play32 再会のサーチ。
「あれ? 四天王って四人いるから四天王なのよね?」
とりあえずリーフを控室に連れていってから、ふとそんなことに気づく。
「……? そうに決まってるじゃありませんか」
リーフは不思議そうな表情をして、服を精霊力で再構築している。
「だよね。だけどさ、あと決勝しか残ってないんだよね?」
私が何を言いたいのかわかんないみたいで、リーフもソース子も怪訝な表情をしている。
「このパターンならさ、決勝で四天王最強と戦うのが普通じゃない?」
「ああ、そういう事ですか……それなら仕方ありませんよ」
え、仕方ない?
「四天王の残り二人は、四天王同士で当たって負けてますから」
あ、ああ、そうなったのか……って、ちょっと待てよ。
「四天王の二人とも、四天王の二人と当たって敗退?」
「そうです」
「なら、決勝に残ったのは誰よ?」
リーフとソース子は、今度は不思議そうな表情をする。
「な、何よ」
「そんなの、決まってるじゃないですか。四天王の後ろに控える、ラスボスですよ」
ラ、ラスボスぅ!?
「話したよね? 四天王ってのは、アンチテーゼ・フォン・アドレナリン先輩の取り巻き四人衆の事だって」
初耳だよ。
「ってことは、ソース子が言ってるラスボスってのは……」
「無論、アンチテーゼ先輩です」
うわぁ。確かにラスボスだぁ。
夜、ソース子を伴って再び大浴場。
「ふんふんふふーん……あれ、誰か入ってるわね」
「あ、本当だ…………げ、上級生だ」
ソース子の言う通り、脱衣カゴに入ってる制服の色は、上級生のモノだった。
「うわぁ……入りにくいなぁ……うわぁ……」
「だったら止めといたら? ま、私は入るけど」
ビキニアーマーを脱ぐと、そのまま浴室へ向かう。
「…………」
ソース子はまごまごしたまま、私を見送った。
ガラッ
「いやっほおおおいい!」
タンッ バチャアアアアアアン!
「ぅわぷっ!?」
あ。飛沫が盛大に上級生さんにかかったみたいだ。
「ゆ、湯船に飛び込むなんて、一体誰ですか!」
「ブクブク……ぶはぁ! あはは、ごめんごめん。つい、ね」
私をキッと睨みつけてきてるのは…………あれ、あの特徴的なネジネジは。
「アンチテーゼ……だっけ?」
「無礼な。わたくしを呼び捨てにしていいと思ってるの?」
「ていうか、あんた年下じゃないの?」
「わたくしは最上級生です。つまり年上は先生以外にあり得ませんわ」
「もう一つ可能性があるじゃん」
「……?」
「私が召喚獣だったら、年齢なんて意味ないよね?」
「召喚獣? そう言えば、一年が人型の召喚獣を連れていると噂になってましたわね」
「そ。つまりその召喚獣が私ってこと」
あっけらかんと答える私に、アンチテーゼは睨みを強くする。
「召喚獣が温泉に入るなんて、聞いた事がありませんよ?」
「なら私が初めてかもね。ファーストペンギンってわけだ」
「ファーストペンギンの意味合いが違いますが……まあ宜しいですわ」
ザバアッ
そう言って立ち上がるアンチテーゼ…………って、うわあっ。
「デ、デカい」
ぼよんっ
「く、括れてる」
きゅっ
「お、お尻までデカい」
ででんっ
「……何ですの?」
く、括れ。括れだけはかろうじて勝ってる。勝ってるけどっ。
「総合的に負けたあああ」
「……何を言ってるんですの?」
うっさい。
「ていうか、腹いせにこーしてやる」
ぐいっ びょおおおおおん!
「な、何をなさるんですの!?」
おう。お嬢様特有のネジネジは、立派にバネってます。
「うお、スゴいスゴい」
びょおおおおおん! びょびょおおおおおん!
「お、お止めになって下さい! 怒りますわよ!」
「スゲえドリルだ」
「ドリル言わないで下さいまし!」
「……ドリル言われるのが嫌なら、そんな髪型にしなきゃいいじゃん」
「癖毛ですわ」
は?
「ここだけ、こんな盛大に癖毛? ウッソだぁぁ」
「嘘じゃありませんわ! わたくしだって、好きでこんな髪型に……!」
え、マジでなの?
「なら切っちゃえばいいじゃん」
ハサミを作り出し、チョキッと。
パキィィン
「え゛」
ハ、ハサミが折れた?
「あ、貴女、何をなさってるんですの!?」
「何をって、ドリルを成敗しようかと」
「ドリルではありません! それ以上に他人の髪の毛に鋏を入れる所業、無礼にも程がありますわ!」
「いやいや、その無礼を飛び越えて、鉄のハサミを砕くドリルは脅威だわよ」
「まだドリル言いますか! もう許しません!」
アンチテーゼさんの精霊力の高まりに合わせ、ドリルがギュルギュル回転……じゃなくて髪が逆立って揺らめく。
「出でよ、我が召喚獣!」
「って、ちょっと待ってよ! 温泉でバトるつもり!?」
「戦いをふっかけたのは貴女です! よって場所は関係ありません!」
私はふっかけたつもりは一切ないんだけど!
「この無礼者を成敗なさい! 我が召喚獣『森の女王サーシャ・マーシャ』!」
……………………はい?
「ちょっといいかしら」
「何ですの!? 敵と馴れ馴れしく会話する気にはなりませんわ!」
「あ、いえ、サーシャ・マーシャマーシャって言わなかった?」
「言いましたわ! 我が召喚獣は最強の攻撃魔術士、サーシャ・マーシャです!」
サーシャ・マーシャ……。
「それって、緑色の髪の毛ですか?」
「え? あ、はい」
「私よりちょっと身長があって、こーんな感じの杖を持ってて」
「は、はい」
「で、女の子がだーい好きで」
「な、何故知ってるんですの!?」
確定。マーシャンだ。
「あー……用事ができたんで失礼しまーす」
「ま、待ちなさい、ちょっと!」




