病室の中で 1話
俺はなんでここにいる?
あたりを見渡すとそこは病室だった。
俺の他にも5人が同じ部屋でベッドで寝ていた。
足を怪我した人、骨折している人、ここにいる内容は様々だった。
俺は・・・なぜこんなとこに・・・?
「気がついた?」
声のした方を向くと、女の人が1人立っていた。
この病院のナースさんのようだ。
「大丈夫?・・・そんなわけないか。」
「え?」
俺は自分の身体を見るが、怪我をしている場所は無かった。
「違うわよ、あなたはガンなのよ。」
ガン・・・俺が・・・?
「まぁ、実感がわかないのも無理ないわ。しかし、いつかは現実を受け止めなくちゃね。そんなことより、あなたの名前は?」
「知らないんですか?」
「いや知ってるけど、あなたの口から言いなさい。」
「・・・・高橋」
「下の名前は?」
「・・・白」
「よろしくね。ハッ君。」
「は、ハッ君?」
俺は少し笑ったが、少し悲しんだ。
俺は入院することになりそうだからだ。
「ん?新入り?」
同室している5人の中の1人がむくりと起き上がった。
「あら、マッ君起きたの?」
そいつは俺の顔を見るとにっこりと笑い、
「俺、吉田誠。よろしくな。ハッ君。」
「あ、ああ。」
「お前は何が原因でここにいんの?」
「・・・ガン」
「そうか、良かったな。」
良かった・・・?
「コラ!マっ君良かったなんて・・・」
「俺はもう助からない。医者もみんなお手上げなの知ってんだろ!!」
「・・・でもまだ助からないとは・・・」
「確率3%未満って言われてるじゃないか!俺はもうダメなんだよ!」
マっ君はそう叫ぶとこの病室から出て行った。
「もう・・・しょうがないわね・・・ハッ君はここで待ってて」
「いや、行きますよ」
俺とナースさんは2人で病室を出て、マっ君を探すことにした。
ついでに俺は1~4F、ナースさんは5~8Fを探すという計画を立てた。
あれから10分後、マッ君は全く見つからない。
こんな人が多くちゃあね・・・
・・・あれ?病院ってこんなに人が通うものなのかな・・・
普通に何千、ヘタすりゃ何万もの人がいる。
それにこの病院にはいろんな設備がある。
コンビニや本屋、レストランや花屋。それに床屋まである。
一体ここはどういう・・・。
「あっいたいた!」
ナースさんだ。
「見つけたよ!マッ君。」