表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/1883

第四話 ていうか、様子がおかしい港町。

『入国審査はパスしましたよ』


「ありがとうニーナさん……」


 どうやってパスしたのかは非常に気になるけど……。


『秘密です』


 いや、めっちゃ気になるけど……。


『聞きたいですか?』


 え……。


『聞きたいですか?』


 えっと……。


『サーチの格好やエイミアの一部分(・・・)がとても重要でした。先を聞きたいですか?』


 いやちょっと待てよ、何したんだ、何やらかしたんだよ、あんた!


『……秘密です』


 うっがああああ! めっちゃ気になるぅぅぅ!!


「どうしたんですかサーチ?」


 するとエイミアが私に絡みついてきた。ニーナさんが言っていた一部分(・・・)が背中にあたる。


「………………」


「……サーチ?」


「秘密です」


 ……結局冒頭のニーナさんと似た対応をすることになった……。



 港に降り立つと同時に。


「じゃあね、ニーナさん。ホントにありがとう」


 ……ニーナさんとお別れとなる。


『いえ。私もあなた方に無理難題を押し付けてしまった責任がありますから』


「そんな事ないです! 私もリジーも、ニーナさんの訓練のおかげで新スキルが形になってきたんです」


「そうだぜニーナさん。最高の船旅だったよ」


 リルは全行程、船室の屋根で日向ぼっこしてただけじゃない!


『そうですか? そう言っていただければ幸いです』

 

「ニーナさんはアタシーに戻るの?」


『はい。分身を置いてきてはいますが……やはりアタシーが私の母港(わがや)ですから』


 ……そっか。


「また新大陸から出るときは連絡するから、お願いしていい?」


『もちろんです。いつでも駆けつけます』


「わかったわ……じゃあね、ニーナさん。また今度」


 さよならは言いません。言うと泣くから……約一名。


「さ、ざよう゛な゛らー!! びえ〜……」


 言わなくても泣くんかい! だったら言いますよ!


「じゃねー、ニーナさん! バイバーイ!」


「「『ばいばい?』」」


 ……しまった。めんどくさいことになっちゃった……。



「古代語」の解説をメモるリルを横目に、新大陸最初の港町を歩く。人種や言語には大きな差は感じないけど……何か元気がない。


「ねえリル、妙な違和感ない?」


「ちょっと待てよ……サヨナラの軽い言い回し……」


 いつまでメモってんのよ!


「悪い悪い……元気がないっていうか何ていうか……うーんとな……匂いが変だな」


「はあ? 匂い?」


「うーん……」


 リルは頭をガシガシ掻いて悩んでいる。


「……生活感があまり感じられませんね」


 エイミアの一言でリルが閃いた……らしい。


「そうだ、それだ! 食い物の匂いが単調なんだよ!」


「……意味がわからないんだけど……」


「工夫がねえっつーか……どこの屋台も特徴がないっつーか……」


 そこまで言われてハッとした。


「……市民生活に対する締め付け?」


「そうだな。税金がバカ高いのか、上からの押さえつけなのか……」


 何か……おかしいわね。


「……ギルドを探してみましょうか……」


 そこで情報を集めてみよう。そう考えて歩き出した。



「……ない!」


 一時間ほど歩き回ったけど。


「何でこの町には、ギルドがないのよ!」


「旧大陸には普通にギルドがあるのに……」


 エイミアがボヤいた。

 あ、旧大陸ってのは私達が元々いた大陸ね。


「……ちょっとニーナさんに聞いてみようか……」


 そう言って私は念話水晶を取り出した。



『……そうです、その道を真っ直ぐ』


 ニーナさんに問い合わせたところ、道案内をしてくれることになった。何故船であるニーナさんが陸地の道を把握してるのか……謎が増えていく。


『ここですよ』


「「「………………」」」


「……ここキライ」


 リジーがイヤそうな顔をする。

 そう、ここは。


『新大陸ではギルドの業務は、警備隊が兼任しています……何度も(・・・)お伝えしましたが……』


 へ?


「……私は聞いてないわよ」

「……知らねえな」

「知らない」

「………………てへっ」


 エイミア……。


「ニーナさん……伝えた相手は……」


『エイミアですよ』


「エーイーミーアー……」


「ごめんなさいごめんなさい忘れてたんです〜……いぎやあああああああああっ!」


「忘れてた〜で済むか! 毎度毎度あんたって子はあああ!!!」


 みしみしみし


「いだいいだいいだいごめんなさいうみゃ〜〜〜〜〜!!!」


「おいサーチ! 道の真ん中でやることか!」


 ……あ。


 ぐきっ


「はうあっ!! ……がくっ」


「エイミア姉……ちーん」


「うう……死んでません……」


 ……さすがにサソリ固めはやり過ぎたか。


「バカか、サーチは! 警備隊の前でこんな騒ぎ起こせば……」


 バタバタバタッ


「何事だ!」

「いったい何の騒ぎだ!」


「ほ〜ら〜……ワラワラとめんどくさいのが出てきたじゃねえか……」


 ご、ごめんなさい……。



 警備隊の詰所に連行もとい案内されて中に入る。ちなみに腰を痛めたエイミアは、リジーにおんぶされている。


「で? 貴様らは何をしたかったんだ?」


「ええっと……」


 どうやって説明すればいいのよっ!?


「……格好からして見世物か?」


「格好……?」

「見世物……?」


「お前のような露出過多(・・・・)な女と、巨乳女との取っ組み合いなら客も集まるだろう」


 ……はあ?


「往来で見世物をするのには、許可がいるんだぞ? 知らなかったのか?」


 ああ……そういうことね。盛大に勘違いしてくれてるわけか。

 でも露出過多って……。


「許可無しでこういう事をしたんだ。全員捕縛だな」


 はあ!? いくらなんでも横暴でしょ!?

 すると私の肩をチョンチョンとリジーがつついた。


(全員ブッ飛ばす?)

(ちょっと待ちなさい)


 私だってブッ飛ばしたいんだけど……。


「まあ、お前達のサービス次第(・・・・・・)ではどうにでもできるが……」


 ……まさか……。


「あの巨乳女がいいな」

「へへ……こういう事があるから、この仕事は止められねえ……」


 ……やっぱりクズどもか。


(リジー、暴れてもいいわよ)

(わかった!)


 リジーが大鉈を振り上げようとしたとき。


「俺はあの猫耳。やっぱり小さい(・・・)方がいいな」


「「「あ」」」


 ……あいつ終わったわ。


「リジー、エイミア。避難(・・)


「「りょーかい」」


 リル、ほどほどにね(・・・・・・)



 どっかああああん!

 ずどおおおおおん!



「ハデに暴れてるわね〜」

「ねえ、サーチ……さすがに詰所で暴れるのは……」

「……マズいわね……」


 ……とりあえず……リルがスッキリしたら(・・・・・・・)逃げますか。



「あの……」


 ん?


「……ちょっといいですか?」


 ……はい?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