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第二話 ていうか、初めての友達とテンプレ。

 盗賊から剥ぎ取れるモノはできるだけ剥ぎ取る。すると、怪しげな短剣が出てきた。鞘に紐でぐるぐる巻きにされた短剣だ。


「……この世界でも呪いの剣ってあるのね」


 町で売ることにする。

 で、奪った食料がかなり多かったのでウハウハだ。これで町までは一安心。思わずスキップしたくなる。


「ふんふふーん♪」


 出てきたゴブリンに光る魔法使いをぶちかましながら町へ進む。


「この調子なら町に着く頃にはだいぶレベル上がってそうね〜♪」


 噛みついてきたコボルトに宇宙くるりん肘打ちを決める。昔見たプロレスの試合を思い出し、さらにテンションアップしていった。



 いやー、うかれすぎました。スキップしたまま町の入口に来ちゃって。

 ……視線が痛い。


「クスクス」


 く……! すぐ後ろのヤツに笑われてる!


「あなたも新人さんですか?」


 ギャーーーーーッ!! で、できれば放置してほしかった……恥の上塗りだ。


「あら……顔真っ赤に」


 やーめーてー!


「ふふ……ごめんなさい。私、エイミアです」


 え?


「……士郎?」


「違います。なんだかそのワードは激しく危険ですのでやめてください!」


「は……はい」


「えー、改めまして。 エイミア・ドノヴァンと申します」


 名字がある……確か貴族なんだっけ。


「私はシャアです」


「え……はい。 さーさんですね」


「なんでわざわざ言い難い呼び方!?」


 これ何!? 一種の呪い!?


「いえ、何故かさーちゃんと呼びたくなってしまい」


 完全に呪いじゃない!!


「何とか頑張ってみます……さーさーさー……」


「卓球の選手か!」


「はい?」


 しまった、つい……冷静に冷静に。


「さーさーさーちゃんさーちゃんさーち」


「完全にさーちゃんになってるわよ!」


「さーち……さーち……あら? ここで止まってってしまいました」


 さーち……サーチね。


「わかった。サーチならいいよ」


「はい。さーちですね」


 なんでひらがな……。



 そんなこんなで、会話も盛り上がり。


「私と友達になってくださいませんか?」


「は、はあ……」


 この世界で初めての友達ができました。この子が一生モノの付き合いになるとは、この時は思いもしなかったけどね。


「……付き合いと書いて受難と読む、ていうヤツにならなきゃいいけど」

「はい?」


 あ、何でもないです。



 この町に土地勘がある、ということでエイミアに案内してもらい、ギルドへと向かう。エイミア自身が隣の町の生まれだそうで。


「……じゃあ、隣の町の領主の娘なの……元」


「ぐさ……そうですよ、元ですよ!」


 自分で「ぐさ」とか言うかねぇ……エイミアは貴族の娘とはいえ母親は侍女であったため、家では肩身の狭い思いをしていたらしい。結局腹違いの兄にイタズラされそうになったのを過剰防衛で撃退してしまい……勘当されたそうで。


「でも姓は名乗ってるのね」


「あちこちで悪名を広めまくって、評判を地に落としてやります!」


「……さいですか」


 ……自分の評判も落ちると思うけど。


「あ、ここです。ここがギルドです」


 ふー……やっと着いたか。何だか異様に時間がかかった気がする。


「助かったー。エイミアありがとう」


 たぶん大回りしたんだろうけど、そこは友達だからスルーしてあげる。


「どういたしまして」


「じゃあ、私はここで。ギルドの養成学校にいかなくちゃならないから」


「え? さーちもですか?」


「え?」



 二人でギルドの受付に向かう。ていうか、何だかエイミアとは縁があるみたい。


「すみません」


「はい、どのような御用件でしょうか?」


「私と、こちらの」


「エイミアと申します」


「……二人ともギルド養成学校へ来たのですが」


 院長先生から預かった手紙を差し出す。


「はい、お預かりします…………これは……少々お待ち下さい」


 そう言って奥に下がっていく受付の人。


「あ、やばい」

「はい?」


 こういう時は柄の悪い戦士なんかに絡まれるってテンプレがあったっけ。一応、周りを気にしないと……。

 で、案の定。


「おい、そこの姉ちゃん」


 マジでキターー!!

 とは言え想定内!


「ふんっ!」

 どがあっ!

「ぐはあっ!」


 背後にまわってからのハイキックが綺麗に決まる! よし、テンプレ回避!


「ギ、ギルドマスター!!」


 さっきの受付のお姉さんが柄の悪い戦士に駆け寄る。


「……って、ギルドマスター!?」


 やば。


「さ、さーち、ギルドマスターに手を上げちゃ駄目ですよ!」

「手じゃないやい、足上げたのよ!」

「なら……いいんでしょうか」


「良くない!」


 はい、すみません。

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