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第十六撃っ! ストーンブリッジ!

 リーフの協力もあって、どうにか村の位置も目星がついた。


「ありがとー、リーフ! いや~助かっちゃったわ」


『あはははは……サーチお姉様のお役に立てたのでしたら、これ以上の幸せはありませんわ』


 うっわリーフ怒ってる。めっちゃ怒ってる。


「あ、あはは……な、何かお礼がしたいんですけど……何かお土産でご希望ありますか?」


『お土産ですか……だったら』


 リーフは私に変わったモノの採集を頼んでくる。


「へ? そ、そんなんでいいの?」


『はい。できるだけ多く』


「えっと、数優先? 種類優先?」


『どっちも……ですね』


「ふーん……まあいいけど」


『いいんですか? できる限りお願いしたいのですが』


「大丈夫よ、そこまで難しいことじゃないし」



 ……今から思えばいささか安請け合いだった気もするけど……まあ時間をかければそれなりに集まるでしょ。



 で、再び村の探索開始。だいたいの場所がわかったのはよかったんだけど。


「……この崖を越えた先ね……」

「「「……崖……」」」


 僻地どころじゃない。命がいくつあっても足らないような場所だった。


「こ……この崖、どうやって越えます?」


「そうねえ……普通に考えたら、この崖を下りて向こう側をよじ登る……かな


「「「よ、よじ登る……」」」


 全員で谷底を覗き込む。うっわ、底が見えない。


「む、無理ですよぅ」

「お、下りたとしても、登れないわよね……」

「んう、絶対に無理」


 まあ私だったら登れなくはないかな…………体力が続けば。


「は、橋は無いですかね?」


「ただでさえ人が来ることを拒否ってるような村が、こんな天然の防壁を活かさないと思う?」


「う……」


 村の人達がこっちに来る用事があるなら別だけど…………って、ちょい待ち。


「確か、その村と取引してる行商人がいるって言ってたな」


「行商人が?」


「ええ。だったら行商人が村に行く手段があるはず……」


「……サーチお姉様、そんな方がいらっしゃるのなら、いくらかお金を払ってでも案内してもらった方が早かったのでは?」


 ぎくっ。


「そ、それは考えなくもなかったんだけど、村の人達があまり歓迎しなさそうだから」


「そうですかぁ? 私達全員混ざりもんなんですから、邪険にされる事は無いと思いますです」


「ホープ、自分を混ざりもんだなんて卑下しないの」


「ん、んう」


「混血には混血のいいとこがあるのよ。他の連中に劣ってるとか考えるくらいなら、そこを伸ばしなさい」


「…………んう」


 この様子だとホープも、周りから「混ざりもん」としてイジメられてたか……。


「……んう、なら私ができる事をする」


 そう言うとホープは、石を拾ってヒモの先に括りつける。


「……んう、行きます」


 ひゅん ひゅん ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん!


 それを振り回して、最高速になったと同時に。


 ぶぅん!


 投げる。


 ひゅー……かこん


 向こう岸に届いたロープは、ピンとできるくらいしっかりしている。


「……んう」


「これを渡れっての?」


「まだ。もう少し待って」


 今度はもう少し大きい石を手に取り。


 ぽこっ


 真ん中に穴を空ける。それをロープに通す。


「んう、んう」


 それを繰り返し、やがて数珠状に繋がった石が向こう岸とこちらを繋ぐ。


「んう、ここからが見せ場」


 ぶううん……がちん! がちがちがち!


 繋がった石に精霊力を流し、一つの岩に繋げていく。


「広がれ」


 びきききき……!


 一本に繋がった岩のロープは、横に広がりながら厚みを増していく。


 びきききき……がこん


「……んう、うまくいった」


「す、凄い……たった一本のロープから、石橋を作り出すなんて……」


 ウォータが驚くのもムリはない。ホープは絶対に不可能だと言えることをやってのけたのだから。


「マジでスゴいわ、ホープ! あんた純粋な鉱物族よりよっぽどスゴいことをやったのよ!」

「そうですよ。ホープ、貴女は十分に誇れる事を成し遂げたんです」


「そ、そう? うひひ……」


 その笑い方は止めなさい。可愛いのにおもいっきりマイナスでしかないから。


「それじゃ渡りましょうか。一応私から行くわ」


 斥候の私が一番最初に行って、橋の安全性を確かめる。別にホープを疑うわけじゃないんだけど、石橋だけに叩いて渡らねば。


「ほいっ」


 とんっ

 ビシィ!


「……へ?」


 ビシビシ……パラパラ……


 い、一歩目から……ひび割れしたんすけど……。


「あ、体重制限が一桁違ってた」


 ひ、一桁って……。


「5㎏だった」


 たった5㎏!? ていうか一桁違う50㎏でも超危険だっての!


「い、一旦戻ろ」

 ビシビシバリィ!

「うひぃ!」


 わ、割れた! 完全に割れた!


「うっひうっひうっひうっひうっひうひぃ!」

 バリィ! バキィ! メキィ! ズズン!


 あ、あれだぁ。沈む前に一歩進み、さらに沈む前に一歩進む。忍者のあれだよ!


「あひゃいひゃいひゃいひゃいひゃいひゃい!」

 バリバキメキビキメリズシバキャ!


「サ、サーチお姉様?」

「足元が赤く光って……?」


「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあたたたたたたたっ!」

 メキメキメキメキスタタタタタタタタタ!


「ほわったぁああ!」

 すたぁぁん!


 ズズズ……メキメキメキメキ……

 ゴゴォン! ガラガラガラ……


「は、はあ、はあ、ぶ、無事に渡れた……」


 香港のアクションスター並みのスタントだったわ……。


「サーチお姉様、凄いですー!」

「素敵ですわー!」

「んうー!」


「あはは、どうもどうも……」


「それよりサーチお姉様」

「その鉄のブーツから、赤い光が出てましたけどー」

「なんです、それー?」


 ……あ。


「そうだった。このブーツ、スラスター着いてるんだった……」


 空……少しくらいなら飛べるんだったわ。

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