謁見 ※王と思われる者サイド
アイザッシュ・ウル・アルカカン(アルカカン帝国国王)
これが私の名である。私はこの名に誇りを持ち、民からも賢王として称えられている。だが、私は自身が賢王と呼ばれていることに酔っていた事に気付かされる。
私は後悔している。
異国からの大型船から現れた者達が城に訪れたのだが、そこに現れたのは、まるでサーカスの一団のようであった。
私は戦争が始まるのではと、今まで張り摘めていた緊縛感が裏切られたような気持ちになり、目の前にいるもの達に苛立ちを覚えると共に興味を失せてしまった。
だからであろうか、私は外来人を目の前に縦肘をしながら話を聞く。相手からしてみれば、かなり横柄な態度に見られたであろう。
彼らは我が国と国交を結びたいと言う。
私は彼らの言葉を聞いて、我が国が馬鹿にされているものと思ってしまった。だから、私はこの話を断る事にしたのだが私の判断は間違いであった。代表の娘が次々と取り出した魔道具はこの国にないものばかりであったのだ。
見たこともない魔道具を見せられた私は、あの魔道具等は我々と国交を結ぶために彼らの国宝級の品を我々に貢ぎ為に持ってきた代物かと思い込んだ。
しかし彼らから告げられた言葉によると、あれ程の物が普通に売られている物だと言うではないか。
私は翻訳機が壊れたのかと思ってしまったが、会話は成り立つ。翻訳機は壊れていないようであった。
そうなると、彼らから告げられた事は真実であることが解った。
私は彼らと国交を結びたい。
だが、我が国に彼らの国へと遠出する技術がない。私は悔しいが諦める事にした。
だが、私が諦める事にした気持ちですら私の誤りであった。娘が門見たいたものを取り出すと我が兵の姿が突然に消えた。
攻撃された?
しまった、油断させやはり我が国に攻撃を仕掛けるつもりなのか!
だが、消えた兵士が戻ってきたではないか。
私は兵士に問い詰める。だが、兵士はモゾモゾとしてなかなか語ろうしない。もどかしい・・・
私は兵士を叱咤すると漸く兵士が語りだす。
転移門・・・
娘の口から告げられた事が信じられず、己で経験せねばと使命感に駆り出される。門を潜ると見たこともない街並みが広がっていた。
これが事実なのであれば世界中と国交を結ぶ事が可能となる。私の頭の中にはアルカカン帝国歴史上最も栄える時代が訪れる光景が浮かぶ。そして、それを可能に出来るのは彼らであった。
私は思う。私は賢王などほぼ遠い。私など彼らの足元にも及ばない。
そして、彼らは神に違いない。転移門などのものは神でなくてはあり得ない。
そう思うと私は今までの態度が恥ずかしくなり、私は代表の娘・・・いや、女神の前に膝間付いた。
皆が私の態度を止めようとするが、私は制止しようとする彼らを制止した。彼らを絶対に逃してはいけない。私の威厳とか国の威厳よりも彼らの機嫌を損ねる方が我が国の問題となる。私は彼らと国交を結ぶためには何でもする覚悟であった。
だが、そのような覚悟は必要ないと言わんばかりに目の前の女神は私の手を取り、優しく頬えでくれていた。
私は先祖と異世界人の話を思い出す。
先祖が異世界人と出会った時の話が書として残されてとり、演劇でも伝えられている。だが、私は盛られた話だと真面目に受け止めていなかった。しかし、今なら信じられる。
あの時の先祖も私と同じ気持ちであったのであろう。そして、私もこの時の事を後世に残すつもりだ。
我が国と彼らと国交を結ぶ事が出来た。
この国に更なる発展と平和が訪れる事であろう。




