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09 霊薬の素は罪悪感の素

 ラネ13歳。

 この春からラネは弓矢を携えて父との採集に同行することにした。随分と弓の腕は上がったと思う。ゆっくり狙えば、十中八九20m先の的を外さない。

 俺の弓は長兄がくれたもので子供や女性でも使いやすい小さめの弓だが、これでも山鼠や鳥くらいは仕留められるんじゃないかと思っている。

 採集している途中で獲物を見かけたらこの弓でシュっと射抜いて、おかずの足しにしようと考えたのだ。

 しかし、父はやめとけと言う。弓矢を持ち歩くとその分余計に疲れるだけだと。


 でも、今の俺はおかずの肉を狩らないといけないんだ。


 

 昨年から二人の兄たちが同い年の村の少年たちと共に森の奥まで狩りに行くようになっていたが、この春は獲物が多いのか、腕が上がってきたのかは定かではないが獲物を持ち帰ることが多くなったのだ。

 おかげで肉もまた我が家の食卓に上がる日が多くなった。

 それらの肉は俺の血肉となり、身長を伸ばしてくれる。素晴らしいことなんだ。


 でもね、歓迎すべきことばかりじゃない。

 この鳥は俺が仕留めただの、このネズミは俺が獲っただの。夕食にそればかりこれ見よがしに聞かされる。

 長兄は毎日のように肉を調達してくれたけど、こんなに恩着せがましいことはなかった。

 しかも、食事中だけじゃない。

 俺がいつもように弓矢の練習で見事的の中心に矢を突き刺している時に、的は逃げないとか、的は動かないとか言いやがって。

 長兄がいた頃は、二人の兄たちも必死こいて練習していたのにさ。

 

 長兄は恰好よく頼れるイケメンだったせいで拗れちゃったであろう次男坊と三男坊。

 

 それは言い過ぎだろうが、マウント気質でいじめっ子になりそうな性格の二人。どうも昔から苦手である。

 虫の居所が悪ければ真っ先に当たられることがまた増えてきたように思う。


 俺も剣術の練習をしていたし体力が付いてきた。しかし多少鍛えたところで伸び盛りの一年二年の差は埋まるようなものでもない。しかも、二対一。喧嘩してもやられるだけ。

 一番幼い弟の俺は二人にとって気に入らないならド突いていい下っ端なのだ。


 そりゃ、霊薬の素を飲んで腕力に訴えれば二人同時に相手しても圧倒できるだろう。体で覚えさせればこれから舐められなくなるかもしれない。

 でも家族関係だから、そういうやり方は違うような気がする。

 さらに薬を使えば成長も再び止まってしまうだろうからこっちにはデメリットだらけだ。


 こんな状況になったが二人とは飯も寝場所も一緒。どうにも逃げ場がない。

 長兄が去ってから庇護を失った俺はこの関係を耐えがたく思うようになっていた。


 一言で言えば、とーっても居心地悪いのである。


 だから、狩りの成果で少しでも見返したい。



 結果的に、弓矢を持ち歩くのは10回も続かなかった。

 採集は採集、狩りは狩り。目的のものを探す場所が違った。

 父と採集に行く時は手頃な獲物がいる森の危険なところまでは立ち入らない。しかも安全な最短距離で目的地まで行き、採集してすぐ村に帰る。

 その途中で見かける山鼠や小鳥を仕留めるには弓矢は適さなかった。俺の腕前では小さすぎた。それ以上の肉を確保するに適した大きさの獣や鳥は出くわすことはなかった。


 父が正しかった。

 弓矢は邪魔なだけ。狩りは狩りとして森に入るべきだ。



 まあ、食卓に肉が出てくることには感謝して過ごそう。実際感謝しているし必要なのはその気持ちだけ、他の感情は要らない。

 兄たちのマウントは無心にやり過ごせばいい。

 大人になるんだ。彼らよりも。小さいことを気にしちゃダメだ。



 やっぱり無理だった。なんでか腹立ってくる。

 心は小さいし、ヘタレなんだ俺。


 前世の青年は一人っ子で兄弟関係への経験と知識がない。少年時代に人間関係で困ったら遭わないように避けていたようだし、家族と揉めても頭が冷えるまで部屋に閉じこもれば良いだけだったようだ。だから、記憶は役に立たない。

