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7.えっ!商品登録ですか?

「この店?」


「はい。そうです」


ギルド巡りで午前中を費やした。

街の中にも貴族専用のレストランがあるのだが、出来れば皆が食しているモノが食べたいと述べたところロイが先程の冒険者ギルドでお勧めのお店を聞いていた。


お店の名は『三つ葉亭』。既に店内は人で溢れており席が空くまで少し待つ事になる。

この混みようは期待出来そうね。


列に並び半時程で席が空き中に案内される。


「いらっしゃい。注文決まりましたら呼んでね」


「あっ!お勧めがあったら教えて!」


「そうね、『一角兎の香草焼き』かな」


この世界には『お勧め』と言う文化がないらしい。

給仕の娘さんが『変な事を聞く客』と言うような顔で見られていたので「一番注文が多い料理教えて」といい直すと答えてくれた。

一角兎はグレイス領内各地で多く見られる魔物で繁殖力が高く畑の作物だけでなく人をも襲うため頻繁に討伐対象となっているらしい。

それに薬草・香草は我がグレイス領の主要作物なのでグレイス領名産を勧めてもらったらしい。


「『一角兎の香草焼き』は確定ね」


「この時期ですと『焼きキノコの串焼き』なんかどうですか?」


「いいわね」


「エマ様、小皿貰って来ました」


「ありがとリナ。リナは何を食べたい?」


「私ですか?え~と、『カタツムリの岩塩焼き』を」


「「「えっ!」」」


「美味しいんですよ」


「そ、そうなの?それじゃ後はパンとスープを頼む事にしましょ」


給仕の娘さんを呼び料理を頼む。

料理を届くと何に驚いたかと言うと『カタツムリの岩塩焼き』のカタツムリが意外と大きかった。

あれっ!カタツムリって塩をかけると小さくなるんじゃなかった?

取り敢えず、恐る恐る一口食べると意外と美味しい。

コリコリとした食感は砂肝に似ている。


それとメニューを見て気付いたのだけど、この世界には焼くか煮ると言う料理しかなく揚げ物や蒸し物などの食文化がないらしい。

食事の改善は前世の知識でグレイス家の料理人に頼んで改善していこうとエマは思う。

同じく生活改善にエマの知識を実現してくれる者を探さなくてはならない。


「ねぇ、商業ギルドに行こうと思っていたのだけど、先に鍛冶屋に行こうとするわ」


「鍛冶屋ですか?」


「そう。いいアイデアがあるの。折角、冒険者ギルドに行くなら商品登録もしたいわ」


エマの話を聞いてロイが冒険者ギルドから教わった鍛冶屋に行くことにした。


「おう。珍しいね。お嬢ちゃんが何のようだい」


「とりあえず、こう言うの作れるかしら?」


「何だいこれは?」


「『湯沸し器』よ。これを押すとお湯が出るようになり、2つ押すと『熱湯』1つだと『微温湯』って感じかな。理論では出来そうなんだけどどうかしら?」


「なるほど、こりゃ面白い。丁度、こう言うのが好きそうなヤツがいる。おい、ダニエル、ちょっと来い!」


「親方、何です?」


「このダニエルは、ちょっと変わっててな腕はあるんだが、飽き性でいつも「つまらない」って文句言ってまともに仕事をしない奴なんだが、お嬢ちゃんとの愛称は最高も知れねえ」


