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第十七話 ていうか、魔王様とのガールズトーク、千切る。

 何だかんだでソレイユの執務室を借りて一泊することになり、その時に私はソレイユと語らうこととなった。



 何故そうなったかと言うと、突然私以外に≪睡眠≫をかけてから、言い放ったのだ。


「サーチ。あなたこの世界に転生してきた人間(・・・・・・・・)ね?」


「……いつから気づいてたの?」


「だってさ、昼に言ってたじゃない……オンパレード(・・・・・・)って。こっちの世界じゃ聞いたことないしー」


 ぐゎ……しまった……。


「それ以外にもさ、アリがゾウに勝っちゃったっていう比喩とかね」


 ……何か変かな?


「あのね、こっちの世界にはゾウを噛み千切るアリ(・・・・・・・・・・)がいるのよ。普通なら知らないわけないじゃない」


 あ〜……アイアンアントとかアッシドアントなんていたわね……モンスターが。

 確かにモンスターなら、普通のゾウなんてエサよね……。


「ま、聞いたのは単なる好奇心だから気にしないで。過去にも存在したって聞いてたから」


 過去にも……そういえば……。


「マーシャンも言ってたなあ……」


「……マーシャン?」


「そ。エルフのサーシャ・マーシャ」


「なああんですっっってえええ!!?」


「うわびっくりした! いきなり何なのよ!!」


 なんかソレイユが戦闘態勢に入ってるんですけど……?


「サーシャ・マーシャ……! ハイエルフの女王がまだ生きてたなんて……!」


「…………何があったかは聞きませんけど……私達の仲間です…………」


「は!? 仲間? あの(・・)サーシャ・マーシャを仲間にしたの!?」


「はい」


「何にも起きなかった?」


 何にも起きないわけないじゃない。


「まー……その……いろいろと……」


「そうよね無事な訳無いわよね……今は?」


「ハクボーンにいるけど? えー……連絡をとりたい……とか?」


「そりゃあ言ってやりたいことは〝嘆きの山〟三つ分はあるわよ!」


 わかりにくい例えだな! こっちの世界の「東京ドーム○個分」ってヤツかな。


「会話はできるけどうおふっ!?」


 まさに「でんこうせっか」で食いついてきたソレイユ。気がついたら私の目の前にいた。


「会話できるの? どうやって? まさかサーシャ・マーシャがいるのかな? 出して出して出して! 今すぐ出して! え、いないの? ならどうやって会話するのかしら? もし会話できないのなら大変なことにひゃうっ!!」


 ……魔王様は脇腹が弱いのね。


「あ、あんたいい度胸ね……」


「魔王の弱点を発見しちゃったわ……」


「……言ったら千切る(・・・)わよー?」


 は、はいぃぃ!


「それよりも! どうやって会話するの!」


 ……試してみますか。



「えーっと……念を込めるんだったわよね……」


「念話水晶かー。これなら会話できるわねー」


 今は一生懸命に念を込めてる最中だ。ていうか、ソレイユが使えば早いんじゃない、と聞いたんだけど「サーシャ・マーシャの使うなんて、アタシには無理」とのこと。


「あ……なんか映像が出てきた……」


「お♪ 繋がったみたいね〜楽しみだわ♪ ふっふっふっ」


 ソレイユ……怖いよ……。


『誰じゃ、こんな夜中に!』


 あ、出た!