 個人で部屋があるなんて前世のヤツは上級村民だったみたい。

 実に羨ましいと思う。


(俺も欲しいな、自分だけの部屋。)



 最近、気晴らしに川の上流に行って人が周囲に居ないのを確認してホットココアやポタージュスープをこっそりと飲むようになった。

 こういう文明的な飲み物はなぜか身も心もリラックスできるのだ。

 兄たちのマウントなんて小さいこと。

 この至福の時間が持てる俺はこの村一番の勝ち組よ。何をイライラすることがあるのさ。



・・・・・

 初夏。もうすぐ小麦の収穫時期。行商人もやってくる時節だ。

 この村は休閑地以外の畑を半々に分けて秋に収穫する春まき小麦と冬を越して初夏に収穫する秋まき小麦の両方を栽培している。不作による食糧不足対策としてこれを伝統的に行ってきた。

 収穫の度に一家総出で麦穂を刈るのが習わしだったが今年は次男が収穫期間の中日に収穫を手伝わずに狩りに行ってしまった。


 母はカンカンに怒っていた。母の不機嫌さに父も三男も俺もとばっちりを受ける。

 父はいつものように宥める役回りで、三男と俺はこれ以上不機嫌にならないように真面目に黙々と刈り取る。



「ふぅ。終わった。まったく小兄ちゃんに困ったもんだ。」


 刈った麦をまとめて束ね終わると、自分の腰をトントンと叩いて母にだけ聞こえるようにそう呟いた。

 本当はそんなに困ってはいない。

 次兄がこれでかなり叱られるだろうと俺は内心ほくそ笑んでいた。


 今日の収穫作業に目途をつけて休憩していると、次兄は少年二人と共に立派な鹿を棒に括って担いで帰ってきた。

 すぐに見事な鹿を間近で見ようと農作業に出ていた村人が集まってきて、獲物を運んでいる少年たちに群がり始める。

 母は次兄の方に早足で近づこうとしたが、村の衆と目の前の鹿について喋り始めた次兄。

 母は叱るタイミングを失ったようだった。


 村の空き地に着いて鹿を地面に降ろし、次兄と少年たちを中心に毛皮を手際良く綺麗に剥いでいく。毛皮は傷も少なく見事な毛並みをしていた。もうすぐやってくる行商に良い値で売れる上物だ。毛皮はなめす処理をすれば長持ちし、他の部位よりも金銭に換金しやすい。

 大人たちはやかましく自分たちの欲しい部位を伝えていく。


 この大きな鹿は4~6人の家族が2日食べる肉の量で約30家族分もある。

 解体が始まると先に内臓を捌いていく。内臓は栄養があるが、足が早いから身内や日頃お世話になっている人々で分け合ってしまうことが多い。

 こういう大物の肉は、身内以外にも配られ、金銭や物々交換で取引される。肉屋に売る場合は主に金銭で取引する。知り合いなら、主に物々交換。

 分け終わった後、残りの肉は干し肉にする。脂身は食用にもなるが、灯油扱いにすることも多い。角や骨はプラスチックの扱いだ。弓を補強する材料にしたり、ボタンに加工したりもする。

 この村では骨まで無駄にはしない。



 我が家には鹿の肝臓の一部と腿肉が分けられた。機嫌を良くした母は次男坊を叱らなかった。

 母は次兄から肝臓を受け取り、あっさりと買収されてしまった。

「よくこんな立派なの獲れたねぇ。」


(おいおい、叱るどころか褒めてるよ。)


(母ちゃん、思い出してよ。さっきあれだけ怒っていたでしょ。思い出して。)


