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play5 到着のサーチ。

「港だ! 港が近いぞお!」


 ぶ、無事に着いた!? そんなことがあるはずない!


「ウソだ! こんなのウソに決まってる!」


「っ!? じょ、嬢ちゃん、突然どうしたんだ?」


「船が沈まないだなんて、ウソに決まってる!」


「な、何を縁起でもねえ事を言い出しやがんだ!?」


「私は沈没の申し子なの! 私が乗った船は、ことごとく海の藻屑と化していったの!」


「おい、止めろ! まだ港に着いてないんだからよ、まだ沈没の危険性はあるんだよ!」


「あああ、海神ポセイドンよおお! この奇跡は私への新たな試練なのですか!? これ以上私に何を求めるのかあああ!?」


「こら、この召喚獣の召喚主ぃ! 絶対命令使ってこいつを黙らせろぉぉ!」


「……サーチさん、貴女も辛い日々を乗り越えてきたんですね……」


「へ?」

「ソ、ソース子?」


「実は私も…………乗った船がことごとく沈む、困った呪い持ちなんです!」


「あ、あんたも!?」

「おいいい!?」


「ほらああ、あそこに浅瀬が見えます。あれに乗り上げて海の藻屑」

「面舵いっぱあああああい!」

「ほらああ、避けた先にツノクジラが三頭。あれが刺さって海の藻屑」

「追い払ええええええええ!」

「ほらああ、避けた先に捨てられた難破船が一隻。あれと衝突して海の藻屑」

「何で港ん中に難破船が放置されてんだよ!」

『新しい幽霊船に使っちゃおうかな♪』

「ま、まあ、好きにしな」

『あ、でもでもでもお♪ どうせなら新鮮な真新しい船の方が……♪』

「……っ! おいい、この幽霊の取り憑き主ぃぃぃ! この悪霊を何とかしやがれええええええ!」



 何だかんだあったけど、私達は無事に港へ到着した。


「ああああ、奇跡だ! 奇跡だぁぁぁぁ!」

「サーチさん、良かったね。良かった良かった」

『あああ、真新しい幽霊船候補が逝っちゃううう♪』


「もう二度と面見せんな! バッカヤロオオオオ!!」


 本気でブチキレるマグロ漁船長以外は、こっそりと手を振って見送ってくれてる。


「こらあああ! お前ら、そんな事してる暇があるんなら働けええええええ!」

「「「へ、へい!」」」


 穫ったマグロを水揚げするんだろうな。お疲れ~兼お世話になりました。


「さて、次は陸路ね。到着まで…………徒歩で一週間ってとこかな」


「い、一週間んん!?」


「あら、何かマズかった?」


「ま、魔術会予選開始……三日後……」


 え。


「って、受付開始も近いんじゃない?」


「……明日から……」


「し、締切は?」


 ソース子は真っ青な顔をして。


「あ、明後日」


 チェックメイトなことを言い放った。



「ソ、ソニ?」

音速地竜(ソニックランドラゴン)よ! いるの、いないの!?」

「な、何だい、そりゃ?」


 ちいい! この世界にはいないのか!


「だったら高速移動手段はない!? 今すぐ乗れるお手軽なヤツで!」

「あるわけないだろ!」


 ま、そりゃそうか。一応ギルドらしきモノがあったので、いろいろムチャ振りしてみたんだけど、やっぱムリっぽい。


「はーあ、万事休すかぁ……まさか会場にたどり着けないとはねぇ……」


 すると、意外なとこから救いの手が差し伸べられた。


『高速移動手段ならありまするよ~♪』

「「……へ?」」


 それは私達の背後を飛び回っていた、ルック船長からだった。


『私が支配できるのは船だけじゃないから~♪ 何か乗り物を提供してもらえれば、サーチ達を明日までに会場まで連れて行って・あ・げ・る♪』


 うお、うおおおおおおおおおおおおお!!


「乗り物なら何でもいいの!?」


『自力走行できるんなら、何でもオッケー♪』


 自力走行できるなら、か。だったら車を買っちゃえば…………あ。


「ソース子、一応聞くけど、車を買えるくらいのお金って……」

「ある訳無いじゃん」

「……だよね~」


 うう、ならどっかで頂戴してくるしかないかな。


『例えば~♪ サーチの右足だとか~♪』


 は?


「右足がどうかしたの?」


『その右足、機械だよね~♪』


「え、ええ、そうだけど…………って、おい、まさか……」


『移動手段には間違い無い♪ だから取り憑きまーす♪』

 ヒュルルル


 おいいい! 人の足に勝手に取り憑くなああ!


『お、おう、狭い♪』


 当たり前だ!


『それよりサーチ、ソースちゃんを持って持って♪』


 ソースちゃんて。


「持つって、要は離れなきゃいいのよね?」


『そのとーり♪』


「な、なら、ソース子、私に『あんたを離すな』って絶対命令して」


「え? あ、はい。絶対命令、絶対に離さないで」


 がしぃ


 絶対命令が発動すると同時に、私はソース子をおもいっきりハグした。


 みしみしめきめきっ

「お、折れる! 折れる!」


 力の限り。


「仕方ないじゃない、絶対命令なんだから」

「ぜ、絶対命令、か、解除しま」

『出発しんこー♪』


 ボッ! ゴオオオオオオ!


 わ、私の右足から火が!?


『この右足、魔力噴射できるから、それを応用して飛びます飛びます♪』

「うひゃあああああああああああ!?」

「ぐええええええええええ! 苦しい苦しい苦しいいい!」


 突然飛んだ反動で、ついついハグする手に力が入ってしまう。


「ソ、ソース子! ここで絶対命令解除したら、あんただけ墜落するわよ!」

「ぐええええええ! それは嫌ああああ!」


 墜落して木っ端微塵になるか、私に絞め潰されるか。ソース子の究極の二択が、今決まろうとしていた。



 ビュゴオオオッ

『はい、到着~♪』


 ホ、ホントに着きやがったよ。


「ぐふぇ」

 ドサアッ


「ちょっと、大丈夫?」


「だ、だいじょばない……」


 そんな受け答えができるなら、大丈夫ね。


「派手な登場じゃの」

「サーチお姉様ー!」


 私達を迎えてくれたのはマーシャンとリーフ。二人とも無事に着いていたみたいで安心した。


「船は沈まなんだぞ」

「はい、沈みませんでした」


 うっさい!

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