恥ずかしいので止めましょう」
「ふぇ、ふぇい」
クラ子は絶っ対に未経験よね。ソース子ですら未経験なんだから。
「クラ子、ちょっとステータス見せてくんない?」
「ふぇ? い、いいですよぉ?」
そう言って躊躇なくステータスをオープンにするクラ子。ていうか、頼んでおいてこういうことを言うのもアレだけど、自分のプライバシーは大事にしなさい。
「でも見ちゃうけどねぇ~……あったあった、【18禁】な欄」
「ふぇぇ!? それは見ちゃ駄目ですぅ!」
閉じられる前に、急いで確認…………って、えええええ!?
「あんた、経験あんの!?」
「嘘!?」
「本当ですか、召喚主様!?」
「ふぇぇぇぇぇん!!」
顔を真っ赤にして逃げ出すクラ子。
「そ、そんな、クラ子まで貞操概念が崩壊してるなんて……」
絶対に自分と同じだと思っていたヤツが、一歩先を行ってたのが相当ショックだったらしく、ソース子は塞ぎ込んでしまう。
「サ、サーチお姉様、そ、その」
「何よ」
「け、経験人数は、どれくらいでした?」
あはは、ビックリするわよ。
「あんたと一緒くらい」
「えええええ!? リ、リーフと同じくらいって、二桁ですか!?」
おいおい、自分で自分のプライバシーを暴露しなさんな。
「ふぇぇぇぇ!? リ、リーフが二桁!?」
クラ子がビックリすること自体がビックリだよ。リーフ、あんたクラ子に下に見られてたのよ。
「えっと、ソース子さんは……まだなんですよね?」
「は、はい」
「ふぇ…………ふっ」
あああ! 鼻で笑った! ソース子、あんたクラ子に鼻で笑われたわよ!
「わ、私、何か妙に屈辱感に苛まれてるんだけど……!」
「そりゃそうよね。ていうか、クラ子に負けてるって……プププッ」
「サ、サーチさんまでえええええ!」
「プププ……ま、まあいいじゃない。あの二人の人数合わせたって、私には敵いっこないんだから」
「「「そりゃそうでしょう」」」
おい、何で全員一致すんだよ。
「それでも妾の足元にも及ばんの」
年中発情期の女王は黙ってろ!