 兄を叱ってくれるという甘い期待は肉の魔力に打ち砕かれた。

 不機嫌な母の相手をした俺の時間を返せ。チクショー。



 俺は兄たちと組んでいつも狩りをしている大柄の少年から腿肉を受け取りにいく。

「おいチビ、持てるか?重いけど家まで運べるか?」

 ムッとしたが、愛想笑いで肉を受け取って去る。


「お前の弟、本当にチビのままだな。オレの妹より小さいわ。」

 後ろから俺をバカにする言葉がした。

 聞こえてんだよ。いや、あれは俺に聞こえるように言ってんのか。

 

 こいつ、兄二人とつるんで遊んでいるだけあってすごく嫌な奴だ。

 確か、あいつはコナンって名前だった。

 三男と同い年の15歳。3年前まで俺とあんまり変わらなかったくらいのチビだったと記憶している。それが急に背が伸び始めて村の大人と並んでしまった。30cmくらい伸びたんじゃないか、あれ。

 自分だってチビだったくせに。


 あいつは長兄みたいに狩人のような弓を上手く扱うスキルを持っているらしく、最近はずっと次兄と組んで狩りに行ったり、解体したり、皮をなめしたりしている。

 長兄が出て行っちゃったから、あいつが我らが次男坊の相棒になっていくのだろう。

 家族ぐるみの付き合いはしたくないのでさっさと村を出よう。




・・・・・

 バッタなどの虫たちが成長し、それを食べる獲物も肥える。そんな夏も終わる頃にそれは起こった。

 

 我が家の食卓に肉が出されなくなった日が3日続いたことがった。それが始まりだった。

「今日も肉なしかぁ。俺が狩りに出ようか?」

 夕食でちょっと嫌味を言ってみた。我ながら小物だが、意趣返しのつもりだった。


「コナンのヤツが倒れたままなんだよ。」

 次兄の発言は俺の期待したものとは違っていた。

 コナンが腹痛で倒れた。しかもどうやらもっと前から腹痛で狩りに出られなくなって寝込んでいるらしい。

 一瞬、ざまぁ見ろと思ったが、数日続いているなら単なる食中毒とは思えない。


 夕食の話題としては、深刻になった。

「コナンはどんな具合なの?」

「食うと腹が痛くなって、戻しちゃうんだって。今は粥すら食べられなくなってるって。」

 俺は次兄に聞いたんだが、三男が答えてくれた。

 あいつは吐気と腹の痛みで苦しんでいるらしい。


「治るの?」

 淡々と聞いていた母は首を横に軽く振った。

「薬師は?」

「効かんのだろ!」

 次兄はちょっと声を荒げて乱暴に言う。

「虫下しや下痢をさせる薬草で効かんかったらあとは運だとよ。」

 三男が説明した。次男が説明に詰まると三男が説明する、三男が説明に詰まると次男が説明する。こいつらはいつもそうだった。


「しゃーないな、酷くなると死んでまうことがあるんよ。」

 父はそう言ったら、次兄も三男も暗くなってしまった。

 この村では知り合いが、こうやって突然大きな病気になる事は珍しくないのかもしれない。


(やばくない?)

 素直にそう思った。

 この村に前世のような医療は期待できない。医学的知識がほとんどないため、診断も的確にはできない。さらに治療手段もほとんどない。薬で治せる簡単な病気ですら命を落とす。

