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第二十二撃っ! ニュータッグ!

 露天風呂で戯れる日々が過ぎ、ついに。


「あ、男達よ!」

「狩りから帰ってきたわ!」


「あー、やっとかあ」


 狩りで遠出していた村の男衆がようやく帰ってきたのだ。

 つまり、一緒に行っていたイロハ達が帰ってきた、ということだ。


「さてさて……これからどうするか、だね」


 脱ぎ散らかしていたビキニアーマーを装着し、部屋を出る。


「ていうか、あんた達も来なさいよ?」


「く、首が……」

「こ、腰が……」


 あれからプロレス技にはハマったフレアとウォータは、ことあるごとに私の隙を狙ってきてるけど。


「き、昨日のSTFが……」

「き、昨日のスコーピオンデスロックが……」


 ことごとく返り討ちに遭い、ギブアップしていた。


「サーチお姉様、一つ聞きたいです」


「ん?」


「昨日サーチお姉様はスコーピオンデスロックを、シャープシューターって言ってました」


 ああ、そうだったっけ。


「ですが一昨日は、サソリ固め言ってました」


 全く意識してなかったわ。


「同じ技と思えます。違いは何?」


「えーっとね…………実は同じ技なのよ」


 サソリ固めを英語に訳したのがスコーピオンデスロック、シャープシューターは別のレスラーが使ってた際に名前を変えただけ。


「? 何で同じ技なのに、名前変えるです?」


「まあ…………いろいろあるのよ」


 昔、アサシン仲間から「何でただの蹴りが、フィニッシュホールドになるんだい?」って聞かれたけど、それに匹敵するくらい難しい質問だわ。


「ん~……理解不能」


 それがわかるようになったら、プロレスに魅せられた証拠だよ。



 脱線したものの、ホープを伴って男衆の迎えの団体に加わる。


「はろはろー♪」


「え……あ、あんな娘居たっけ?」

「いや、知らねえ」


 突然の美少女登場に、男衆が色めき立つ。


「うっわ、初めて見たよ、生ビキニアーマー!」

「本当に居るんだな、物好きって」


 物好き言うな!


「ていうか、ヤローどもはどうでもいいのよ、どうでも!」


「ど、どうでもいい……だと?」

「厳しい遠方狩りの出迎えがこれ……だと?」


 何故か片膝を着いていく男衆……じゃなくヤローどもを無視し、後ろで姿を隠してる長い髪を見つける。


「いた、イロハでしょ!」

 ぐいっ

「いだだだだだだっ!」


 って、あれ? 妙に声が太いような?


「あれ、ヴァルちゃん?」


「え…………イロハ?」


 私が引っ張ってる長髪の反対側にいるイロハ。ならこれは?


「イダイイダイイダイ! きゅ、急に何をするんだ!」


 ありゃ。単に髪が長いヤローでしたか。これまた失礼しました。



「ヴァルちゃん、ホーちゃん、お久しぶりです!」


 イロハはあれだけ振り撒いていた殺気をカケラも見せず、私に笑顔を向けた。


「リアルに憑きモノが落ちたみたいね」


「あ、はい。ご迷惑をおかけしました」


「人間に対する殺意はなくなったの?」


「完全に、という訳ではありません。多分目の前に人間が居たら【自主規制】して【うわっ】して【ぐちゃ】しちゃうかも」


 あ、あははは……イロハさん、立派に殺人鬼キャラ確立です。


「でも母とそのギャラリーを【きるきるべいべー】したから、少しは解消されたかもしれません」


 殺っちゃったの!?


「これで教団は実質壊滅……愚かな人間共を精霊族にけしかけた罪は重い……」


 あんたの発言の方が三倍は重いわよ!


「それはさておき、ホーちゃん久し振りー!」

「んうー、久し振りー!」


 いきなりキャラ変わりすぎだし!


「ていうか、ナイアは?」


「月ちゃんですか? だったら……」


 私の後ろを指差す。


 きゅっ

「はあああああんっ!」


 し、しまった、いつの間にか背後を取られた!


「はあっ!」

 がしぃ!

「うりゃあああ! サーチ・スタナー!」

 ごすぅん!

「へぶぅ!」


 そのまま何回転かして、地面に倒れ……って、しまった!


「ナイア、ごめん! 大丈夫!?」


「サ、サーチ、ナイスなスタナーですわ……」


 あんたも岩様並みのやられっぷりで。


「ていうか、取り憑いてたんじゃなかったの?」


「あれだけ穏やかになったんですから、もう不要ですわ」


 ま、確かにね。


「ていうか……ホントにお疲れ様。大変な役を押しつけてごめんね」

「大丈夫ですわ、サーチの苦労を思えば」


 笑い合う私達は、久しぶりにハグし合った。うん、いい感触。



「再会を祝って……カンパーイ!」

「「「カンパーイ!」」」


 夜。私とナイアとイロハとホープとで、再会を祝してお鍋パーティとなった。

 え、フレアとウォータ? まだ痛い痛いって寝てるよ。


「まず聞きたかったんですけど……オニコさんやツィツァさんは?」


「あー……会わない方がいいわ」


「ま、まだ恨んでますよね……そうですよね……」


 片手ぶった斬られて顔に傷残されたんだから、そりゃ恨むでしょうよ。


「私……やっぱり精霊族の皆さんに合流する訳にはいきませんね……」


 それは……そうかも。一応人間なわけだし。


「……ヴァルちゃん、私はここに残ります」


「……そうね」


 実際、これだけのことをしてしまった以上、この村に残るのが最善だろう。


「……イロちゃん、残るの?」


「あ、うん。ごめんね、ホーちゃん」


 寂しそうにうなだれる二人。


「ていうかさ、ホープも残ったら?」


「「へ?」」


「親友なんでしょ? だったら一緒にいてもいいんじゃない?」


「え……そ、そりゃ、ホーちゃんと一緒なら……」

「ん、んう、だけど旅の途中で……」


 ん~……なら言い方を変えよう。


「イロハ、あんたはまだ療養が必要だから村にいなさい!」

「え?」

「ホープ、あんたは監視要員として村にいなさい!」

「んう?」

「これはパーティリーダーとしての決定! いいわね!?」

「「あ、は、はい!」」


 うん、これでよし。


「サーチ」


「ん?」


「ワタクシは……どうすれば?」


「あんたはイロハの監視役をホープと交代。また私達のパーティに復帰しなさい!」


「わ、わかりましたわ! また一緒に旅ができますわね!」



 こうして。

 ホープがパーティを離脱し。

 ナイアが復帰することになった。

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