第十五戦。ていうか、灼GC。
ピィィィィィッ!
「あっちへ逃げたぞ!」
「探せ!」
「探せ!」
「逃がすなぁ!」
はあ……はあ……ひ、日に日に人間達の追跡がキビしくなってきてるわ。
「はあはあ……苦しい」
「はあはあ……辛い」
「はあはあ……厳しい」
「空を飛んでるなら、はあはあは無い~♪」
スカイ、空気読め。
「ていうか、どうしてこんなに簡単に見つかっちゃうのよ」
私の一人言に、全員が「驚愕っ!」という表情を浮かべる。
「……何よ」
「……ビキニアーマーが原因に決まってるじゃありませんか」
「……サーチお姉様の頭のお面が原因に決まってるじゃありませんか」
「……結局のところ、サーチお姉様が目立ちまくってるのが原因に決まってるじゃありませんか」
「ううううっさい! ビキニアーマーは私のアイデンティティなんだし、モノズキ面はどうしようもできないのよ!」
「サーチお姉様、アイデンティティはわかりますた。なら、目立たないようにしてほしいです」
「べ、別に目立つようなマネは……」
「先日、テントを脱け出して温泉に行き、素っ裸で駆け戻ったのは誰だった?」
うっ。
「その二日後、私達の監視の隙を突いて再び脱け出し、またまた素っ裸になって駆け戻ったのは誰だった?」
ううっ。
「一体何をしていたのですか?」
「妙に身体が上気していたような?」
「何故に首筋にたくさん絆創膏を?」
ううううっさい!
「それはですね~、男+サーチお姉様+おとぐはああっ!」
あんたは黙ってろっての!
「「「「ま、まさか……」」」」
ほらああっ! みんなドン引きしちゃったじゃないの!
「今回はヤってないわよ、今回は!」
「今回は……?」
「では、過去には……?」
「はいはいはい、この話はお仕舞い! つまり私が目立たないようにすればいいわけね!」
「「「「その通り」」」」
く……わ、わかったわよ!
「つまり~、サーチお姉様はビッぐふぁい!?」
話を蒸し返すな!
「これでどうよ?」
ビキニアーマーをとりあえず脱ぎ、モノズキ面を極力隠すような装いにする。
「……却下ですね」
「……却下に同意します」
「……はい、却下です」
何でだよ!
「サーチお姉様、せっかくビキニアーマーを着てなくても、それだけ露出が激しければ目立つます」
うっ!
「せめて胸の谷間は隠さないと」
ううっ!
「せめてお腹……ヘソは隠さないと」
うううっ!
「せめて太ももは隠さないと」
ううううっ!
「せめて~、パンツは隠さないおごっふぉ!?」
パンツ見せて歩くほど痴女じゃないわよ!
「だったらどういう格好だったらいいのよ!」
「……そうですね……」
「というわけで~、第一回灼熱大陸ガールズコレクション~!」
待て。何でいきなりそうなった。
「コンセプトは~『サーチお姉様に着せてみたい、私達のファッション』で~す!」
スカイ。何であんたはそんなにノリノリなのよ。
「まずはフレアの入場で~す!」
木の陰からフレアが颯爽と登場。
「頭にはウサ耳リボン、そして炎を思わせる赤いローブ。全身をスッポリと覆いながらも、女の子の可愛さを逃がさない秀逸なデザイン!」
クルリと回ってウインク。ていうか、フレアもノリノリだな。
「お次はウォータが登場! フレアとは色違いながらもお揃いのウサ耳リボン、そしてパンツスタイルの青ローブ。肘と膝までは出しつつも、いやらしさを感じさせない元気印スターイル!」
赤いロングのフレア、青いショートカットのウォータ。どこかのプリなキュアを思わせる。
「さてさて、続いては……頭にたくさんのお花が咲いたリーフの入場だ!」
とある何かの超何とかに似たのがいたわね。
「葉っぱをあしらったデザインのローブに、背中まで伸びた茶髪がうまくコントラストを生み出しているぞ!」
髪の毛が木の枝にしか見えないデザイン。
「ロングスカートをたなびかせて華麗にステップ!」
足にまとわりつきそうだな……特に冬。
「そして、鉱物族のホープの登場だ! 本人は気付いてないが、意外と人気があるんだぞ!」
それは同意。ていうか、スカイのしゃべり方が変。
「普段はゴツゴツとした甲冑ファッションなホープだがぁ、本日は春の散歩スタイルに大胆チェンジィ!」
ていうか、鎧脱いだだけじゃん!
「そして最後は…………私こと、風の一族人気No.1のスカイだぁ!」
自分で人気No.1言うな!
「このヒラヒラ感、風に乗ると華麗で美麗。私のスレンダースタイルを際立たせます♪」
だから、ひたすら自画自賛するな!
「以上、灼熱大陸ガールズコレクション、略して灼GCでした!」
灼はSでいいじゃんかよ!
「というわけで~、サーチお姉様~」
いきなり素に戻るなああっ!
「どの格好がお好みですか~?」
「ていうか、あんた達の普段の格好を紹介しただけじゃないの!」
「「「「「サーチお姉様とお揃い希望」」」」」
ペアルックなんて絶っ対にお断りですっ!
「……最初からこうすればよかったですね~」
結論、スカイが私の姿を隠す。これで解決かな。
「ま、視線を感じないのは残念だけど、しばらくは目立てないなら仕方ないわよね」
「サーチお姉様、視線を感じたい?」
「そりゃあ……せっかく磨き上げたナイスバディなんだし」
「……見られたいんですね……」
「……見られたいんだ……」
「そ、そりゃあ、まあ」
「やっぱり~、サーチお姉様は露出きょげふぁい!?」
だからあんたは黙ってろっての!
「……でもおかしい。私達、見られてる」
「……本当ですね」
「……おかしいですね」
「……おかしいです」
そりゃあね、あんた達も十分目立つ格好だしね。
「居たぞ、カラフルな連中だぁ!」
「カラフル?」
「もしかしたら、私達?」
そりゃあ、赤、青、緑で全身統一されてるのが一緒にいれば、目立つに決まってるわな。
「スカイ、全員隠さないとダメね」
「みたいですね~」
ま、とりあえず、逃げましょか。