溢れたもの
・相瀬 雪琉
主人公。中学2年の14歳で、生まれつき
身体が弱く、大病院に入院している。
・本野江 檜
高校一年の16歳。
主人公の姉的存在だが家族ではなく、
よく主人公のお見舞いに来てくれる。
ユキル
どうしよ…トイレ行きたい…今、しておこうかな…
ヒノキ
ユキくんきたよ♪
ユキル
!!!
ヒノキ
お土産!もみじ饅頭買ってきたよ!
ユキくん好きだよね?
ユキル
はい…ありがとうございます
ヒノキ
暇してる?テレビでもみよっか!
ユキル
はい…
見てるうちに僕の膀胱に液体が注がれる。
先にトイレを済ませておけばよかったと後悔するには遅かった。
三十分後
ユキル
(どうしよ…トイレ、漏れそう…でも、ヒノキさんがいる前でなんか…)
ヒノキ
スー…スー…
ユキル
(寝てる…今のうちに……尿瓶を…あれっ!?尿瓶が、ない…!?)
ユキルはナースコールを鳴らそうと思ったが、気持ち良さそうに眠っているヒノキを起こしてはいけないと思った。それに、トイレ行きたいことがばれてしまうのが恥ずかしかった。
ユキル
…もっと…我慢、しないと…
もうこの時点でユキルの膀胱は
ほぼ満たされていた。
十分後
ユキル
(…やばい…出る…出る…もう駄目…!)
ユキルは堪えきれず、前を押さえて丸まっていた。
ユキル
(…動いたら出ちゃう…!でもヒノキさんにこんな格好見られたら…)
ヒノキ
…ユキくん?
ユキル
!!!
我慢しているのがばれないようにするため、
ユキルは押さえていた手をどけた。
ショロッ
ユキル
…あっ…
ヒノキ
どうしたの?
チョロロ…
ユキル
んっ、…っう…
必死に堪えるが少しずつ出てきてしまう。
ユキルは顔を真っ赤にし、震えながら涙を浮かべてうつむいた。
ヒノキ
ユキくん、気分悪い…?
ショロッ…チョロロ…ッ
ユキル
…やだ…やだ…止まってくれ…!
ヒノキ
どうしたの!?大丈夫!?
ショロロッ…チョロロロッ
ユキル
やだ…いやだ…!もう無理…ッ!
…っう、ごめんなさ…出ちゃう…!
ヒノキ
ユキくん、もしかして、おしっこ?
おトイレに行きたいの!?
ユキル
や、違っ…嫌だ……!
やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
ショロ…ジョロロロロロロロ…ピチャピチャ…
ユキル
…っ、ごめん、なさ…ヒノキ、さん…
…出ちゃった…
ヒノキ
大丈夫だよ…
気付いてあげられなくてごめんね、
ユキくん優しいね、私は大丈夫だから…
何かあったら起こしてね?
ユキル
……………
ヒノキ
ユキくん?
ユキル
…はは…こんな恥ずかしい姿見て、僕のこと嫌いになったですよね…トイレ行くことなんて幼稚園の子でもできるのに…中学生にもなって人前でおもらししちゃって…
ヒノキ
そんなことない。嫌いになんかならないよ。
失敗は誰にだってあるんだから。
だから落ち込まないで…?
ユキル
…落ち込まないはずないですよ…こんな惨めな姿で…生まれつき身体が弱くて一人じゃ生きていけない無力な僕なんか死んだ方がいいんだ…!!死んでも誰も困らない…!!
ヒノキ
……………
ヒノキはユキルを抱きしめた。
ヒノキ
ユキくんの馬鹿…!何が惨めな姿よ…っ!
死んだほうがいいなんて言わないでよ!
ユキくんがいなくなったら私が困るの…!
確かに私は何不自由なく育った…ユキくんの辛さも痛みも苦しみもわかってあげられないかもしれない…!でも、ずっとそばにいたいの!!
ヒノキさんは僕を抱きしめ、泣きながら繋がらない言葉を叫んだ。こんなヒノキさんを初めて見た気がする。僕の出してしまったものに濡れながらも、ヒノキさんはお構い無しに喚き続ける。
僕もヒノキさんを抱きしめ、泣きながら
「ごめんなさい」とだけ呟いた。
ユキルは中学生にもなって、
恥ずかしかったでしょうね。




