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上陸

○アルカカン帝国


私はアルカカン帝国25代目国王アイザッシュ・ウル・アルカカン。この国の歴史は古く近々、建国千年祭の記念すべき祭りを行う予定である。

悩みの種であった南の島に住む凶悪な魔物も数世代前の国王の元に現れた異世界人によって封印する事ができ、周辺国と和平を締結するなど平和な時代を過ごす事が出来た。

我が代も、その平和が続くものと思ったが、ある日の朝、突然に事件は起きた。


「国王陛下、先ほど東の海に異国の船の存在が確認されたとの事です!」


異国の船!?

周辺国の船であるならば、そのような言い回しはしない。この国を攻めてきたか?


「状況は?」


「大型船が一隻、武装は見られません。始めに確認されてから時間が経っておりますが、その場で動かず待機しているようです」


一隻?

遭難したのだろうか?

武装はしていない事で安心したが、油断しはならないであろう。


「警戒体勢を維持したまま待機せよ!それと異世界人が残した魔道具〔翻訳機〕を準備しておくようにしろ!」


我が国の平和が維持出来るだろうか・・・


一方、エマは今すぐ上陸をと意気込む乗組員を暫くここに留まるようにと静止していた。


「どうして留まるのですか?このような大型な船がずっと停滞してますと、相手の警戒が強くなる一方です」


「解っているわ。だけど、私はまだアメリアの旅の最中で帰らなければならないのよ。この船団の代表である私が突然にいなくなってどう思われると思う。。代表が制限時間つきでは交渉も上手く行かないわ。アメリアの旅ももう少しで終わりますので、それまでここで待機しておくべきです」


船員達はエマの説得に納得しエマが旅を終えるのを待つことにした。そして人が住む陸を見つけ2日経つ。そろそろエマ様が来る時間だと皆が待つところにエマと一緒に一人の老人が転移してきた。

エマの紹介により老人は言語学者のヘルメスである事を伝えられた。

今回の航海で文明のある大陸が発見出来たとしても言語が解らない。そんな言語の問題をセバスに相談したところ、セバスから紹介された人物であった。

ヘルメスは隠居生活を楽しんでいたが、新しい大陸での新しい言語と聞かされて、二つ返事で承諾してしてくれたらしい。


「アメリアでの旅が終わったわ。王家からアメージアの爪痕の調査依頼が来る前に上陸しちゃいましょ」


大型船から一隻の小舟が海上に下ろされる。小舟には航海士のゼクト叔父様とロイとエマが連れてきた言語学者が乗っている。

三人は陸に向かって船を漕ぐ。

暫くして三人が戻ってくると言語学者のヘルメスが憤慨している。


「どうしたの?」


「交渉は問題なく進みそうです。実はこれを渡されまして・・・」


ロイから手渡されたのはボイスレコーダーのような機械であった。状況を察してエマは気付く。


「もしかして、これって『翻訳機』?」


「これに喋り掛けると自動で翻訳してくれるそうです。そして、この翻訳機を使って会話を行ったところ、この国の国王様がお会いして下さるそうです」


エマは凄いと思う反面、恐ろしくも思えてしまった。これ程の魔道具があると言う事はかなりの文明が進んでいる国に違いない。もしかしたら、自分達の島が植民地化されてしまったらどうしようかと悩む。

しかし、ここで引き返す選択肢はなかった。


「これでは、ワシが来た意味がないわ!」


ヘルメスが怒りを言葉に表した。憤慨している理由が解った。自分抜きで交渉が進んでいじけているのだ。


「ヘルメスさんの仕事はここからですよ。この翻訳機により会話が可能となりますが字を読んだりする事はこれでは出来ません。この地域の事を知るには書物を読むことは不可欠です。ヘルメスさんにはそのためにこの地の言葉を調べてまとめて貰い、私達にご教授願いたいのです」


「なるほど、そう言う事なら任せて下さいませ!」


先程まで憤慨していた老人は落ち着くも完全に怒りが消えた訳ではなく眉が下がる事はなかった。

だけど、取り敢えずは、ヘルメスの件はこれで一件落着とした。


「それじゃ、王様がいる城に向かうとしましょう!」

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