 この文明水準だったら、風邪や食中毒以外は全部難病になってしまうのだろう。


 さっきざまぁみろと思った過去を消したい。

 コナンは今生きるか死ぬかなのだ。


 コナンの話を聞いたら食欲がなくなり、肉の有無なんてどうでもよくなってしまった。



 食事に後、少し休憩してから頭に纏わりついた陰鬱な気を晴らすべく剣を振って寝ることにした。

 でも、剣を振っても晴れなかった。


 霊薬の素を使えばおそらく簡単に治せるだろうが、あれを飲ますことは抵抗があった。

 あれは奇跡の薬なのだ。人の命が懸かっていても簡単に使っていい物じゃない。

 なぜならバレたら俺が追い詰められるから。

 薬として出しても、飲んでくれないだろうが、騙して口に入れる方法はいくらでもあるはずだ。


 他の薬でも病気の特定ができれば治せるだろうが、多少前世の知識があっても俺には診断すらできないだろう。仮に診断できたとしても、何日間も薬を服用させることはできそうにない。

 聞いた症状からは、盲腸の炎症つまり虫垂炎だと当たりはつけているのだが。


 虫垂炎。俗に言う盲腸。

 外科手術が無い時代、消化器系の病気であると推察まではされていた致死率が高い難病である。それは治療法が確立される近代まで厄介な病気の一つだった。


 虫垂炎で死んじゃうのかよ。

 前世の知識がある俺は、コナンに対し、嫌な奴だけど治せる病気で死ぬのは可哀想だなと思ってしまうのだ。

 


 翌朝、上手く寝付けなかった苛立ちが募っていた。

 この不愉快さ、あいつが死んでもずっと続くんじゃないだろうか。


 俺はこの不愉快さを払拭するために一計を案じる。

 明日、べっ甲飴を持って、兄と一緒に見舞いに行こう。その際にチャンスを見つけてあいつの口に霊薬の素を放り込む。水を差しだす時に少しだけ手から垂らしてもいい。


 べっ甲飴なら舐められる。べっ甲飴に事前に混ぜ込んでも良いが、熱で薬効を失う可能性もあるし、兄や俺もあいつの前で信用させるために舐めるつもりだからやめておくべきだろう。

 べっ甲飴を渡す瞬間に少し霊薬の素を塗してもいい。

 あれが駄目そうなら、これをやると。次善の策まで用意しておけば何とかなるだろう。


 そう考えて、気を楽にした。

 たとえあいつに飲ませることを失敗して死ぬにしても、やるべきことを尽くさないとこっちが罪悪感を引きずったままになる。

 これは俺のためなのだ。最善を尽くすんだ。


 そう考えたら、俺の気分は晴れてきた。



 即、鍋と匙、木の皿を抱えてべっ甲飴を川に作りに行く。

 舐めやすいように小枝を削って串にしたものに刺したような形状のべっ甲飴を5本作った。長兄に渡したのと同じものだ。 

 これで準備は整った。


 その帰り道、偶然アビーに遭った。

 挨拶も早々にアビーは鼻を動かして俺が抱えている木の皿に視線を注いだ。速やかに接近してきて、鼻を近づけようとする。

 美味しそうな匂いがするから、お菓子だと勘付かれたか。


「これ何?」


(あげない。食いしん坊め。)


「甘い食べ物だよ。作ってみた。」

「くれないの?」

(あげないよ。兄二人、俺、コナンで4本。想定外の事態に備えて予備1本なんだから。)

「数に余分が無いんだ、悪いけど。それより今からどこか行くの?」

 こっちは何にも悪いこと無いけどと思いつつ断り、飴から注意を逸らすために話題を変える。

「お友達の家に遊びに行くの。そこのお兄さんが病気なのでお見舞いもするの。」

 よくよく話を聞けば、どうやら友人のお兄さんってのが腹痛で苦しんでいるコナンっぽい。

「そのお友達って背が大きい?」

「えっ?」

 俺は確かめる意味で聞いてみただけなんだが、脈絡の無さに戸惑わせてしまった。

「何でもないよ。コナンだろ、そのお兄さんの名前。」

「あ、うん。」

 どうやら彼女の友人の兄がコナンで間違いないらしい。名前で確認した方が早かったが、妹の背が俺より高いって言葉がフラッシュバックして真っ先に思い浮かばなかったのだ。


 でも、良いことを思い付いた


「これやろうか?ベッコウアメというんだ。甘い樹液を固めた物だよ。」

「ほんと?いいの?」

「うん、良いよ。こうやって舐める。噛むとすぐ無くなっちゃうから舐めて楽しむんだ。」

 一本を自分でペロペロ舐めて、一本をアビーに渡す。

「ありがとう。すごく綺麗ね。」と太陽に透かして見ている。この村はガラスがほとんどないし、宝石みたいに見えるんだろう。べっ甲飴はトパースに色合いはそっくりだしね。

 

