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play7 読書のサーチ。

 ズル……ズル……

「んしょ、んしょ、お、重い……」

「はにゃ……ふにゃ……」


 お前はハニワの王子様かっての。


 ズル……ズル……


「しょ、召喚獣になっちゃったんなら、ち、力が上がっててほしかったわ……」


 ズル……ズル……


「や、やっと着いた……」


 ソース子の部屋の前までたどり着いた私は、ドアを開け…………っていうか、カギがないぃ!


「ちょっと、カギはどこよ!」


「カ……」

「カ?」

「カギの使いじゃあらへんで……」


 っ…………ぶん殴っちゃろか。


「もういいっ。勝手に開けるわよ……≪偽物≫(イミテーション)!」


 カギ穴に液状の金属を流し込み、カギ穴に合わせて固める。

 で、そのまま。


 ガチャ


「私、アサシン止めて泥棒にもなれそうね」


 意外と≪偽物≫(イミテーション)って便利なのだ。


「んしょっと」


 ギイ……ズル……ズル……ドサッ!


 ベッドにソース子を放り込んで、任務完了っと。


「ふー、疲れた……暑い暑い」


 パタパタパタッ


 再び≪偽物≫(イミテーション)でウチワを作り出し、火照った身体を扇ぐ。


「変なの。召喚獣って言うくらいだから、空腹も暑さも感じないのかと思ってたんだけど……」


 普通にお腹は空くし、汗もかく。ていうか、夜になったら眠たくなるし。


「はあ……今ごろ探し回ってるんだろなあ、ヴィーやナイア」


 みんな心配してるんだろうな……オニコにツィツァ、フレアにウォータにスカイ…………あ。


「そうだわ、リーフ。リーフのことを探さなくちゃ」


 おそらく私と同じように、この世界に召喚獣として呼ばれてるはず。


「召喚獣同士で連絡できる方法があればなあ……」


 ていうか、そういう肝心な記憶はないんだし。


「ようわからん、この召喚獣の仕様って」



 私は自分が召喚獣だと認識してから、徐々にであるが召喚獣に関する知識がインプットされてきている。

 まずは自分のフェイバリットの使い方。私の場合は三つあって、普段よく使う『鉄クズの流星雨』(シューティングスター)はすぐに理解できた。要は作り出した鉄の固まりを爆散させて、その破片で敵にダメージを与えるフェイバリットなんだけど、何の違和感なく使いこなしてるってことは、知識がインプットされた証拠だろう。

 そして、召喚獣の基本的な知識。最初の戦いから徐々に思い出したけど、自分が魔素によって構成された仮初めの存在であり、本体は召喚主の体内に保存されているってことがわかった。送還されるとソース子に吸収されるようなイメージなのは、そういうことらしい。


「つまりソース子の中にいる私は、実際の私ってわけだ」


 グースカ寝るソース子を見ながら、頭を抱えるしかなかった。つまりこのドジっ子が死んだら、私も道連れになる可能性が高いのだ。


「は、早く元の世界に帰らないとっ」


 常に自分の命が他人に委ねられてるなんて、気が気じゃない。


「それに必要なのは、何で私が召喚獣になっちゃったのか。その理由よね」


 理由さえわかれば、元の世界に戻る方法もわかる可能性がある。今はそれに賭けるしかない。


「それと、リーフの存在がカギかな」


 私が召喚に巻き込まれたとき、確か「木属性を確認した」みたいなことを何かが言っていた。たぶん私は、リーフの召喚に巻き込まれたと考えるのが自然だろう。


「リーフを探し出せば、何かわかる可能性が高いわね。だから元の世界に帰る方法を探すのと同時に、リーフを早めに見つけ出さなきゃ」


 まずは情報だ、情報。


「えっと、この世界にはパソコンやインターネットは……ないわよね」


 テレビもないんだから、そんなのあるはずもない。


「なら本か」


 ソース子の部屋にも本棚はある。そこの本を見れば、何かしら情報はあるかも。


「どれどれ……『召喚の裏技集』『召喚とは ~皆が知らない豆知識~』『召喚入門』……ていうか、召喚以外の本はないのかよ……」


 試しに何冊かパラパラッと読んでみるが、あまり参考になりそうなのはなかった。

 唯一知ったのが「初めて契約した召喚獣を消滅させられると、次の召喚獣と契約するのは難しくなる」ってことくらい。


「『次の召喚獣と契約するには、現在契約中の召喚獣との等価交換が必要となる。勝負に負けて消滅してしまった召喚獣とは二度と契約できなくなる為、普通はその前に契約していた召喚獣と契約し直し、その後は召喚主の選択肢となる』……か」


 つまり再契約した召喚獣を使って等価交換・違う召喚獣と契約するか、再契約した召喚獣と再び組むか。


「初めての召喚獣が消滅した場合は、前の召喚獣と再契約という選択肢が使えない以上、実質召喚術が使えなくなるってことか」


 あのハヤブサの召喚主……ハヤトだったか……がヒッキーになっちゃうわけだ。召喚獣がいて当たり前の世界で、召喚できなくなったってことは、社会的に死んだも同然だしね。


「ていうか、召喚獣一覧とかないかな。召喚獣一覧」


 本棚を漁りまくる。あ、奥から薄い本を発見。ていうか、この世界には薄い本はあるのね。


「一覧一覧…………あった!」


 一番隅に「召喚獣一覧」と書かれた分厚い本があった。


「えっと、星一から順にっと」


 ……一応私は……あるわ。


「鉄クズのサーチ、戦士系、星一……だけか。詳しい情報は載ってないわね」


 星二からは挿し絵つきなのに。何か複雑だ。


「……あ、リーフ発見」


 新緑の狩人リーフ、か。フェイバリットは『葉刃』……つまり○っぱカッターね。


「ていうか、美化されすぎじゃね? バストは盛りすぎだし」


 えい、手書きで「ここまで大きくない」って書いてやれ。


「それはさておき、これでリーフがこの世界にいるって確証は得たわ」


 ならまずは、リーフと契約してるヤツを探しますか。

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