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play31 裏技のサーチ。

「それでは、準決勝を開始します!」

 

 私が考えた戦法はうまくいきそうな感じだ。実際に試してもみたけど、相手を倒すには十分すぎる水を貯められた。


「ふっふっふ、付き添いAを倒したくらいでいい気にならない事だな。あいつは四天王になれたのが不思議なくらいの弱者だ」


 あー、よくあるパターンだわ。一番最初の四天王が負けると、その次に出てくるヤツがよく言うセリフだわね。


「ふふふ、では四天王二番手、炎撃のビート、参る」


 炎撃のビート? 誰?


「付き添いB! 勝手に自称を名乗らないように!」

「自称言うな! 俺だって好きで『付き添いB』なんて名乗ってるんじゃない!」


 確かに。もし私が付き添いBなんて名前だったら、自称でも何でもいいから、違うのを名乗るわね。


「ま、まあいいでしょう。名前にコンプレックスを持っている方は少なくありませんから」


 あ、ちなみにだけど、準決勝からは審判が付きます。やたらと不可解な勝敗が多かったため……という理由らしいけど、明らかにリーフに対する当てつけだ。


「では倉庫三号も準備はいいですね?」

「ふぇ!? ふぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

「召喚主様!?」


 あ、付き添いBの対戦相手は倉庫三号だったわね。


「審判さん、召喚主様はソーコと呼んで頂けませんか!?」

「ふぇ、ふぇ、ふぇぇぇぇん!」

「ま、まあ、そちらにも事情があるのでしょう……わかりました、特例として認めましょう」


 そして、仕切り直し。ていうか、試合始まるまでが長いな。


「では炎撃のビート対ソーコの試合を始めます。では両者、礼!」


 ペコリと頭を下げるソーコとリーフ。尊大に胸を張ったままの付き添いB……って、おい。


「炎撃のビート、礼!」

「ふん。何故上級生の私が、下級生に頭を下げねばならぬのだ?」

「っ…………規則です。礼!」

「断る」

「礼っ!」

「嫌だ」

「~っ…………付き添いB! 言う事を聞け!」

「五月蝿いぞ、審判その一!」

「し、し、審判その一言うなぁ! 私はシン・パァーンだぁ!」


 な、何だ何だ。


「あの審判の人、召喚術士ネームが審判その一なのよ」


 召喚術士ネームって変なのしかないのかよ!


「私のソース子ですらも、マシな範囲になっちゃうのよね……」


 ……もはや何も言うまい。


「やーいやーい、審判その一! 審判その一!」

「お、お前なんか付き添いBじゃねえか!」

「ふぇ、そ、そろそろ試合を……」

「「五月蝿い、倉庫三号!」」

「ふぇぇぇぇぇぇん!」


 ああああああもう、収拾がつかなあああい!



 一時間後、先生の介入もあって、ようやく再開。


「おほんっ! では炎撃のビート対ソーコの試合、改めて始めます。両者、礼!」


 今回は嫌々ながらも、付き添いBは頭を下げる。


「両者、召喚を」


「ふははは、では私から。燃えよ燃えよ炎撃の担い手よ。我が意のままに躍動し、愚か者を全て焼き尽くしてしまえ…………炎撃のフレイムスライム召喚!」


 パアアア……

「うにょーーん!」


 うん、スライムだ。赤いスライムだ。ちなみにだけど、目と口はない。


「ふぇ、リ、リーフ、お願いしましゅ、ふぇ!?」


 あ、噛んだ。


「ふぇぇぇぇぇぇん!」

「召喚主様、どうどう」


「あ、あの、ソーコ選手?」


「あ、すみません。ほら、泣き止んで下さい」

「ふぇぇっ」

「はい、鼻をかんで」

「ふぇ、ちーん」

「はい、では参りましょう……失礼しました。深緑のリーフ、参上しました」


 どっちが主なんだかわかんない。


「お、おほん! では始めて下さい!」


「にゅるーん!」

「かかって来なさい!」


 よ、ようやく試合開始。


「では上級生の私からだな! くらえ、炎が舞い踊る美しきフェイバリットを!」


 そう言いながら無意味にポーズを決める付き添いB。ていうか、召喚術士ルールの試合じゃなかったらとっくにぶっ殺されるな、アイツ。


「我が最強のフェイバリット、『炎撃のメラメラアタック』!」


 だっさ! メラメラアタックって、だっさ!


「うにょにょーーん!」

 ボゥオ!

 ゴロゴロゴロゴロ!


 炎を全身に纏い、ボール状になったフレイムスライムが突進する。


「っ……灼熱大陸でなら、難なく避けられるのにぃ……」


 そう言いながら、リーフは『葉っぱ防御』の体勢に入る。


「うにょろん!」

 ぶちょ

「くうう……!」


 どうにか葉っぱでガードしたものの、その上から炎が迫り来る。


「く、くぅ、熱……!」


 葉っぱごと、リーフが炎に包まれる。オッケーオッケー、予定通りよ。


「ふぇぇ!?」


 いや、予定通りじゃない。そこでソーコが指示を出さないといけないのよ!


「早く言いなさいっての。リーフもあまり耐えられないわよっ」

「サーチさん、ソーコ完全にテンパってるから、言えないと思うよ」


 や、やっぱりか。


「ふぇ、ふぇぇ、ふぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

「わかりました、召喚主様!」


 へ?


「ソース子、今ソーコって『ふぇぇ』以外に何か言った?」

「そう言えばリーフって、ソーコの『ふぇぇ』を翻訳してたよね」


 ふ、ふぇふぇ語なの!?


「く、くぅぅ!」


 作戦通り、リーフの背中から植物が姿を現す。

 が。


「にょろおおん!」

 ゴオオッ!


 すぐに炎に包まれる。よし、うまくいった!


 ボオオオ……ジュウウウウ!

「にょろ!?」

 ジュワアアアアアアアアア!

「にゅるにょろにょろおおおん!?」


 急に水蒸気が発生し、火の勢いが急激に弱まる。ていうか、フレイムスライム明らかに致命傷。


「っ!? な、何故か戦闘不能。勝者、深緑のリーフ!」

 ざわわっ


「よっし、作戦大成功!」

「あんなに水を貯められる植物なんて、初めて見たわよ」


 そう。リーフは私が指示した通りに、体内にある植物を忍ばせていたのだ。


「ウツボカズラっていう食虫植物なんだけどね」


 消化液が入ってる場所に、入るだけ水を詰め込んだのだ。


「で、燃えちゃえば」

「中に貯め込んだ水がバチャア、か」


 致命的な苦手属性を浴び、フレイムスライムは完全にノックアウト……というわけだ。


「ナイスファイト、リーフ」

「そ、それより着るモノ持ってきて下さああい!!」


 リーフの悲痛な叫び。あ、服は燃えちゃったのね。

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