#006「平日:一月二十五日から三十日まで」
#006「平日:一月二十五日から三十日まで」
天災と筋肉痛は、忘れた頃にやってくる。
月曜日は、早朝にコムラ返りを起こすという、ちっとも清々しくない目覚めを迎えた。ブルーマンデーの極み。
数年のデスクワークで鈍りに鈍りきっていた身には、遊園地の一件は過剰負荷だったらしい。
ようやく普通に歩けるようになった木曜日の午後。今度はギックリ腰をやらかした。魔のブラックサーズデー。株価大暴落。
急遽、そのまま半休を取って帰り、一晩休んだ翌金曜日。ここは一つ、有給を消化することを決意した。さすがに、立ち上がれない状態では仕事に支障をきたしてしまうからだ。トホホ、パートツー。
そして、あくる土曜日。さすがに、このまま休みに突入する訳にはいかないと思い、午後から出勤。
浜崎課長からは体調を心配され、高橋さんからは運動不足を指摘され、松井くんからは平謝りされた。それぞれの性格が出ている。
そして山本くんには、わたしから謝った。わたしが居ないことで空いた穴を、一人で残業して片付けてくれていたからだ。
何かお礼をしたいというわたしに『支え合うのは当たり前だから』と言って断る山本くん。御身を犠牲にする消しゴムくんよ、お人好しが過ぎるぞ。
何度か押し問答を繰り返し『それなら、明日、一緒に映画を観に行きましょう』と言わせることに成功した。週末に郊外のミニシアターへ足繁く通ってるのは、スーちゃんから聞いて知ってるんだぞ。