#003「休日:一月十七日」
#003「休日:一月十七日」
一〇二四、ティーエーケーエーエイチエーエスエイチアイ。二の冪乗だ、ヘボン式だ、なんて考えてる場合じゃない。展開が早すぎて、ついていけない。
よし。ここまでの流れを整理しよう。
ホップ。土曜日の帰り間際、高橋さんから『明日、一緒にランチを食べませんか?』と言われた。
ステップ。食事くらいならばと、あまり深く考えず、その場でオーケーした。
ジャンプ。待ち合わせに車で現れた高橋さんに連れられ、辿り着いた先は、オートロック完備の高層マンション。
回想終了。どう考えても、ステップとジャンプに開きがありすぎる。まるで三段跳びだ。
整然と並べられた調味料の棚をバックに、食洗機やオーブンが完備されたシステムキッチンに立って手際良く料理をする高橋さんは、そこそこスタイルが良いだけに、なかなか絵になるなぁ、などと関心しているうちに、テーブルには鼻腔を擽るスパイシーなエスニック料理が並んでいった。
手伝うべきなのかもしれなかったが、準備から後片付けまで隙が無いものだから、つい、言い出しそびれてしまった。
『料理は、科学実験だ』という理系の高橋さんらしい話を聞きながら、わたしって女子力が低いなぁと呑気に構えていたら、次のアプローチが飛んできた。
さすがに性急だと思ったので考えさせてくださいと言ったけど、何か理由を付けて断ろうと考え中。祖父の七回忌ということにしようか? 認知症にもならず、ピンピンしてるけど。