 透かして見るのを満足したのか、アビーは飴を舐め始めた。

 美味しい美味しいと大喜び。

「甘いでしょ?気に入ってくれてよかった。じゃあ、またね。」

 そう言って俺は別れを告げて、アビーの向かう先とは逆の方向に足を向けた。

 アビーが歩き始めてこちらを見なくなったのをちらっと後ろを見て確認してから、残りの三本のうち二本のべっ甲飴にほんの少し粉雪をふりかけて湿らせてから、“不死の霊薬の素”をごく少量塗した。


「あ、そうそう。」

 と、べっ甲飴の串を口から離して遠ざかったアビーに聞こえるように独り言つ。

「ねえ、アビー。これコナンに持って行ってよ。飯を食べられなくもたぶん舐められるし。」

 と大声でアビーを呼び止める。


 立ち止まってこちらを見ているアビーに小走りで近づいて、串を二本渡す。

「これ、コナンに差し入れてやって。」

「二本あるよ?」

「お友達の分。」

 アビーは受け取ったべっ甲飴をじっと見てから、嬉しそうに頷いて了承した。

 満面の笑顔でお礼を言われて俺は再度別れを告げた。



 小芝居をした。自分で見舞いに行かず、霊薬の素を飲ませられるかもしれない。

 食いしん坊のアビーのことだ。友人と二人で二本とも舐めちゃうかもしれないが、そうなっても俺のせいじゃない。

 その場合は俺との約束を守らなかったアビーのせいだし、それも死んでも俺は悪くないよ。


(あー、すっきりした。)

(俺にはもうコナンがどうなろうと関係ない。)


 勝手に背負った罪悪感で潰れそうな弱いメンタルだったが、これで肩の荷が下りた。



 あの後、コナンは快癒したと夕食で聞いた。意外と早かった。

 無事にアビーは引き受けたミッションを達成したらしい。


 兄たちは友人の回復に興奮して奇跡だとまで言ってのけた。

 俺も嬉しかった、奇跡を起こしたのは俺のギフトの力だし、少し手間をかけた甲斐があったというものだ。


「良かったね。これでまたお肉食べられるね。」

 兄たちの喜びに対して、俺なりにコナンの回復を祝ったコメントだったが、兄たちに散々怒られた。

 治ったことを喜ばす、食べる肉を確保できたことを喜ぶなんて無神経な奴だということだろう。

 俺があいつの病気を治したんだけど。なぜ俺が怒られるんだろう。


「神様が見てるのかね。ラネ、あんた気を付けるんだよ。」


(母ちゃん、あのさ、俺が治したんだけど。いったい何を気を付けろと言うのか。)


 父も母も俺を残念そうに見ている。


(神様、これは理不尽だわ。)



 それから3日後、また兄たち4人組が立派な鹿を狩ってきた。

 コナンの腕前は大したものなのかもしれない。あの4人組はコナンと愉快な仲間たちなのかもしれないな。

 あの時のように村の空き地でちょっとした解体ショーが始まり、村のおばちゃんたちはそこを取り囲んでぺちゃくちゃと賑わっている。

 俺も母と一緒に切り分けた肉を配っているコナンのところまで受け取りに行く。

「コナン、元気そうだね。」

「ああ、オレは奇跡の男だから。」


 胸を張って俺を見下しながらあいつは言った。

「おい、チビの弟。お前んとこはこれな。」


 元気になったコナンはやっぱり嫌な奴だった。



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