「マーシャンやっほー」


『ん? んん? サーチではないか! 久しぶりじゃのう…………何じゃ? サーチの背後に黒々とした気配が……』


「……あとはソレイユに代わるからごゆっくり〜……」


『ソレイユじゃと!? ワ、ワシは用事があっての』


「つ・れ・な・い・わ・ね……サーシャ・マーシャ?」


『ぎゃーー!! 正真正銘の魔王じゃー! サーチの念話水晶に何故、魔王がー!?』


「切ったら千切る(・・・)わよ……サーチ、しばらーく借・り・る・ね♪」


 ……拒否権はどうせないよね……。


「どうぞ」


『ぎゃーーぎゃーーぎゃーー……』


「文字通りぎゃーーぎゃーーうるさいよサーシャ・マーシャ。夜は長いから……ね♪」


 ぎいいいいい……バタン


 …………。

 マーシャン……魔王に何をしたのよ……。



 仕方ないので就寝していると。


「……サーチ……続きを始めるわよ……」


 ぐー。


「サーチ……起きてるのはわかってるんだからね」


 !……ぐー。


「バストが育つ聖術……」


 がばっ


「何の御用でございますか魔王様朝まで語らうとのことでしたらこのサーチが喜んでお付き合いいたしませうひょいっ」


「サーチも脇腹弱いのね♪」


 く……しまった。


「ひ、卑怯な!」


「こんな見え見えの手に引っ掛かるほうがどうかしてるわ!」


「最初に引っ掛かったのはあんただろが!」


「うーーるーーさーーいーー……」


 ……肩まで伸びた金髪を逆立ててエイミアが立ち上がった。


「「す、すいません」」


 ……ただならぬ雰囲気に魔王様も謝る。金髪で髪が逆立ってればそりゃあ迫力ありますよ……完全に超有名格闘マンガの影響だけど。


「……フルーツポンチ……」


「「……は?」」


 ぱたっ


 ……謎の寝言を残してエイミアは眠りについた。


「………………アタシも食べたくなっちゃった」


 ……明日のおやつは決まりました。


「さて! 話の続きを始めましょうか!」


 え〜……眠いのに〜……。


「仕方ない……ホントに教えてあげようと思ってたのに〜」


 がばっ


「何をっ!!」


「……面白いね〜サーチは〜」


「うぐっ」


 わかってても身体が反応しちゃう……!


「あのね、豊胸(そんな)聖術がホントにあったら自分に使ってるって!」


 じーー……。

 なるほど。


「……サーチちゃん? 何を見て納得したのかな?」


 ……ふ。勝った。


「ちょっとおおおお!?」


「わ! 怒らないで怒らないで! 大丈夫ですから! リルには勝ってます(・・・・・・・・・)から!」


 ぶっちぃ……


 しまった。

 ヤバいの来ちゃったです……。


「サーチちゃん?」


 は、はい……。


千切ります(・・・・・)


 ぎゃあああああああっ!



「……ま、こんなもんでしょ」


「………………」


「ん? サーチどしたの? ちょっと外しただけよ(・・・・・・・・・・)……」

 

 ……ちょっと?

 あれがちょっと!?

 ほぼ全部外したじゃない!

 関節を!


「……ホントに千切ってほしかった?」


「ごめんなさいごめんなさい」


 ……もうエイミアやリルにやるのはよそう……。


「さてさて♪ 今度は……サーチの番よ」


「え? 魔王様の関節を!?」


「ち・が・う!」


「ええっ!? 千、千切……」


「…………」


「ご、ごめんなさい……」


「……アタシに聞きたいことは無いかって言ってるの!」


 聞きたいこと。

 魔王様にねえ……。


「何か無い? 何か無い?」


 ……めっちゃ期待されてるし……うーん……。

 ……。

 あ! そうだ!


「じゃあソレイユ! 質問! 質問!」


「はいはーい! サーチどうぞ♪」


「じゃあ……何で魔王様は、ダンジョンばかり作ってるんですか? 普通の魔王なら、人間の国に攻め込んだりすると思うんですが」


「……あ……」


 ……げ。

 聞いちゃあ……いけないヤツだった?


「……そうね……サーチになら話してもいいか……」


 ……?


「……いい? これから話すことはサーチを信用して話すの。それを肝に命じて」


「は、はい」


 なんか……重い話になっちゃった……。


「まず……これだけは明言しておくわ。私は人間を敵視していない。でも友好関係を望んでもいない」


 魔王ソレイユは静かに語った。



「ただ……私達を迫害しないで(・・・・・・・・・)……それだけ」



 ……え?

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