サブストーリー 【浦○太郎の真実① 助けられた亀に連れられて~】
この村の外れに一人の青年が暮らしていた。
青年の両親は昨年に重い病に罹り夫婦二人してこの世を去ることになった。夫婦はこの世を去ることに未練がある。未練は二人の死を見届けている一人息子であった。
一人息子は既に青年となっていたため、特に幼くて未練を感じるわけではない。二人の息子は駄目人間なのだ。
青年は常人では考えられないくらいの面倒臭がり家であった。
彼は何をするにも面倒臭がってしまい、何かをすることを直ぐに辞めてしまうのだ。
その性格は両親が亡くなったからといって治るものではなく、両親が未練を感じるほど心配していた事は残念ながら的中していた。
畑仕事は面倒臭いから止めてしまい、
村の行事は面倒臭いと常に不参加、
風呂に入るのが面倒臭いからと週一川で水浴びをして、
食事をするのも面倒なので1日1食にしていた。
その為、彼は村人からも避けられるようになってしまった。「あそこに住む男は変わり者で拐われてしまう」「あそこの家は密かに人を食べて生きている」など、根も葉もない噂を子供に聞かせ近付けないようにしていた。
これにより1つの悲劇が起きてしまった。
彼の唯一の趣味は釣りである。釣りは糸を垂らしておくだけで何もしなくて良いので青年にとって持って来いの趣味であった。
だが、その釣りも魚が釣れるのは面倒臭いため、針は縫い針を使用していたため、一匹も釣れることはなかった。
この日も趣味の釣りをしようと浜を歩いていると、青年は村の子供達に囲まれてしまった。
青年には彼らに囲まれる思い当たる理由がない。その為、その場を抜けようと彼らを避けて歩き出そうとするが、子供達に遮られてしまう。
「化物、覚悟しろ!」
一人の子供が叫ぶと後ろに隠していた木の棒で一斉に青年に殴りかかった。青年は何が何だか解らないため手で子供達の棒を避けていたが、後ろから頭部に一撃をくらい前のめりになる。
が、子供達の攻撃は止まない。寧ろ、これがチャンスとばかりに攻撃により力が入っていた。
青年は蹲り頭を抱えながら頭を抱えて子供達の攻撃が止むのを耐え続けていたが、子供達の攻撃が止むことはなかった。
青年は徐々に意識が遠退いていく。
子供達に悪意はない。子供達はあくまでも化物退治をしているだけなのだ。親から言われた言葉を信じ、純粋に化物退治をしているだけであった。
~~~~~~~~~~~~~
玄武は目が覚めると景色が変わっていることに気付いた。彼は眠る時に足を海底に着けて流されないようにしていたのだが、今回はうっかり忘れてしまったようであった。
玄武には能力の1つで自身がどこにいるのか把握していた。そして、そこが海底都市ポセドニアの近くであることに気付き、帰りにポセドニアに寄ろうかとしていた時に遠くの島で一人の人間が多くの小さい人間に殴られているのを目の辺りにした。
玄武は人間の大人と子供の区別がつかない。この世界には小さき人間もいるからだ。
その為、目の前に移ったものは1つのあ揃いにしか見えなかった。
そして玄武は争いを好まない。どちらが先でどちらが後等の細かい事も知ろうとは思わない。玄武にとっては攻撃しようとしているものが悪であった。
その為、目の前で殴り罹っている子供達が正義のもとで行っていようが、玄武にとっては悪でしかなかった。
玄武は複数の海水を球状に固めると子供達目掛けて球状の玉を飛ばした。球状の玉は見事に子供達に命中して子供達は弾き飛ばされる。
ずぶ濡れになった子供達は何があったのかと辺りを見渡すと海の方にこの世の生物とは思えないほど大きい亀がいることに気付くと「化物の親玉が現れた~!!」と叫びながら逃げ去って行った。
子供達が消え去っても殴られていた男性は起き上がる事はなかった。玄武は海水を布団のようにして倒れている男性の下に敷くと、男を自身の側に引き寄せた。
男は気絶しているようで意識はないが、まだ息をしているようであった。
だが、このままほっておけば彼の脈打つ心臓が止まる危険性があった。
玄武は悩んだ末に意識を失った男を海底都市ポセドニアに連れていく事にした。
助けられた亀に連れられて・・・




