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07 行商人の訪れと長兄の夢

 ラネ11歳。

 ようやく、アビーの家での文字の読み書きの勉強を修了した。

 卒業証書みたいなものはない。簡単な本が読めて、綴りを間違わずに手紙を書けるようになったという水準だ。

 ここ50日くらいはほとんどの時間をアビーの算術の教師として費やしていたから、もう学ぶことがとっくに無くなっていたと言える。


 アビーは計算能力があまり伸びなかったので、仕方ないから虎の子の知識、九九と筆算を教えた。

 前世と違ってここでは学習に紙が使えないので、地面に木の棒で書いて説明した。

 アビーの母は俺の持つ算術教師のスキルは凄いと驚いていた。

 あれって、スキル無しでも教えられれば簡単にできるよね?小学生に四則演算をマスターさせるための手法だもの。

 筆算については食いつきが激しく、アビーそっちのけでアビーの母からの質問が多かった。

 アビーの母がすべて習得するのに約50日。それでお払い箱というわけだ。


 日本で義務教育を終えている人であれば99%できることであるし、こういう知識チートは褒められても何にも嬉しくない。前世の知識がある人に知られたら恥ずかし過ぎる。

 ほらそこのお母さん!ラネ式算術とか言わないで。


 若干10歳の年齢で俺はちゃんと算術の教師をやってみせた。これで嘘のスキル、算術の教師を疑ってくる人間はこの村に出てこないはずだ。

 いつでも証人を紹介できるぜ。

 証人Aアビー、証人Bアビーの母。

 こうやって逃げ道をついつい考えるのもスキルを虚偽申告したから。

 いつも自分の嘘に怯えてる俺。

 嘘吐きはつらいよ。



 俺は勉強を終えたのでもうアビーの家に顔を出さなくなったけど、アビーとは村で会えば、よく会話するようになったと思う。

 スキルとギフトを授かる以前は男児ばかりと喋っていたけど、授かってから一番近くに居たのがアビーだったから。

 

 勉強を一緒にしている頃、嘘がばれると思ってアビーには何回かドキっとさせられた。

 怪我した手が右だと覚えていた際には、誤魔化すのに苦労した。

 アビーは手に巻いた布を見ても自分の記憶が正しいのではないか、という口調だった。アビーの自信はたぶん理屈じゃないから、言い負かすのは無理だと感じたし、ひたすら左手を痛がってみせてとぼけた。だってアビーの方が正しいのだから。

 あれは周囲の時が止まって冷や汗だけが流れるような体験だった。


 あの家で勉強を始めた頃、俺はアビーを警戒していた。でも隠したいことに度々触れてくるというだけで避けるのも変な話と思い直した。

 アビーは直観や観察力が卓越している。だからいっそ彼女との接触はギフトの力を隠す練習と思うことにしたんだ。

 一種の仮想敵という奴だ。アビーにバレないのなら他の人にもバレないだろうと考えたわけさ。

 

 子供ってのは常識が無い。経験もない。

 だからこそ素直な子供の勘は侮れない。常識というフィルターを通さずに感じ取るからだ。

 そこらの村の大人なら俺みたいな貧相な農家の小倅が、いいもん食ってるとは思わない。常識フィルターで導かれた妥当性ある結論。

 しかし、あのアビーは今でも俺をいいもん食っただろって目で見る時がある。

 あれは何か根拠があるのかと思いドキッとする。

 スキルが食料探索の達人で新たな食材の存在を感じるとか。


 まあ俺はアビーがどんなスキルを授かっているのかは知らない。しかし犬みたいに鼻は利くのは確かだから要注意ってわけさ。

 食いしん坊キャラ故で取り越し苦労かもしれないけどね。



 そういえば、アビーだけでなく、家族以外のスキルってあんまり耳に入って来ない。

 女性の授かったスキルは伏せられていることが多いと聞く。

 それと村の有力者なのに村長やアビーの父のスキルも知られていない。地位や役職を世襲したい家の者たちは隠すのかもしれない。

 ひょっとしたらスキルを口実に適任じゃないと追い落とされたら困るからかもしれない。

 

