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第七話 ていうか、揺れて不能に。

 ……。

 ……。

 ……んん……。


 ぎゅ……。


 ん? ……うん?


「あぅ……」


 ……?

 な……なに……?

 何か……巻きついてきてる……?

 う〜……気持ちいい感触というか……締め付けがきついというか……。


 ぎゅむっ


 痛い! 何!? 人の胸、思いっきり掴みやがって!

 痛い痛い! こ、このやろ! 掴み返してやる!


 むぎゅっ


「んきゃああああああ!!」


 どかっ!


「痛!? ちょっとあ、暴れるなー!!」


 どすん! バタン!


「痛ーい、痛痛痛痛痛い、参った参ったー!」



「……ふう」


 半泣きで極められてた足を擦るエイミアを眺めながらため息。もう少しゆっくりしたかったのに……。


「ご迷惑をおかけします……」


「エイミア……なんで自分のベッドからわざわざ私のベッドへ潜り込んできたの?」


 小さくなりながら俯くエイミア。


「私……枕とかシーツに抱きついて寝る癖がありまして……たぶん寝惚けて……」


 なるほどねー、この世界って抱き枕ないのね……。


「サーチ、でもこれは痛すぎます!」


 アキレス腱固めを極められてた足を私に示すエイミア。


「あのね〜……」


 インナーを捲りあげて、真っ赤に手形がついた胸を見せる。


「それは私のセリフ!」


 エイミアは顔を真っ赤にして。


「……すいません」


 謝った。



 身仕度を整えて革の鎧を着け終えた頃にエイミアが着替えを始めた。下着を替えているのをチラ見すると。


「……大きいわね」


 思わず呟く。同い年なのに、何故ここまで差があるのか……。


「サーチも充分だと思うけほへは!? いひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!?」


「あんたに言われたくないわ! 嫌みかコラ!?」


「ほへんははい! いひゃい! いひゃい! いひゃいいい!」


 ほぼ八つ当たりでエイミアの頬っぺたを引っ張った。


「早く準備しなさいよっ」


 そう言つ自分のステータスを開いた。相変わらずの『素早さ』と最近伸び始めた『体力』がいい感じだ。

 普通の重装戦士なら高いはずの『力』と『頑丈さ』は全然伸ばしていない。でも『素早さ』を維持するために……ん? 背後に気配が。


 きゅっ


「はああああああんっ!」


「サーチって結構艶っぽい声だすんですね」


「な、な、何をするんじゃああああああ!! いきなり先っぽ(・・・)を摘まむなああああ!!」


 思わず≪偽物≫(イミテーション)を使ってハンマーを作り出し。


 ゴガイインンッ!


「いったああああああい!」


 容赦なくハンマーを振り下ろした。



 結局また遅刻した。気づいた時にはもう午前の授業は終わっていた。


「お前ら……」


「今回は本当にすいません……」

「今回は悪ふざけがすぎました……」


「こ・ん・か・いだけかあ!!」


 ごいん! ごいん!


 いったーい!


「うう〜……踏んだり蹴ったりです……」


 またギルマスに拳骨を落とされた。エイミアは私のを合わせたら二度目だ。頭には雪だるま式にたんこぶが増えていく。

 そして周りの萌えも増えていく。

 そしてギルマスへの白い目も増えていく。ざまあ。


「……そう言えばエイミアってスキルクラスじゃなかったっけ?」


「そうなんですけど、流れで……」


「……仕方あるまい。今日はここで授業を受けるんだな」


「……はい……」



 しかし、このギルマスの判断が更なる悲劇を呼ぶことになる。



「戦士に必要なのは、何より体力だ! まずは走り込みだ!」


 走り込みか。『体力』を増やせそうね。


「よし、始め!」


 ダダダ……


 は、は、は、ふぅ。

 ……あれ? 何か、男性陣がだんだん遅れだしてる……?


「ていうか、全員前屈みだし……?」

 

「はあ、はあ、はあ」


 ゆっさゆっさ


「はあ、はあ、はあ」


 ゆっさゆっさ


 ……。


「エイミア、走るのやめなさい」



「せ、戦士には持久力も必要だがな、剣の基礎も重要だ!」


 ギルマス、あんたまで前屈みになるな。


「お前ら、素振り百回だ!」


 あー……。

 これは同じ轍を踏むわね……。


「やあ! やあ!」


 ゆっさゆっさ


「やあ! やあ!」


 ゆっさゆっさ


「エイミア、やめなさい」



「いいか、戦士はやっぱり実戦だ! まずは俺がエイミアと実戦形式の訓練を」

 

「おい変態ハゲじじぃ」


「な、何だ?」


「何で、エイミアを指名したのかしら?」


 変態ギルマスの目が泳ぐ。やっぱり下心ありありだったのね。


「いいわ、私が相手になる」


 そう私が言った瞬間、落胆と歓喜が入り混じった声が起こった。


「何よ、不満でもあるの? だったら代わってあげ」

「「「どうぞどうぞ」」」


 ……まあいいけど。


「よ、良かろう! どこからでもかかってきなさ」

「ではさっそく」


 アノところへ、真空飛び膝閃光魔術!


 ごげんっ!

「ぐひゃああああああああ!!」


 クリーンヒット!


「連続で、サッカーボールキック! キック!」

 ドボォ! ズドォ!

「あぎゃぴいいいいいいいいいい!」

「不能にしてやる! この! この!」



 結局訓練時間が終わるまで、誰一人として私を止めなかった。


「サーチ、そろそろご飯に行きませんか?」


 エイミアすらも。

お色気回では…ないか。

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