「そう?これを作って欲しいのだけど?」


「どれどれ・・・」


ダニエルが堪らなそうな顔でエマが考えた図面を見ると目付きが変わり出すと突然にエマの手を握り出した。


「あんた面白れーな。是非俺に作らせてくれ」


作れるなら良かったわ。だからロイ、剣を鞘に戻してね。


「『火の魔法石』はここにあるから数分作れるかしら」


そう言うとエマは収納魔法から火の魔玉が入っている袋を手渡した。

ダニエルと話を進めていると鍛冶屋の親方が話し掛けてきた。


「なー穣ちゃん。完成した品物を1つ俺たちに譲ってくれないか?その変わり安くしとくから」


それは助かる。

実はエマは自分の部屋にあったお金になりそうな装飾品やドレスを売ってお金を工面していたのだけど、そのお金もそろそろ底をつきそうであった。


「そうね。使用した感想も知りたいからいいわよ」


「それじゃそれで契約書を交わそう」


通常の一般的な品物の鍛冶には契約書は必要ないが、『特殊素材』や『新商品』などは流出防止の契約書を交わさなければならない。

契約内容は鍛冶屋側は『作成技術を流出させない』、エマ側は『他の者に作成依頼をしない』という内容だ。


「いいわ。貴方を事を信じることにするわ」


「任せてくれ」


「それで、どれくらいで出来るかしら?」


「そんなに複雑じゃないから明日にでも全部出来るだろが、品質点検もしたいから明後日でいいか?」


「ええ、いいわよ」


「おう。それじゃまたな」


鍛冶屋への用を終えたエマ達は、食材の買い物を行い領主館に戻る事にした。

そして2日後、完成した魔道具〔湯沸し器〕を商品登録するため商業ギルドに向かった。


【商業ギルド】

商業取引を主体としたギルド。登録以外の業務として


●売買契約

商業人(商業登録した者)同士で行う売買取引に不正がないか仲介を行う。


●現金管理

口座を開設する事ができ、魔法ギルドや冒険者ギルド、商品の売買で得られたお金がここに振り込まれる。


●商品登録

新しく開発した商品を登録する事が出来る。商品登録には『権利販売』と『独占販売』の二種類がある。

権利販売は、他者も販売出来るが販売する際に権利使用料として一定額×販売量を登録者が得られる。

一定額にしているのは薄利多売を避けるためである。

独占販売は、他者に販売を禁止させ販売を自身で行う。

尚、どちらも『類似商品』もここに含まれる。


「今日はどのようなご用件でしょうか?」


「先ずはギルド証を頼むわ」


「ギルド証ですね。ギルド証にはAAA~Hの10階級にランクが別れております。ランクによって個人商店を持てたり『商会』と名乗れたり出来るようになります。

尚、各ランクは同時に開設されます口座の残金によって決まりますが、Aランク以上になりますと複数の領主や国王の承認が必要となります。ここまでよろしいでしょうか?」


「ええ、大丈夫よ」


「最後に『違反事項』ですが、法に反する物の売買や闇商人(商業ギルド証がないもの)との契約書の締結、権利販売や独占販売商品の無断販売などが違反となり最悪の場合は永久的に商業ギルド証の抹消となってしまいます。今までの説明で問題なければギルド証を発行したいと思いますがギルド証は一人100BG、口座開口は1BGとなります」


「それじゃ、ギルド証は私一人だけ、他三人は口座開口だけお願い」


エマがそう伝えると書類が渡され書類に名を書くと受付の女性が名前を見て反応した。

 

「え~と、エマ・グレイス様。領主様のご令嬢でしたか。気付かず申し訳ございません」


「敢えて私も言わないようにしてるから気にしないで」


「畏まりました。其ではこちらがギルド証になります。其から此方が口座開口のカードとなります」


受付の女性から各カードを受け取る。次は商品の登録をしよう。


「商品の登録をしたいのだけど」


「えっ!商品の登録ですか?」


「ええ」


受付の女性が別の者を呼ぶと個室へと案内された。

暫くすると恰幅がよく髭が似合う中年の男性が部屋に入ってきた。


「遅くなりました。ギルド長のモーリスと申します」


「ギルド長が担当なのですか?」


「いいえ。ただ、領主様のご令嬢ということで失礼があっては行けませんので私が応対させて頂く事になりました。それで登録したい商品とはどのようなものでしょうか?」


「こちらの魔道具〔湯沸し器〕と、『シャンプー』『リンス』、料理で『フライドポテト』『ポテトチップス』『コロッケ』『メンチカツ』『唐揚げ』と、調味料で『マヨネーズ』です」


「こ、こんなにですか?」


「はい。全て独占販売でお願いします」


「独占販売ですか?独占販売の権利は2年間となっており、2年後は権利販売へと以降されます」


「大丈夫です」


「其では書類を作成致しますので少々お待ち下さい」


「お待たせしました。こちらが書類になりますのでご確認お願いします」


「え~と、間違いないです」


「既に証明者の欄に私のサインと血判をさせて頂いております。その隣にエマ様のサインと血判をお願い致します」


エマは指示通りにサインと血判を一枚一枚行った。

全ての血判を終えるとギルド長が書類を重ねまとめた。


「其では纏めた書類の上にエマ様のギルド証をかざして下さい」


エマは言われた通りに書類の上にギルド証をかざすとギルド長もカードを取り出しエマのギルド証に重ねる。お互いのカードが重なり出すと淡く光出しゆっくり光が消えていった。


「これで契約終了となります。私モーリスは今日よりグレイス領が大きく変化してくるのではと思うほど大変満足な品物を見させて頂きました。ありがとうございます」


「あら、モーリスさん。これからも度々来ることになるから宜しくお願いしますね」


「ほう!それは楽しみですな」

【エマ・グレイス】


8歳 女性 Lv2 


職業 〖貴族〗 適応魔法 闇


体力 30


魔力 30


力  8


守  3


速  3


知  20




火 Lv0


水 Lv0


風 Lv0


土 Lv0


光 Lv0


闇 Lv0




剣 Lv1


槍 Lv1


斧 Lv1


弓 Lv1


鞭 Lv1


拳 Lv10

スキル 〖浮遊 Lv2〗〖収納 Lv2〗



称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗

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