 この世界の人間には誰しも1つスキルが与えられるのは厄介だ。

 そのせいで歌が好きで歌を歌ってばかりいるなら、歌手のスキルを授かったと噂されるらしい。

 俺も人の目や陰口が怖くてスキル詐称して逃げている。

 スキルで人の価値を決める傾向があるし、行動で勝手にレッテルを貼られるし、風評も多い困った世界であると俺は思うのだ。



・・・・・

 それからほどなく行商人の一行がやってきた。


 初夏の頃、エラン村には決まってカルタポルトから行商人がやってくる。行商人には数名の護衛が居て、ロバの馬車でやってくる。

 行商人の主な目的は、生活用品、雑貨、衣類の販売と買い付け。収穫したばかりの昨年の秋に播いた小麦の買い付けと毛皮を買い付ける。

 買い付けた小麦はエラン村の男たちが村のロバの荷馬車に積んでカルタポルトまで運ぶ。


 行商人が村に入ると村内が活気に満ちる。滞在中、村の大人たちは歓迎ムード、子供たちもそれを察してか明るい。

 大人たちは外の情報を知れるこの機会を大事にしている。


 若い女性たちにとっては情報を得ること以外に特別な思いもある。

 村長宅で滞在するのだが、夕食に給仕する役に未婚の女たち何人も立候補する。

 そんな彼女たちは護衛の男たちに村男には見せないような飛び切りの愛想を振り撒く。


 頻繁には無いことだが、2年前に護衛の若い男にこの村の奇麗な娘が嫁いでいった。立候補しているのは2年経った今でも、二匹目のドジョウを探している村娘たちなのだ。

 女性たちも町の生活に憧れ、あちらに住みたがる者は多い。

 ただし、男性より遥かに危険なので身売りか嫁ぐか、どちらかしか町に行く手段がないのが実情だ。たまに飛び出して町に出てしまう娘もいるらしいが、どうやって暮らしているのか、生きているかすらわからない。

 だから、女性は村に来る男性に自身を売り込みたいのだ。

 『お嫁さんに私をどう?』というわけだ。

 ちょっと大胆に胸元を広げる女、かまととぶる女、働き者であることを見せようとする女、いろいろだ。

 護衛の男たちだって村の女たちを物色しに来ている。カルタポルトの町ではここに来る前、腕っぷし自慢の若い男たちが護衛に同行したいと名乗りを上げているのだ。


 秋の収穫後にも決まって領主の納める小麦を受け取りにくる徴税人に同行して塩などを売りに来る商人も来るが、あの時はこんなに明るい雰囲気はない。

 税は誰でも嫌い。どの世界もいつの時代も。


 初夏に訪れるこの行商人たちは身元もはっきりしている。安心して村の連中は付き合うことができるのだ。

 だから、秋の客人滞在を葬式とするなら、初夏の客人滞在はお祭り騒ぎに近いものがある。


 そんなわけで村はこの時とばかり賑わう。今年もそんな時節がやってきたのだ。

 


 村の外の情報が欲しいのは大人だけではない。今年は俺も積極的に行商人たちに接近を試みる。

 そして我が家の尊敬すべき長兄も俺と同じように行商人一行に近づいていた。

 昼間は護衛の男たちはまず女たちの相手はしない。彼らの戦場は食事や宴の時だけ。

 だから、長兄も割とすんなり護衛と村人の会話の中に入り込める。


 我が家の長兄は17歳。背が父を追い抜き、産毛の髭が薄っすら生え始めたお年頃。

 お金を貯めるのが今も彼の目標なのだが、その理由が今判明した。

 やってきた行商人の護衛が佩いている剣を見せてもらって、いくらくらいで買ったのか聞いている。

 長兄は剣を買う資金を貯めているのだ。今回の行商人相手にも毛皮を買い取ってもらうようだし、彼は実に頑張っている。



 エラン村は貨幣経済があまり浸透していない。そのため物価が安い。売値も当然安い。

だから、並みの品質の長剣を買うのに村の普通の大人の一年以上の収入を突っ込まないといけないようだ。

 ちなみに町なら稼ぎにもよるが、兵士なら60日~100日程度の収入を叩いて買うような高価な物なのだ。


 長兄は村で稼いだ金で剣を買うつもりだったのだろう。そりゃ時間がかかるわけだ。


 村で暮らせば、不作の年でもない限り食事には困らないし寝場所も無料、狩猟でわずかながら金が稼げる。

 いわゆるローリスク・ローリターン。

 町で暮らせば、物価が高いから金回りは良くなるが食と職、そして寝泊まりする屋根の確保が不安定になる。

 いわゆるハイリスク・ハイリターン。

 村に残って稼ぐ方が良いのか、町に出て稼ぐ方が良いのか、簡単に答えは出ないのかもしれない。


 護衛のおっちゃんと剣と鞘、剣帯一式の話で盛り上がっている長兄の周囲をうろちょろしながら盗み聞き。

 長兄は金額や剣の選び方のことばかり聞いているようだが「高ぇーな。」という声が頻繁に聞こえてくる。

 まだ剣を買う資金が貯まっていないのだろうかね。


「お前、日頃狩りをしてるらしいが剣を振れるのか?」

 しつこく剣について聞きまわってる長兄に護衛は聞いてくる。

「俺らが、剣の筋見てやろうか?」

 長兄は専門的な剣の練習なんてしたことはないはずだ。はずだよね?


