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第十七話 ていうか、ラスボス手前で温泉♪

 火口に近づくにつれ、炎の一族の抵抗が激しくなっていく。


「……ってことがないって、どういうこと?」


「さあ……リーフにはわかりません」


「お、ちゃんと言ってるね」


「サ、サーチお姉様が言えって……!」


 あはは、ごめんごめん。


「フレア、火山の内部はどんな感じ?」


「…………あまり目立った動きは無いね……じゃなくてありませんね」


「あのさあ、別に無理矢理敬語にしなくてもいいんだよ?」


「いえ、これはケジメですから、ケジメ」


 まあいいけどさ。


「ウォータはどう?」


「へっ!? ワタ、ワタシ、私ですかござますか!?」


「ちょっと大丈夫?」


「大丈夫ですわよ、大丈夫ですよ、大丈夫でございますよ」


 あかん。さっきからかいすぎたのか、キャラが定まらずに崩壊してる。


「落ち着いてウォータ。普通にしゃべってくれればいいから」


「そ、そうですか。なら……スー、ハー」


 落ち着くための深呼吸によって、大きな胸が上下にユサユサ……ムカッ。


 きゅっ

「はあああああんっ!」


「あら、失礼。でもこれで落ち着いたんじゃ?」


「お、落ち着くとか以前の問題じゃあああっ!」


 おお、前よりつっこみが激しくなった。


「たくっ……おほんっ! では私からの報告ですが、マグマ溜まりを覆うようにして広がっている地下水脈に異常があります」


「地下水脈に異常?」


「はい。まるでマグマが動き出すのを抑え込んでいるかのように、マグマ溜まり全体を取り囲んでいます」


 地下水がマグマ溜まりを取り囲む? そんなことがあり得るの?


「その結果として」


 ボボォン!

「うわっ!? ふ、噴火!?」


「あー、違います。そのマグマと水脈のせめぎ合いの影響で、あちこちから間欠泉が噴き出してるって言おうと」


 間欠泉か、ビックリした。


「更にその影響で、火口のすぐ近くに温泉が湧き出してるみたいで」


 温泉んんんっ!?


「サ、サーチお姉様、近い近い」

「温泉あるの温泉どこよ温泉出しやがれ温泉温泉温泉っっ!」

「あ、案内します、しますから! だからそんなにくっつくなああっ!」


 うふふ、温泉よ温泉。まさかラスボス手前で温泉に入れるなんて♪



 コポコポ……


「うはあっ♪ 理想的な露天風呂じゃないのよ!」


 どうやら噴石によってできた窪みに、流れ出たお湯が溜まったらしい。外気に触れて冷めたみたいで、普通に入れそうな湯温になっていた。


「うっしゃあ! まずは私から」

「サ、サーチお姉様!?」


 その場にビキニアーマーを脱ぎ捨て、一気にダイブ!


 ざぱああああん!

「あっつぅぅぅ……! だ、だけどいい気持ちだわ……!」


 それを見ていたナイアも、ローブに手をかける。


「月の魔女様まで!?」


「こうなったサーチを止められないのは、痛いほどわかってますわ。でしたら染まってしまった方がいっそ楽」

「いやいやいや、止めようよ! 止めるべきでしょ、そこ!?」


 うーん、ウォータはどうやらつっこみ役に向いてるかも。


「……リーフも入ろ」

「リーフまで!?」

「毒を食らわば皿まで、です」


 ナイアが湯船に浸かったころ、リーフも服を脱ぎ始める。うん、良きかな良きかな♪


「……なら私も」

「フレア!? 水が苦手なくせに!?」

「お風呂は別よ。冷たくないから」

「フレア、お湯でも火は消せるのよ!?」

「あーうるさいうるさい。私は温泉に入りたいんだから、ウォータは黙ってて」


 ついにフレア陥落。ここまでくると、残るはウォータとスカイだけ。


「ていうか、スカイは?」


 そういえば、偵察に行ったきりなような。


「私なら~、後ろに居ますよ~」

「うわビックリした! ていうか、いつの間に背後に!?」

「空からゆ~っくり降りてきました~」


 こ、この私がバックを取られるなんて……!


「スカイ、火口はどうでしたの?」


「だ~れも居ませんでした~」


 誰も……いない?


「……オニコ……ツィツァ……」

「……大丈夫ですわよ、あの二人ですから」

「そーね♪ 今はそれより温泉だー♪」

「サーチ!? 軽いですわね!?」


 何よー、心配いらないって言ったのナイアでしょー。


「ていうか、スカイも入りなさいよ」

「極楽です~」

「ていうか、もう入ってるし!」


 さーて、残るは~。


「ウォータ!」

「へ!?」

「あんたも入りなさい! お姉様命令よ!」

「わ、わかりました、わかりましたよ。入りますよ、入るわよっ!」


 ババババッ


 おー、腹を括ったウォータはサバサバしてて気持ちいいね。


「はいっ」

 ざぱああああん!

「はふぅ……血管を通して身体中に染み渡りますぅ~」


 そうだろそうだろ、ビバ温泉、アディオス温泉!


「……ん?」


「ん~? ウォータ、どうかした?」


「あ、いえ、この温泉、何か同族の気配を感じまして」


 同族の気配?


「……ちょっと調べてきます」


 ぢゃぶんっ


 そう言ってウォータは湯船内に潜ってしまった。


「……同族って……水の一族よね」

「ですね」

「どういうこと?」

「リーフにはわかりかねます」


 ゴボゴボゴボゴボ…………ザバアアアアン!

「っっっぎゃあああああああっ!!」


 するとウォータが悲鳴を上げながら、湯船から飛び出した。


「ウォータ?」


「信じらんない! サイテー! チカンよチカンよゴーカンマ!」


「あ、あの、ウォータ?」


「サーチお姉様、皆、早く出て! この温泉、水の長老様が同化してます!」


「「「「……へ?」」」」

「あら~」


「つまり、温泉に浸かってる時点で、水の長老様に触られてるようなもんです!」


「「「「「っっっぎゃあああああああっ!」」」」」



 その後、お湯に向かって集中砲火が浴びせられたのは、言うまでもない。

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