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第二十一撃っ! フォールアウト!

 ザバアアアン!


「たはーっ! やっぱ温泉サイコー! ビバッ、温泉!」


「ビーバー温泉?」


「ビーバーじゃなくてビバ。ていうか、この世界にもビーバーいるの!?」


「んう、いる。ダム作る系モンスターでは最強」


 ダム作る系で括れるくらいダム作るモンスターいるの!?


「ホープ、私はダム作る系なんて初めて聞いたよ」

「私も」


「んう、創作」


「作り話かよ!」

 ミシミシメキメキッ

「ごめんなさいギブギブギブギブギブゥ!」


 思わずコブラツイストで締めあげてしまう。そのままグラウンド式に移行し、ホープは湯船に沈んでいった。



 一時間ほど前、女将さんから粋なプレゼントがあった。


「え、いいんですか!!」


「はい。塩と砂糖が当分タダで手に入るのですから、これくらいは安いモノです」


 イロハが帰ってくるまでの間の宿泊代がタダになったのだ。


「ありがとうございます!」


「いえいえ、こちらこそありがとうございます、ですよ。あの行商人の顔を見なくてもいいだけでも超ラッキーですし」


 その行商人は今ごろ、谷底の川で魚のエサになってます。


「それじゃ、温泉と食事代も……」

「あ、それは別。あくまで宿泊代のみですから」


 しっかりしてるな、マジで。



 話の流れで露天風呂に行くことになった私達。部屋風呂があるにも関わらず有料の露天風呂を堪能しているのは贅沢でしょうか。


 ブクブク……


 湯船でグランドコブラツイストを味わったホープは、そのまま沈んでるけど放置。


「サ、サーチお姉様、今の技……」


「ん?」


「私にも掛けて下さいませんか!?」


 へ!?


「お姉様の双丘が背中に当たって、まるで夢心地のような体勢です!」


 そこかよ!


「ほら、あまりの心地良さにホープは失神してしまいました!」


 グラウンドコブラツイストで締め落とされたんだよ。


「ですから、さあ! 私にも、さあ!」


 そう?


「なら……同じ技だと味気ないから……」


 背後に回り、腰周りを両手で……いや、今回は羽交い締めで。


「んはっ! この感触最高!」


 鼻息荒いフレアが気持ち悪いけど、ご期待に沿わないとね。


「それじゃあお望み通りに昇天しなさい! 投げっ放しドラゴンスープレックス!」

「はぅあああああっ!」

 ばしゃごげええええん!


 ウットリした表情のままフレアは、湯船の底に頭を突き刺さってスケキヨった。


「あらまあ、はしたない」


「ウォータ、あんたはどうする?」


「私は遠慮します。痛いのや苦しいのは嫌いですので」


「それが普通。この二人が異常なの」


 そう言いつつ沈んだままのホープを引き揚げる。


 ざばぁ

「ぼへぁ……こひゅー、こひゅー」


 おう、虫の息。


「こりゃマズいわね……人工呼吸しないと」


「えっ」


「ほら、ホープ……ふーっ、ふーっ」


「…………」


「ふーっ、ふーっ、ふーっ」


「…………っ」


「ふーっ、ふーっ」

「ぶほっ! げほげほげほっ!」


 よし、息を吹き返した。


「やれやれ」


「あ、あの、サーチお姉様!」


「ん?」


「や、やっぱり私もっ」


「んん?」


「私も掛けてほしいですっ」


「何を?」


「技をっ」


 はあ?



「こんなん?」

 ギリギリギリギリッ

「違う違うこんなんじゃないいぃ」


 ドラゴンスリーパーを掛けてやったら、早々にギブアップしてきた。


「何よ、ちゃんと技掛けてあげてたでしょ」


「だから違うぅ」


 エビ反りしながら私の胸をパンパン叩く。


「ちょっと、何でタップするのが胸なのよ」


「いや、触ってみたくて」


 ……あんた最近、フレアに染まってきたわね。


「まあいいわ。あんたが希望するような技をかけてあげる」


「そうですか!? なら背後から密着するような技を」


 背後から密着? 変なことにこだわるわね。


「ならコブラクラッチかな」


 がしっ


「うぐふっ……い、いい感触です」


 いい感触!? これが!?


「あんた、変な趣味があるんじゃないわよね?」


「そんな事はありませんよ。さあ、締め上げて落として下さいませ!」


 締め上げて落としてって……まさか窒息すると興奮するタイプ?


「危ない方向にイっちゃってるわね……えい」

 きゅっ

「うごふっ」

「ほい」

 ぎゅっ

「げぶぅ……待って待って」

 パンパンパン


 何よ、やれって言ったかと思えばタップしてきて。


「も、もうちょっと苦しくないように」


「はああ?」


「と、とにかく、楽に落として下さい」


 楽に落としてって……難しいこと言うわね。


「なら、この方がいいわ」


 前に回り、首に手を絡める。


「え……サーチお姉様?」


 目をトロンとさせたウォータをハグする……。


 がしっ


 直前で首相撲に移行。


「え゛」


 ズドムッドムッドムッドムッドムッドムッドムッドムッ

「うぐぅげふっごふっごふっうげうげえええっ!?」



 三十発辺りで。


「あ、落ちた落ちた。まさかこんなに粘るとは」


 もう少し早く落ちると思ったんだけど……これなら首を攻めた方が早かったかな。


「まあいいや。落ちたのには変わらないし……ていうか、フレアもヤバいか」


 ずぼっ


 湯船に刺さったままだったフレアを引き抜く。


「こひゅー、こひゅー」


 あかん、これも虫の息だ。


「また人工呼吸ね……ふーっ、ふーっ、ふーっ」

「…………」

「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ」

「…………」

「ふーっ、ふーっ」

 がしっ

「むぐっ!?」

「んふ、んふふっ」

「むぐーっ! うーっ! むーっ!」

「んふふふっ」

「むーっ! むぐぐぐ……ぶはあっ! な、何すんのよおおおっ!」

 ごすっ!

「はびゃあっ」


 はあ、はあ……た、たく、舌を入れてきやがって。


「サーチお姉様、大胆」


「違うわっ。あんたが虫の息だったから、人工呼吸してたんだよっ」


「なーんだ、そういう事か」


 そういうことでもない限り、そんなことはしないわよ。


「あの、サーチお姉様、何でウォータまで気絶してるんですか?」


「ああ、それはね。急に気絶させてくれって言ってきてさ」


「気絶……ああ、成程」


「あんたは何でかわかるの?」


「ウォータはね、虫の息になりたかったんですよ」


 はい?

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