 鞘を縛った剣を渡されて素振りを見てもらうことになった。

 長兄は真剣そのものだ。真剣なのが却って切ない。

 前世で小さい頃に剣道を習っていた記憶がある俺からしても長兄の剣の振り方は軸がぶれていて見ていられなかった。

「腰が引けてる。剣も手首で振り過ぎ、ぶれてる、遅い。」

 案の定駄目だしされてしまう。納得していない顔の長兄を見て何か察したのか、護衛の一人が自分の剣の鞘を縛って相手をすることになった。

 長兄には剣のスキルはない。剣術の奥の深さが直観的にわからないのかもしれない。

 

 振り込んだ長兄の剣は簡単に弾かれて、地面に落ちる。

「剣は使い方を身に付けないと、棒と変わらんぞ。」

「ああそうだ。剣を買う前に木剣で練習をしろ。」

「俺らも何年も練習してきた。剣を持とうなんて早い。」

 護衛はこぞって釘を刺してくる。


 偉そうと見るか、真っ当なアドバイスと見るか、受け取り方は相手次第だな。

 正直言うと俺は大好きな長兄を駄目だししまくる男たちに少しムカっとした。

 でも、現実を見れば正しい意見。特に剣は手に入れた途端に自分が強くなったと確信してしまう。技術が追いつかない奴が勘違いしたら悲惨になることは目に見えている。

 だから、こいつら案外良い奴らかもしれんと俺は思うけど、長兄はどう感じたのかはわからない。

「・・・ありがとう。わかった。」

 少し間をおいてから、長兄は彼らにお礼を述べた。


 長兄の顔を覗き込むと、しょ気た犬、父が母に怒られて時々見せるような表情をしていた。


 

 俺はその後も父や長兄にまとわりついて聞き耳を立てたが、港町カルタポルトで食べられる魚の話、酒の話、鏡の話。町の婦人たちの服装の話くらいしか情報を手に入れられなかった。


 海の魚には興味がある。こちらでは食べられないから。干し魚すらエラン村でお目にかかることはない。是非いずれ食べてみたい。


 酒はワインとエールしか話題に出てこなかったので蒸留酒があるのかはわからない。無いなら無いでこの世界にガラスはあるようだから温度計と蒸留器を作らせてもいいかもしれない。温度計は赤い辰砂の粉を出して加熱して水銀にして、まあ何とかなるでしょ。


 鏡はどうやらとても高価で女性たちにねだられて困るもの一つらしい。割れやすいと話していたので、ガラス板に金属を塗り付けたものだろう。

 自分の顔を見たことが無いのでとても見てみたい。買う必要はない。自分の顔がどんなか見たいのだ。


 町の女性の服装は興味がない。護衛と村の男たちは、アレが色っぽいとか、アソコが見えないとか、散々盛り上がっていたけども。


 今現在子供の身体の俺には性欲が全く出てこないのだ。奥手なのか恋心すらない。だから記憶に照らして男たちの気持ちがわかる程度。



 楽しい時間はすぐに終わってしまうもの。

 彼ら一行は4日間滞在して、売れる物は売りさばき、仕入れた物を荷馬車に積み込んでまたカルタポルトに向けて去っていった。



 長兄はあれから沈んでいた。おそらく剣のことでショックを受けたのだろう。

 授かったスキルのおかげで弓の天才だしね。エリートのプチ挫折なんだろう。

 教えてもらって訓練すればいい。教えてもらわなくても我流で足掻けばいい。

 こっちはそう思うのだが、スキルで適性が優遇されるせいでこの世界の人間は努力への信奉が薄いのかもしれない。


 前世の記憶では日本の精神主義と言ったものもあった。

 努力でなんとかする、我慢で凌ぐという価値観や風潮が社会の根底にはあった。弊害も指摘されていたが、良い側面も多分に存在する文化的特徴だった。

 スキルの存在の影響によるものなのか、あの日本の社会とはここは真逆であるようだ。


 ひょっとしたら長兄はスキル持ちではないことで剣を諦めてしまう気かもしれない。

 しかし、俺としては村の外に出て食べていく気なら、剣も使えた方が良いと思うんだよね。弓では接近されると対処が厳しいし、矢は尽きたらおしまいだ。


 スキル持ちではない弟たち3人に弓矢を教えていたんだから、スキルが無くてもある程度は上手になるってことは知っているはずだよね。

 だから長兄は剣の訓練をすべきだと俺は思うんだ。


 『人の振り見て我が振り直せ』


 こんな言葉が浮かんでくる。

 剣の練習をすべきなのは長兄だけじゃない。外を目指すなら自分も剣をそろそろ練習すべき。ウダウダする暇はない。

 そう考えた。


 早速俺は父と森に薪集めに行く際、父の持っている鉈を借りて手頃な太さの木を共有林から刈って、大雑貨に鉈で細い枝を落として持ち帰った。

 それを家の外で採集で使っている小さなナイフで削って不格好な木剣を作った。

 

