#002「平日:一月十一日から十六日まで」
#002「平日:一月十一日から十六日まで」
友達が百人も居たら面倒臭いぞ、と思ってしまう嫌な大人になってしまった。
そんなことをスーちゃんに零したら『いや、ユキちゃんは小学生の頃から狭く深く付き合うタイプだったでしょう』と言い返されてしまった。グヌヌ、ご名答。
スーちゃんというのは、乙課に所属してる幼馴染で、苗字は西村。ユキちゃんというのは、もちろん、わたしのこと。わたしの苗字が中田なので、新学期の席が近かったというのが、仲良くなったキッカケ。
まさか、こんなに長い付き合いになるとは思ってもみなかったけど。
会社の休憩室で、昼休みに他愛もない話を交換するという未来像を、小学生当時のわたしは、少しも思い描かなかった。二十七歳って、もっと大人だと思ってたのに。
さて。それで、何で冒頭のような会話になったかというと、祝卒業・新入学シーズンに売り出す文房具セットについて、話が二転三転して進まないという現状があるから。
課長が企画会議で席を外してることが多いせいで仕事が進まないのか、高橋さんがイライラしてる様子が伺える。
そのトバッチリ先は、凡ミスを連発する松井くん。
高橋さんが松井くんに雷を落とすたびに、わたしと山本くんが視線を合わせて肩を竦めるというのが、ここ数日の様式美になりつつある。
その高橋さんから、思わぬお誘いを受けたんだけど、詳細は日曜日に。