表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1782/1883

play8 授業のサーチ。

「…………」


 ザワザワ……ザワザワ……


『見られてる見られてる。美少女はツラいわね~』

「……っ……そういう問題じゃありませんっ!」

 ざわっ


 あ。急に大声をあげるもんだから、さらに注目の的に。


「あ、あわわわ……な、何でもありません! 何でもありません!」


 …………………………ザワザワ……


 しばらくシ~~ン……となっていたけど、再び周りがざわめき出す。でもそれは、ソース子から半径5m以上離れた状態でのことだった。


『あ~あ、さらに遠巻きにされちゃって』


「だ、誰のせいで……!」


『あ、直接声に出したくないんなら、しばらくは黙ってた方がいいと思うわよ?』


「……く……!」


 ホントは心の中で強く思ったことも聞こえるらしいから、それを応用すれば声を出さずに会話できるんだけど。


『……ま、しばらく遊んでもいいか』


 私の言葉にピクリと反応しつつも、ソース子は無言で歩き続けた。



 キーンコーン……


 ……学校のチャイムって、どこの世界でも共通なのかしら。ギルド養成学校でもこのチャイムだったし。


「授業始めるぞ~」


 お、新たな召喚ティーチャー確認。おひげが似合うダンディオジサマだ。


「起立!」

 ザッ!

「礼!」

 サッ!

「着席!」

 ザザッ!


 ……スゲえ。一糸乱れぬ動き。


「……ど、どした? いつもはダラダラなのに……」


 ありゃ? ダンディティーチャーまでビックリしてるぞ?


「え、だって……」

「今日の号令はコーミだし……」


「……あ~……成程、な……。コーミ、お前昨日ハヤトの兄ちゃんをぶっ飛ばしたって?」


「な……ち、違います! あれはサーチさんが……いや、私の召喚獣が勝手に……!」


「……召喚獣が勝手に動くなんて、聞いた事が無いが……」


「で、でも現に! 私が気絶してるなか、勝手に!」


 あ、ヤバい展開。これって私を呼び出して、公開質問しようとか言い出すんじゃないわよね?


「ふむ……お前がそう言うのなら、召喚獣に直接聞いてみればいいな」


 やっぱりぃぃ!?


「ちょうどいい。今日の授業は『召喚獣に対する絶対命令権』に関する講義だったからな」


 ……はい?


『な、何よ、その絶対命令権って』


 どっかの運命の、命令的な三つの呪いみたいな?


「よし、コーミ。お前の召喚獣を出しなさい」


 マ、マズいマズい! 雰囲気的に、気軽に出れるもんじゃ……!


「わかりました! 出でよ鉄クズのサーチ!」


 ま、待っ……せ、せめて格好だけは……!


 パアアア……!


 よし、何とか跪いて登場するのはできた!


「……お呼びでございますか、マスター」


 おお~!


 結構サマになってたみたいで、教室内で歓声があがる。


「ほう……戦士系だとは聞いていたが、ちゃんと魔力を纏っているじゃないか」


「……っ……」


 私の登場姿が予想外だったのか、口をパクパクさせたまま固まるソース子。


「おい? コーミ?」


「え、あ、へ!?」


「だから、戦士系の割には、ちゃんと魔力を纏っているなって」


「は、はひ!? ま、魔力魔力…………ああ!? ホントに魔力を纏ってるぅぅ!?」


 おい。今ごろ気づいたのかよ。


「ななな何で魔力を!? 魔力が!?」


「マスター、落ち着いてください。私のフェイバリットを考えれば、魔力を纏っていて当然でしょう?」


「フェイバリット!? はうはうはう」


 ダメだこりゃ。


「……コーミとは会話できないな。鉄クズのサーチだったか、その辺りはどういう事なんだ?」


 よし、準備していた問答を発動。


「お答えしかねます」


「何?」


「マスターの許可なくして、直答はしかねます」


「ほう……随分と忠誠心溢れる召喚獣だな」


「あ、あうあうあう」


 よし、このまま受け答えできない状況にしたまま。


「マスターの許可がない以上、このまま私が留まるのは魔力のムダ。失礼させていただきます」


 この流れで颯爽と逃げちゃえば、このまま誤魔化せる……。


「待て」


 ちぃ! 余計なこと言うな、ダンディオッサンが!


「何ですか?」


「ちょうどいい、ここで授業内容を実践させてもらおう……『ここに留まれ』」


 ふん、そんなこと言われたって、無視して帰るわよ。


 ピタッ


 あれ?


「う、動けない?」


「この通り。召喚獣への『絶対命令権』を使えるようになれば、これくらいならば他人の召喚獣にも影響は及ぼせる」


 な、何ですってえ!?


「ただ、できるとしても足を止めるのが関の山だ。誰かを攻撃しろ、等のような具体的な命令には従わないので、そこは留意しておくように」

「「「はーい」」」


 ひ、人を授業の実践に利用するなあ!


「で、コーミ。いい加減に落ち着いたか?」

「はわひわほわへわ」

「……まだみたいだな。で、鉄クズのサーチ、お前が魔力を纏っている理由は?」


 ……これ、答えなくちゃダメみたいね。抵抗がハンパない。


「……受け答えにまで影響があるのですか、その『絶対命令権』というモノは」


「お前がそう感じているのなら、影響があるのだろう。私には召喚獣の気持ちはわからないからな」


 そりゃそうでしょうね。


「なら答えます。私が魔力を纏っている理由は、私には魔術士の才能もあったからです」


「魔術士の、か」


「はい。ですが素質は高くなかったため、補助的な役割程度の魔術しか覚えられませんでした」


「だから、戦士になったと?」


「厳密に言えばアサシンですが」


 ウソは言ってない。私の唯一の魔術≪偽物≫(イミテーション)は、補助的な要素が強いから。


「ならばフェイバリットはどういう事だ? 大量の鉄を放出する、と聞いたが」


 あの兄弟から確認済みか。なら誤魔化せないわね。


「それは補助魔術の応用、としか答えられません」


「ふむ?」


「自分の戦い方のタネを明かすほど、私は大胆にはなれませんので」


「ふむ……道理だな」


 ……何とか誤魔化せた……かな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