 さあ、これから剣の練習だ。

 前世の剣道の記憶を基に素振り、足捌きを練習する。

 一日目で手に豆ができた。水ぶくれでブヨブヨしている。

 少しずつ手の皮を厚くするくらいにしておけば良かった。

 ちょっとやり過ぎた。


 翌日、左手の豆が一つ破れて水のような液が出て皮がめくれてビロビロになっている。


 大した痛みじゃないんだけど、素振りをするにはちょっと邪魔な痛み。

 だから”不死の霊薬の素”、あれをちょっと使ってしまった。

 一瞬で治っていく。


(俺って相当ヘタレかもしんない。)


(この万能薬、ヘタレは治らないのかな?)


 豆が快癒したので素振りを繰り返すんだけど、全く疲れないんだわ。それに素振りも若干速くなった気もする。

 原因はすぐに思いつく。それは俺には当たり前のことだった。

 霊薬の素って、身体能力やスタミナも劇的に向上させるのだろう。

 重大な発見だ。

 だって、接近戦に強くなりそうだし、逃げるのも有利になりそうなんだもの。



 素振りをし始めてから長兄はたまに遠目で俺の様子見をみようになっていた。

 こっちは剣術の基本中の基本は記憶を基に再現できているからね。ここの剣術とは違う日本の剣術だろうけど、合理的な部分は変わらない。

 変わらないよね?きっと。


 だから、あの時の長兄の素人丸出しの剣捌きよりも様になってるはず。

 素振りの後に一人で形稽古みたいな動きをして終わることにしていた。まだ素振りがメインで基礎作りの段階だ。

 記憶の中では剣道の基本の一つしか知らないのでそれだけしか今はやらない。

 そのうち打ち込み稽古をする木の人形でも作らないといけない。


 長兄は形稽古が気になるのか、日を追うごとに段々と近くに寄って見るようになっている。

 まるで餌付けした野良猫との距離が縮まるあの感じに似ている。


「ラネ、その動きに意味はあるの?」

 御尤もな疑問だ。形稽古は動きに間があるし気になるよね。

「実戦を想像して基本の動きをしてる。」

「・・・」

「敵が真正面にいる。こうやっての相手の剣をかわして、剣を相手の手元に振る。実際はもっと早く動く。」

 足捌きと木剣の動きを説明する。

 長兄は説明を聞いて頭の中で自分なりにイメージしてるみたい。


 形稽古みたいなものは役立たないと思うかもしれないが、これは大事だ。

 切り合いの実戦は一発目で死ぬかもしれない。だから、実戦経験を積んで実力をつけていくなんて甘っちょろいことは言ってはいられない。少しでも一発目までに鍛錬と理解で実力を上げておくことが大事なんだ。


 それから7日も経たずに、長兄も大きめの木剣を作ってきて朝と夕の素振りに加わってきた。

 剣道みたいに安全を確保する防具がないから全部寸止めになるけど、俺にはちょうどいい稽古相手ができた。



 長兄と剣について話す機会が増え、剣をどう生かすつもりなのか聞いてみた。


 どうやら長兄は魔物狩りを専門とする冒険者になりたいらしい。だから剣も使えるようにしておきたいらしい。仮にそれを断念しても行商人に同行していた護衛の男たちのような仕事に就けばいいと思っているようだ。


 冒険者って、ダンジョンを探索したり、人を襲う魔物を狩ったりする、あれかい?

 いるんだ、そういう仕事の人。

 ドラゴンは物語の中だけで誰も見たことないらしいけど、この世界、魔王とかもいるのかね。

 

 長兄が続けた話では、俺が生まれたばかりの頃、数名の冒険者がこの村に立ち寄ったらしい。

 ここエラン村一帯の山を越えた先は別の国でそこに向かう途中だったとか。牛みたいに大きく黒い犬のような魔物を一匹連れていたとか。

 この犬のようなデカい魔物を入れるか入れないかで村中大騒ぎになった。魔物は狩った魔物の子供で育てて訓練したので人は襲わないと説明されてとか。


 長兄には真っ黒な塊に見えたそうだ。全体が黒すぎて顔形すらわかりにくい魔物。

 どうしてもちゃんと見てみたくなった長兄が大人たちの目を盗んで、魔物の黒い顔を近づいて見ようとした時、それは尻尾をパタンパタンと緩やかに振ったという。


 彼らはここで一泊して、食料を取引しただけらしい。

 立ち寄っただけでこの村で特別な何かをしたわけでもないけど、その人たちが恰好良くて憧れのままなんだとか。

 思い出しながら、当時のことを楽しそう語る長兄。


 

 初耳だった。

 冒険者の存在も、魔物をテイムすることができることも、ここが国境に近い村だってことも、全部初耳だった。



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