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夜の月に笑われて  作者: 宮城まこと
自壊人形
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第五話 捜査⑤

「それじゃあ早速見せてもらえるかしら?」

 俺たちが、事務所に着くとほぼ同じくして、南方さんが到着していた。

 事務所に入り、俺は体が温まるコーヒーを二杯作り、響子さんは彼から事件の解決に繋がる重要な部屋の写真を見せてもらっている。

 正直俺も気になることろだが、早くこれを作ってしまはないと彼女にまた文句を言われてしまう。

「あぁ、俺も改めて見たんだが奇妙なもんが写ってな」

「奇妙な物? 何よそれ。お化けでも写っているって言うの?」

「まぁそれに近しいもんだ」

 そう言って写真の一部をい指差す。

 響子さんが、顔を寄せじっと見ているとその奇妙な物に気が付く。

「これって――」

「どうしたんだ? 何か見つかったんだ?」

 作りたてのアツアツのコーヒーを運び、二人の目の前に差し出すついでに俺も見せてもらったが、確かにそこにはあの事件現場になかった物が映り込んでいた。

「これって、人形? だよな」

 しかも今時家に置いているのが珍しい日本人形だ。

「ええ。どこからどう見ても日本人形だわ。けどおかしいことに自殺した佐藤さんの目の前にいる」

 人形は直接見えなかったが、鏡に映っていてその姿が確認できた。返り血を浴びていて、不気味に笑っているように見える。

 それがかえって俺たちの恐怖を加速されたのかもしれない。

「なぁ響子さん。俺たちが行った時に無かったよな? もしかしてこれが?」

「その可能性は大いにあるわ。でも、何故この人形を?」

 顎に手を当てて深く考え込んでいた。

「捜査はその一日で自殺だと言われたが、俺の責任でテープは貼っていてもらっていた。何度か確認に行きたかったが、上に止められてな」

「じゃあ南方さんも、犯人が持ち去ることを見たわけではないと」

「あぁ。張り込みでもしていれば結果は違っていたかもな」

 本当に悔しそうに、拳を自分の膝に打ち付けながら下唇を噛んでいた。

「南方先輩! この資料忘れてますよ!」

 突然、彼の名を呼ぶ声がして扉の方を向くと息を切らしているしずくさんがいるではないか。

「こんにちわ。響子さん、准兵さん。ちょっと忘れ物を届けに来たんです」

「おい、葛木。どうやってここまで来た? ここから警察署までかなりの距離だぞ?」

「先輩が、先にパトカーに乗って行ったから私は公共機関を使ってここまで来ました!」

 ぜぇぜぇと、荒々しく息を吐きながら肩から下げている黒いバックから、一つの青いファイルを南方さんに手渡す。

 そして彼女は余程疲れたのか、ソファーにドカッと座り一先ず休憩をした。

「悪いな葛木。あとの情報はここに入っている」

 彼はファイルを開き、そこに書いている情報を読み始める。

 俺はそれを聞き逃さまいとして聞き耳を立てた。

「あのな、峰尾さんは大手IT企業の優秀な社員だった。でも悪い噂は絶えなかったそうだ」

「悪い噂? それって?」

「つまりは、女の敵ですよ!」

 しずくさんが元気を取り戻したのか、俺の質問にものすごい勢いで返してくれた。

「そう。こいつが言う通り、女の敵だったわけだ。社内での恋愛は勿論、外部の人間にも股をかけていやがったんだ。死んだ佐藤さん、加賀さんとも関係が深かったみたいだ」

「工藤さんともですか?」

「工藤? あぁ一応聞き込みに行ったが、そうだ。あの人もそういう関係だったらしい。あと一人、美川さんって人の腹には子どもいるそうだ」

「じゃあその子は!?」

「分からんが、どうやら産むそうだ。何度も峰尾との復縁を願って、挙句の果てには付きまとっていたそうだ」

「そうだったんですか」

「俺たちが提示できる情報はここまでだ。悪いな」

「いいんですよ。必要な情報も手に取れましたし。本当にありがとうございました!」

 俺は頭を下げてお礼をしている。が、その横で響子さんはまだ考えているようだった。

「じゃあ俺たちはここいらで帰るとする。おら、帰るぞ葛木」

「あっ、ちょっと待ってくださいよ! 響子さん、准兵さん。今回の事件解決頑張ってくださいね。私たちも出来るだけ協力しますから」

「ありがとう、しずくさん」


 そう言って、二人が去った後もまだ彼女は考えていた。ここまで深く考え込んでいることはあまりないのだが。

「おい、響子さん。二人は帰ったぞ?」

 反応が無い。

「?」

 視線だけがこちらを向く。

「聞いてるか?」

 そして瞳にやがて自我が舞い戻ってきた。すると彼女は疲れが果てたように息を漏らし、まだほんのりと温かいコーヒーカップに手を当てる。

「疲れたわ。なんとなく今回の犯人が分かった気がする。その前に確認しなきゃ」

「確認? 一体誰に?」

「癪だけど、安瀬馬くんによ」

 そう言って彼女はおもむろに充電していた携帯電話を手に取り、電話をかける。

「もしもし安瀬馬くん。憑神のことで聞きたいことがあるんだけど今時間ある? そう、それなら良かった。この話、助手くんのも聞かせたいからスピーカーにするわね」

 彼女は通話状態をスピーカーにして会話を再開させる。

『憑神のことについてだが、どんなことだ? 話してみろ』

「自殺を誘発させる憑神っているかしら?」

『なんだと、自殺を誘発させる憑神だと? 貴様らがどんな事件に関わっているが知らんが、ちょっと待ってろ。あぁ、見つけた。確かに一体だけいる』

「なんて名前?」

『その名は自壊人形。人形に憑りつき、その所有者の怨念を呪った相手に自殺という形で報復させる。厄介な憑神だ。それだけではない。必ず二日後にその殺人能力を発動させる。これが一番の名の所以かもな』

「それって……?」

 安瀬馬さんの放ったその言葉を聞いた瞬間。俺たちは事件解決を急ぐことを肝に銘じ、電話を切った。

 このままでは、工藤さんが死ぬ。それだけは避けないといけない。そして彼女の無事を祈って、犯人を捕まえる準備をした。

次話が真相となります。

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