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死んだ三毛猫と別れるまで  作者: 灰色の猫
1/4

初日


 車通りもまばらな午後十時。

 歩道の片隅に、猫が寝そべっていた。近くで見つめてもじっとしている。ふくよかなシルエットから想像して、人に慣れた猫なんだろう。


 そのシルエットがピクリとも動かない事に気付くのに、多少時間はかかった。


 三毛猫は死んでいた。


 でも血が流れていたり、身体が破損している様子は見られなかった。これらの事で俺の判断を遅らせていた。


 そして、すぐに次の選択を迫られた。


 この遺体をどうするか。


 俺はどこかに埋めようと即座に判断し、一度家に帰った。次の日の朝、カラス達が目覚める前に。それが俺に残された時間だった。


 どこに埋めようか。人の敷地はまずいし、検討しているとなかなか適当な場所が無かった。


 そして、俺が次に時間を見たときは、既に午前六時を過ぎていた。寝てしまっていた。


 外のカラスの鳴き声が、挑発されている様で、少し腹が立っていた。

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