play27 卑猥のサーチ。
「ていうか、リーフならわかるかな」
「はい?」
「私、元の世界に帰りたいのよ」
「ああ、でしょうね」
「で、どうやったら帰れるの?」
「そうですね……リーフが知ってる方法は三つです」
三つもあるの!?
「教えて教えて教っえて♪」
「お、お姉様、近い近い」
あら、失礼。
「で、どんな方法?」
「おほん。では一つずつ……まずは一番簡単な方法です。本人の意志で帰ればいいあ痛っ!?」
「それができればとっくにやってるわよ!」
「さ、最後まで聞いて下さい!」
何なのよ!
「いいですか? 召喚獣は召喚獣交換という方法で、元の世界に帰る事ができます」
ああ、そういえば召喚獣を使って別の召喚獣と交換することで、星をあげていけるんだっけ。
「ただし、召喚獣交換を行うには、ある程度の精霊力消費が条件になります」
「なんだ、精霊力使えば戻れ……………………あああっ!?」
「わかりましたか? サーチお姉様には精霊力がありません。よって、この方法は却下で……と言おうとしてたんです」
うう、ムダに殴ってごめんよう。
「で、次ですが……これは一番簡単でもあり、一番難しくもあります」
「どんな方法よ」
「死ねばいいんです」
……はい?
「サーチお姉様は何回かされているようですが、召喚獣を消滅させた事があるでしょう? あれです」
召喚獣の消滅って……つまり。
「負けるってこと?」
「そうなります。あるいは自死、という手も」
「……できれはやりたくないなあ……」
「リーフも嫌ですね。死ぬんですから、痛いでしょうし」
うん、痛い。死ぬほど痛いよ。ていうか、実際に死ぬんだし。
「ただし、一つ心配はあります」
心配?
「先程も言った通り、サーチお姉様には精霊力がありません。ですから……」
「つまり……死んでも戻れる保証はない?」
「その通りです」
「なら、却下ね。死んでダメだったらシャレになんないし」
「でしたら三つ目しかありません」
「三つ目は、私にもわかるわ」
「え?」
「世界一魔術会で優勝して、えっと…………何とかっていう優勝賞品をゲットするのよね?」
「い、いえ、違います」
へ?
「星をランクアップさせて、七まで到達すればいいんです」
はい?
「星七までランクアップすると、召喚主は星EX召喚獣との交換権を得るんです」
「EXとの交換権…………つまり、精霊力のない私でも、召喚獣の交換が可能になり……」
「はい。確実に元の世界に……灼熱大陸に戻れます」
「ていうか、星のランクアップなんて可能なんだ」
「できます。同じ召喚獣を使い続ければ」
「……つまり、他の召喚獣が星一以上なのは……」
「はい。それだけ長く召喚領域で戦っている、という事ですね」
「ていうか、あんたは星二つだっけ、新緑の狩人リーフさん?」
それを聞いたリーフは、顔を真っ赤にする。
「や、止めて下さい!それは若気の至りですっ」
「新緑の狩人?」
「今は深緑のリーフですっっ……な、何でそんな古い情報を」
ていうか、ソース子の本って古かったんだ。
「まあいいわ。で、ランクアップの方法は?」
「難しくありません。要は勝てばいいんです」
「あら、私、何回か勝ってるわよ」
「特に召喚獣を消滅させたり、星二つ以上の差がある相手に勝ったりした場合は、ほぼ確実に」
消滅は二回させたし、ジャイアントキリングは一回達成してます。
「……でも、まだ星一だけど?」
「召喚獣カウンターでランクアップできます。後で案内しましょうか」
「よろしく頼んます……ていうか、ずいぶん時間が経ってるけど、あんたの召喚主は大丈夫なの?」
「…………あああっ!?」
悲鳴をあげたリーフは、ドアを蹴破る勢いで飛び出していき……。
「……ひっく、ふぇぇん」
「大丈夫です、リーフは召喚主様を見捨てたりはしませんから。放置して申し訳ありませんでした」
泣きじゃくる女の子を連れ、戻ってきた。
「……ちっさ」
「ひぐっ!? ふぇぇん!」
「サーチお姉様! 身体の大きさは個人差ですし、個性の一つですから!」
ていうか、150㎝いってない私より小さいって、相当だよ?
「ど、どうせ私なんか、150㎝もないチビなんですぅぅ。ふぇぇん」
「え、私も同じ身長のはずなんだけど?」
「え…………あ、明らかに私より高いじゃないですか、ふぇぇん!」
あ、あれ、おかしいな……?
「ステータスで確認しては?」
あ、そうね。ちょっと閲覧…………あああっ!?
「身長が伸びてるっ。5㎝も伸びてるっ」
ついに150㎝の壁を破り、153㎝に突入!
「それに今のブーツ、ちょっと靴底が厚いはずだから……もう5㎝くらい高いか」
つまり158くらいはあるわけか。
「……10㎝の差……ふぇぇん!」
「よしよし……サーチお姉様、これ以上追い詰めないでっ」
はいはい、すいませんでしたっと。
「ていうか、あんたの名前は?」
「ひっく、わたしは倉庫三号と言います」
はい?
「それ、召喚主ネーム?」
「はい。本名は…………卑猥すぎて言えません!」
「卑猥?」
「サーチお姉様、女性の……」
……ああ、女性ならマ行、男性ならタ行のアレか。
「ていうか、あんたの親最低ね」
「ふぇ!? 両親をディスらないで下さい、ふぇぇぇん!」
「サーチお姉様!」
はいはい、ごめんなさいごめんなさい。
「ていうか、何で倉庫三号? それは自分で付けた名前よね?」
「え? いえ、召喚主ネームも親が決めました」
……また泣かれたら面倒だから言わないけど……マジで親最低だわね。
「んじゃ、ソーコって呼ぶわね」
「ふぇ、みんなもそう呼んでくれてますので」
オッケー。