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夜の月に笑われて  作者: 宮城まこと
破滅の旋律
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第七話 真相②

「う……クソ、いててて」

 俺が目を覚めると、そこには氷見蓮九郎はおらず、空席になっていた。蝋に灯っていた火が消え、喫茶内はいつの間にか元の雰囲気に戻っている。

 足の怪我はあいつの言う通り、治った。一日が過ぎ、状況はどうなっているか分からない。携帯電話を確認すると、時刻は六時半。

 店を出ようとするが、遅れて店員たちが床で倒れているのに気が付く。

「大丈夫ですか!?」

 揺すってみる。どうやら眠っているらしい。氷見の奴は本当に興味が無い人物に手を出さないのか? 疑問だが、その事は本人に直接聞いてみるとする。

 朝日が入る店内を後にし、ここから近い事務所に行きたかったが、その気持ちを堪えて警察と響子さんに見つからないように事務所と反対側に歩き出す。

 程なくして、氷見の寄越した携帯電話にメールが来る。

「あいつ、どこから見てやがるんだ……」

 内容はこうだった。

「いや、おはよう。キミの寝顔は中々面白かったよ。それはそうと足の怪我はもう治ったのかな。これで集中してクイズができる。さて、本題の出題だ。『金色の奏者。神の名を奏で、裏切りの刃を貴方に向ける』それじゃ、頑張ってくれ」

 ここから次の目的地に向かうための、ヒントを探すしかない。金色の歌姫? これは一体誰のことを指しているんだ?

 神の名を歌い、裏切りの刃を向ける。

 裏切りの刃、これは犯行に使用した物なのだろうか? だとしたら誰を裏切ったんだ? ここで一度これまでの流れを確認しよう。

 第一問はあの築港、あの四肢狩り事件をモチーフにしたクイズになっていた。そしてそこには警察と、三部が待ち構えていた。そして俺は撃たれた。

 二問目は灰化事件。桐之山が舞台、戦った場所。細部にいたるまで俺たちしか知らないことまであいつは知っている。

 三問目はあのシャノンが惨劇の舞台となったあの事件。そこであいつと食事会をし、俺は御三家の闇について知ってしまった。

 そしてこの四問目。どこが舞台となっているのか想像もつかない。落ち着け、必ず関連している事だ。焦る必要はない。

 刃を言えば刀。刀を使った事件? それが合っていれば事件はかなり絞られる。まずはあの武士の事件、だけどこれはもう出題されている。

 だとすればあとは鳶さんの事件になる。が、それは警察に依頼されたわけじゃない。あれは突発的な事件で、事故と言っても過言ではない。

 待てよ、確か鳶さんの事件は歌を模して殺人をしていた。尾白様、その名を思い出しただけで背筋に悪寒が走る。

 だけど、これが間違いだったらどうする? あいつは言っていなかった。俺がもし間違えば響子さんとかが危険に晒されるとかだとしたら、ここで間違えるわけにはいかない。

 酷く悩んでいると、着信音が鳴る。どうやら響子さんからだ。


「もしもし、どうしたんだ響子さん? こんな朝早くに」

「貴方が調べろって言った黒崎加奈子さんのことよ。いい、今誰にも追われていない?」

「あぁ大丈夫だ。話してくれ」

「あの人、普段は高級マンションに住んでいるじゃない? 勿論、マンションにはいなかったわ。それで私は実家に行ったのよ。そこには本物の刀が置いてあったの。どうしてか分からないけどね。その中の一本がなくなっていたの。それも、黒崎さんがいなくなった時を同じくしてね。いえ、貴方が消えた日と同じ」

「それで俺が、犯人として祭り上げられた。助けたはずの人が消えるなんて……」

 こんなこと今まで有り得なかった。

「それでね、貴方が犯人とされている事件に被害者は黒崎のさんの婚約者。身体に刃を突き立てられて死んでいたわ。どうして、刀に貴方の指紋が付いているのか、全く分からない。刀には貴方は当然、触れていない」

「あぁ。触れるわけがない。実家には一度も言ったことが無いし。捜査でも行ったことないだろ?」

「それもそうね。実家には警察が真っ先に行ってたみたいだから……彼女は一体どこにいるのかしら」

「そうか! 分かった!!」

「どうしたのよ、助手くん?」

「ありがとう響子さん。響子さんはそのまま黒崎さんの所在を調べてくれ。それじゃ!」

 電話を切り、あの質問に頭を切り替える。

 確か、黒崎さんはバイオリニスト。奏でるそういうことか。最近、演奏をしたのはミューズという場所だったはずだ。

 刀、恐らく俺が追われている事件だ。

 なら次の場所はあそこだ。そこに向かおう。

ついに終局です!

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